ELLE 「おっさんずラブ」以降、取材の本数がとても増えたそうですね。
こんなに取材を受けるのは、俳優になってから初ですよ! 今までどれだけ取材されてこなかったんだろう……っていう(笑)。僕はサービス精神のかたまりなので、取材や舞台挨拶のときには毎回なるべく違う答えにしようとは思っているのですが、好きなものや芝居について本質的な部分はずっと変わっていないので、そこはどうしても同じ答えになっちゃうんですよね。ドラマの現場で自分に密着されることにも慣れていないですし、取材の本数がすごく増えたことは大変なんですが、自分の言葉で発信できるのはうれしいことなのでありがたいです。
ELLE 舞台のチケット争奪戦しかり、ファンレターをもらう量だったりだとか、熱がすごいんだなと直接感じる機会が増えたと思うんですけど、いかがでしょうか?
ファンレターの数は明らかにめちゃくちゃ増えました。先日やった舞台(「サメと泳ぐ」)の東京公演中も、ファンレターをいっぱいいただいて、僕、基本的にファンレターは全部読むようにしていたので、昼夜の公演の間に読んだんです。舞台のファンレターって自分でも気づかないことや、意外な感想を書いてくれる方もいるから面白くて読むのが好きで。でも今回はぐんと量が増えたから、本当に読むの時間かかりました。正直「よし、読むぞ」って気にならないとやっぱり読めない量だったから……。で、その話をどこかでしたら、大阪公演で6公演しかないなかで300通ほどいただいて、ありがたいけどもう全部読むのは無理だ!ってなりましたね(笑)。
ELLE 舞台中でもファンレターをきちんと読むんですね!
単純にいただいたものなので。やっぱりお手紙って嬉しいじゃないですか。今だったら「おっさんずラブ」でLGBTの方たちからのアツい手紙とかもいただくので、そういう人の思いにふれるっていうのはすごく僕自身好きなので、そういう思いのこもった手紙は、きちんと逃さないようにしたいなって思ってます。でもあまりにも量が増えて、物理的に全部読むのはキツくなってきました(笑)。
ELLE お母様の助言でオーディションを受けてこの世界に入り、19年目になります。中学生の頃にはじめた俳優業について、今、あらためて天職だと感じていますか?
天職と言い切れるかどうかはわからないですけど……俳優以外で自分にできることが今のところ見つかっていないんです。これは昔から言ってるんですけど、同じ収入が得られる職業があったら、すぐにそっちにいくよ、って(笑)。もちろんお芝居は大好きだから楽しいし、仕事が嫌だと思ったことはないけど、どこかで悠々自適に生きたいと思っているところがあるのかもしれない。俳優の仕事はめちゃくちゃ大変だけど、好きだという気持ちの方が勝っているから続けているのは間違いないです。
ELLE 具体的に他の仕事につくなら、と考えたこともありますか?
これも話したことがあるんですけど、5年くらい前に本気でユーチューバーになりたくて事務所に相談したら“お前、バカじゃないの”って言われて、なんでだよ!? って思いました(笑)。HIKAKINとかすごく稼でいるみたいだし、うちのチビたちもめっちゃくちゃYouTubeを観てるし、子供たちのなりたい職業一位ですよね。まだユーチューバーが今ほど浸透していない頃に同期の俳優にもすすめていたんですけど、彼も“役者でやらせてくれよ!”ということで、波に乗り遅れてました(笑)。
ELLE 主役として現場に立つときに心がけていることは何ですか?
スタッフの方の名前を全員覚えて積極的にコミュニケーションをとることと、おごること(笑)。そういう先輩たちしか見てこなかったから、割り勘ができないんです。
ELLE でも、最近は本当に忙しいから、そういうお酒の席に出るよりも、帰って寝たいですよね。
いや……それが、そういうときこそ寝たいというより遊びたい、って思うんです。心の栄養というか。深夜にすごく遊びたくなって、でも、体も鍛えたくて……。どうしよう、でも眠いし、でも遊びたいってなって、でもお酒飲みたくなくて、どうしようってなって。「あ、そうだ! 体鍛えながら遊ぼう」と、近所に住んでるやつらに「鬼ごっこしようぜ!」って声かけたら10人弱くらい来て。
ELLE 鬼ごっこ! でも深夜の公園って真っ暗じゃないですか?
真っ暗です(笑)。でも、ガチの鬼ごっこです。僕、鬼ごっこする前に4キロくらい一人で走ってからだ温めてから行きましたもん。まっしー(眞島秀和)もいたんですが、あの人めちゃくちゃ足速いんすよ。
ELLE 眞島さんのあの雰囲気で足が速いって、コワイですね!
