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“性的同意”を共通認識に。専門家とともに性被害・暴力について考えるmimosasの目指す未来【女性起業家×SDGs】

専門家やインフルエンサーと一緒に、性被害に関する知識を発信するオンラインメディアmimosas(ミモザ)は、シェアしやすい思想が共感を呼んでいる。臨床心理士や弁護士として活躍する20-30代が中心の運営するメンバーが、ジェンダーに関係なく、平等を手に入れるために行っている活動とは?  


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mimosas

性被害に遭ったときの心のケア方法や、トラブルを防ぐ知識をわかりやすく発信しているmimosas。発起人の一人である臨床心理士のみたらし加奈さんが、団体を代表してインタビューに回答してくれた。

性被害にあったときの心の拠り所になれたなら

mimosas
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mimosas(ミモザ)は、本インタビューに答えてくれた臨床心理士のみたらし加奈さんほか、メディアプロデューサーの疋田万理さんなど、20-3o代中心の有志メンバーが運営している。異なるフィールドで活躍する彼女たちが団結することになったきっかけは、一通のDMだったそう。

「中心メンバーである疋田万理ちゃんのInstagramに、彼女のフォロワーの方からDMが届いたんです。内容は、性被害に遭ったときにとるべき行動を知ることができるメディアが欲しいという主旨でした。性被害に遭ったショック状態のままインターネットで相談先を検索しても、自分に必要な情報を見つけるのってハードルが高いですよね。そんなときに、わかりやすくで性被害に関する情報や知識を提供するメディアがあればアクセスしやすいし、周りにもシェアしやすいんじゃないかと考えました」

賛同してくれるメンバーが集まって2カ月でローンチ

みたらし加奈
courtesy of Instagram @mimosas

mimosasは誰がやるかではなく、何をやるかを大切にするため、運営メンバーをあえて公表していないという。

「私自身もSNSや書籍『マインドトーク あなたと私の心の話』で性被害にあった体験を告白していたので、もともと友人だった万理ちゃんからこのプロジェクトの原案について聞いたとき、力になりたいと思いました。それからお互いの信頼できる人に連絡して賛同してくれる人が集まったのが今年の6月くらい。そこから立ち上げの準備を始めて、8月にメディアとしてローンチしました」

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みたらし加奈さん。

すべてのセクシュアリティの人へ

mimosas
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国際女性デーのアイコンとも言える、黄色い花ミモザを団体名に掲げ、活動している彼女たち。統計では、性被害者には女性が多いというが、性別やセクシュアリティに関係なく多くの人にむけたメディアでありたいという気持ちをみたらしさんは込めている。

「黄色いミモザの花にはポジティブなイメージがあるし、厳しい冬を乗り越えて暖かい季節に咲く、強さと柔らかさがあるのがいいなと思っています。mimosasは、同じ考えをもつ人たちが繋がり、集う場所であって欲しいと思っています」

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自分の中でうまく解決すれば大丈夫という風潮を変えたい

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mimosasではレイプや痴漢、盗撮などの性暴力被害についてだけでなく、“性的同意”を世の中の共通認識にしたいというみたらしさん。性被害を「被害」と認識していない人も多いのだと教えてくれた。

「学生時代に満員電車で痴漢された話ってよく聞きますよね。それも性被害の一つ。職場の上司からセクハラに遭った人や、パートナーとセックスするときに関係がギクシャクするからNOと言えない場面を経験した人もいるかもしれません。合意がない性的行為は暴力なんですよね。いやな思いを被害と認識せずに、自分の中でなかったことにすれば大丈夫という風潮が日本にはあるけど、それを変えたいんです。性暴力に遭ったことがない人は、もしかしたら少ないんじゃないかな」

ロールモデルの意見をシェアして共感を集める

webサイトをはじめとして、Twitter、Instagram、Noteのアカウントを持ち、それぞれの特性を生かした読者へのアプローチ方法を使い分けているというmimosas。発信する内容は、専門家の知識と、ロールモデルが語る体験談との2軸で展開中。

「自身が性暴力サバイバー(被害者)の人や、そうでなくてもこのトピックについての考えをもつインフルエンサーをmimosasではロールモデルと呼び、彼女たちの意見をシェアしています。これまでHIGH(er) magazineのharu.さんを筆頭に、性教育YouTuberのシオリーヌさん、カメラマンで雑誌『IWAKAN』の編集長Kotetsu Nakazatoさん、アーティストのMars89さんなどが登場し、それぞれの視点で性的合意に対する思いを語ってくれています。投稿を見てくれた人が、自分の体験について気づきがあったらいいなと思うんです」

自分自身と周りを大切に。mimosas初のイベントを開催

mimosas
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10月2日の国際非暴力デーでは、mimosasとして初となるイベント「#わたしとあなたを愛すること」を開催。“セックスのときのYES /NOどうやって伝えてる?”といったなかなか人に聞けないトピックなどについて、個性豊かなゲストを招いて考える全4回のトークセッションや、アート展示、グッズ販売を行った。

「今はまだ性暴力について発言しても、酔っていたからとか、露出が多い服装だった、隙があったなどと言われてしまう現状があります。だから、『性暴力被害をなくしたい』という使命感や、自身の過去の体験について語ることは、日本ではまだまだ厳しいなとずっと思っていたので、今回のイベントのように自由に表現し、意見交換できる場所が必要だと感じていました。会場では自分の意思を身につけられるグッズとして、“Tender Loving Mimosas”や“Knowing Is Our Power”といったメッセージをプリントしたTシャツやステッカーを販売しました(オンラインでも購入可)。グッズを持つことによって、誰かとの対話のきっかけになればいいなと感じています」

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オリジナルTシャツ。グッズの売り上げの一部はmimosasの活動への寄付となる。

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mimosas自体がケアの窓口になるような場所に

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みたらしさんらmimosasのメンバーは、週一回のミーティングで情報を共有しているそう。本職との掛け持ちで忙しいメンバーが多く、お互いを思いやることを特に大切にしているという。そんな彼女たちのビジョンとは?

「“私の体は私のものだし、あなたの体はあなたのもの”ということを世の中に浸透させて、ファッションの話をするくらいカジュアルに、性的同意について話せるような未来にしたいです。また、苦しい気持ちを独りで抱えさせない世の中になっていったらいいな、と。そのために、誰かに話したくなるようなコンテンツ発信を心がけながらも、一対一でしか話せないような心のケアの話も取り扱いたい。いつかはmimosas自体が性暴力被害者の心のケアの窓口になっていけたらいいなと考えています」

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10月2日に開催されたトークショーに登壇するみたらし加奈さん(左)、ジャーナリストの伊藤詩織さん(中)、メディアプロデューサーの疋田万理さん(右)。

INFORMATION

kana mitarashi
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みたらし加奈(27)

東京都出身。大学卒業後、指定大学院へ進学し臨床心理の道へ。2020年6月には、初のエッセイ『マインドトーク-あなたと私の心の話』を出版。SNSを通して、精神疾患の認知を広める活動を行い、mimosasでは理事を務める。2020年よりELLEgirl UNIに参加。

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Text:AYANA TAKEUCHI

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