めっちゃ速いんですよ。で、自分のバスケの後輩の運動できるやつらは来れなくて。「おっさん」チームはほかにだーりお(内田理央)もいたけど女子だし、さすがにこのメンツだったら俺が一番速くなきゃいけないっていうよくわかんない使命感もあったんですが、まっしーが急に逃げたりすると、こっちもこうキュって方向転換するじゃないですか。でも暗いんで足見えない。超危なかったんですよ! これ本気になると怪我するかもしれないからやめようとなって、明かりのある広いところで氷オニ始めて、まっしーと男と男の勝負になりました(笑)。
ELLE 心が疲れたときや落ち込んだときはどう自分自身を持ち直していますか?っていうのを聞きたかったんですけど、そういうことをしているっていうことなんですね。
そうですね、基本遊びます。いっぱいあるじゃないですか、回復する方法って。僕は友達と集まって、みんなでご飯食べたりお酒飲んだりするだけでも回復するし、それこそ家帰って家族と一緒にいたりしても回復するし。体はきつくても、睡眠時間よりもそういう時間をとりたいですね。その方が、本当に例えば体が動かないとか病気とか怪我とかじゃない限りは、絶対心の方が大事だと思っているので、昔から忙しくなればなるほど遊ぶようにしてます。
ELLE 回復する手段をいっぱい持ってるのっていいですよね。
まわりにもそういう人、多いですね。そういえばこの間、地方公演から帰ってきて。次の日も朝から仕事あるし、さすがにヘロヘロだ、寝よ!って思ってベッド入ってたら、やっぱり疲れすぎて寝れない。「う~わ、寝れねぇ、寝れねぇ、寝れねぇ」ってなってたら夜中に遣都からLINEが来て。「あれ、圭くん帰ってきてます?」みたいになったから「うん、帰ってきたよ、どうしたの?」って言ったら、「飲みましょう」ってきたんですよ。「いや、おれもう寝るところだわ」って言いいながら気になったから「どうしたの?なんかあったの?」って聞いたら「爆発しそうです」ときたから「なんか現場であったのかな?」って思って、話くらい聞こうかなって頑張って飲みにいったら、あいつ単純に昼寝して夜寝れないっていうだけで(笑)。すごい心配したんすけど、でも俺も会いたかったんで、行っちゃいましたね。スキマスイッチの大橋さんも来て、結局朝まで飲んじゃったんですけど、やっぱり次の日の仕事、頑張れましたもんね。
ELLE これまで数々の作品のなかで多彩な恋愛の形を体現してきた田中さんが思う、男女の理想的な関係性についても教えて下さい。
自分と奥さんの関係性は嫌いじゃないですけど、男性も女性も付き合う相手によって変わると思うんです。結局それぞれのカップルのなかにあることがすべてだから、他人がとやかく言うことではないと思っています。ただ苦手なのは夫婦同士で仲がいい場合、旦那さんが俺らの前で奥さんの悪口を言って、奥さんが旦那さんの悪口言うみたいなこと。理想的なのはお互いがお互いにとってプラスになる関係かもしれないです。あとはずっと仲良しでいちゃいちゃできていればいいんじゃないですか? ってくらいですかね(笑)。うちの場合は奥さんと付き合っているときから別にいちゃいちゃしていなくて、ずっと友達という感じ。今でも一番の親友という感覚なので、男女のことはあんまりよくわからないです(笑)。
ELLE セクシーと称されることも多い田中さんにとって、色気のある男性とは?
すぐに頭に浮かんでくるのは吉田鋼太郎さん、小栗旬くん、眞島秀和さん、田中哲司さんです。みんなタイプの違うクレイジーな大人ですね(笑)。僕もクレイジーなところがあるので最終的にはこういう先輩たちのようになれたらいいなと思うけど、たぶんなれない。ブレない自分というものを持ちつつ、色々なものを蓄積してきたからこその今があるんだろうなと思わせてくれる、真似したくても真似できない人たちです。
ELLE そういう先輩たちの存在があると、この先、年齢を重ねていくのが楽しみになりますね。
年を重ねることに対する恐怖心はないですけど、たとえば真剣佑のビジュアルとかを見ると、かっこよくていいな、若返りたいな~って思いますよ(笑)。(林)遣都とも7歳違うから、話していると若くなりたいと思うこともあるんですよ。でも基本的に今の若い子はさらっとしているからこそ、遣都みたいにさらっとしていない若い子に会うと嬉しくなっちゃう。クレイジーなところも手渡していけたら、と思っています(笑)。
最新出演作『スマホを落としただけなのに』公開記念!
スマホにまつわるQ&A
Q.メールやLINEにはすぐ返事するほう?
A.すぐします。既読スルーはあり得ないですね。女子がよくやってる、既読にしないで待ち受け画面上で見てる……未読スルーってやつですか? あれが理解できないです。「もしかして自分もやられてる?」って思っちゃう。未読の件数が常にゼロじゃないと気持ち悪いと思うタイプです。
Q. もし今携帯落としたら、見られたくない写真はありますか?
ありすぎて困ってます(笑)。僕だけというか、芋づる式にみんな赤面になるやつです。僕自身は撮らないですけど、飲み会とかで動画を撮った人たちから送られてきたものを、ケラケラ笑いながら保存してます。
Q.お気に入りのLINEスタンプは?
「おっさんずラブ」スタンプ、めっちゃ使いますよ。最初使いにくいかなと思ったんですけど、使ってるうちに意外とめっちゃ使えるってことがわかって。「ブラボー」「うぉ~い!」「ははっ」とか遣都の無言やつあたりが好きです。あと、一見用途がわからない「はるたんです」も、全然そういう気分じゃないときになんとなく押してみてください。汎用性高いです。7話の名シーン、「つれぇ」のスタンプがないのが残念ですね。
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発売中のエル・ジャポン12月号にはもうひとつのインタビューはもちろん、魅力爆発の撮り下ろしポートレート、そしてここに載っている以外の、スマホを通した人間性を問うQ&Aを掲載中!
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Interview & Text: Mika Hosoya Styling: Takashi Yamamoto Hair & Makeup:Satoru Ohashi(v a n e s s a + em b r a s s e)Movie: Tsuyoshi Hasegawa
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PROFILE
田中圭/1984年7月10日、東京都生まれ。2000年にデビュー。'03年ドラマ『WATER BOYS』で注目を集め、以後ドラマ、映画、舞台と幅広く活躍。今年4月期のドラマ『おっさんずラブ』の主演で旋風を巻き起こす。現在、日本テレビのぐるナイ「グルメチキンレース・ゴチになります! 」レギュラー、ドラマ『獣になれない私たち』に出演中。11月2日より、映画『スマホを落としただけなのに』が全国公開。