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写真で振り返る、2020年ELLE的重大ジェンダー・ニュース総ざらい

フェミニズムやLGBTsに関する意識改革を突き付けた2020年の重要なトピックスをセレブゴシップから政治ネタまで総ざらい!

2020 ジェンダーニュース 
Aflo

赤ちゃんの性別を明かさないことにしたエミリー・ラタコウスキーや、コロナ禍での生理用品無料化を果たしたスコットランドなど、ジェンダーを巡り大きく話題になった2020年のニュースの中から、特にポイントとなったトピックをデイリーゴシップのライター長坂陽子さんと担当エディターKeiichiが総ざらい!

性別は自分が決める~赤ちゃんの性別を明かさないセレブ続出

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Sam Payne/Broadimage//Aflo

今年妊娠・出産したエミリー・ラタコウスキー、グライムスは子供の性別を公表しないことを発表。性別を決めるのはその子自身だからという理由。この動きは2020年、日本の芸能界でも目立った。

これは、ジェンダーが周囲に認識された途端に、偏見や刷り込みが始まるということを理解した行動。今年は子どもが5歳になり、自分で性別を認識できて初めてジェンダーを明かしたケリー・ローランドのニュースも。

エリオット・ペイジやサム・スミスのように自分の代名詞「she, he ,they」などを自分で決定することは、LGBTsのサポートが進んでいる大都市ではかなり以前から学校内で徹底されてきたことだけれど、この動きはますます活発化。

ジェンダー問題が解消されない映画界の現状が露呈

92nd oscars nominees luncheon   arrivals
Kevin Winter//Getty Images

世界中で188のノミネート、71の受賞を果たした『ストーリー・オブ・マイライブ/わたしの若草物語』の監督、グレタ・ガーウィグがアカデミー賞監督賞から完全スルーされた。

いっぽうフランス・セザール賞では、144ノミネート44受賞を果たした『燃ゆる女の肖像』のセリーヌ・シアマ監督が監督賞受賞を逃し、そこそこの評でセザール賞を除けば4受賞(そのすべてがベネチア)『J'accuse』のロマン・ポランスキー(刑から逃れている性犯罪者)が獲得。主演のアデル・エネルが「恥を知れ!」と言って会場を出ていったのも納得。『燃ゆる女~』があまりにもち密で完成度が高かった(しかも予算も少ない)作品だったがゆえ、マジョリティである男性会員たちの嫉妬を買ったと捉える人も。

結局、巨大な同属者集団であるアカデミーのマインドなどそうそう簡単に変わらないということが証明された。やはりルールを変えた米国アカデミーは問題はあれど正しかったと言わざるを得ない。

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コロナ禍でも大統領選でも埋もれていた女性アンカーが活躍

donald trump and joe biden participate in final debate before presidential election
Justin Sullivan//Getty Images

コロナ対策で女性がリーダーシップを執った国が成功を収めたと評価されたのは多くの人が知るところ。

BBCキャスターが「コロナウィルスの被害は平等ではありません」と、女性や経済的弱者がよりダメージを受けやすいと訴え称賛を浴びたのが3月。米大統領選でも力強く討論会を仕切ったのは女性アンカーだった。
 
1回目のディベートの仕切りがクリス・ウォレスで最悪だったのに対し、10月22日、2回目の仕切りを担当した女性アンカーのクリステン・ウェルカーの手際が見事だと世界的から称賛が集まった。彼女のような有能なアンカーは女性であるがゆえに昇進を見送られてきたのだろうと報じるメディアも。

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スコットランドで生理用品が無料に フランスでは貧困層に無料配布

スコットランド 生理用品無料
Getty Images

6月、フランスが最貧困層の女性へのために生理用品の無料提供を決定すると、海を隔ててお隣のスコットランド議会は11月24日に、地方自治体が必要とするすべての人が無料で入手できるよう努めるよう法律を整備。

生理用品といえば、被災地やコロナ禍など危機的状況で、改めて女性のクオリティ・オブ・ライフを支える生活必需品であること、女性の最低限の生活を圧迫する出費であることを再認識させるものとなった。なのに公的サポートがほぼゼロ! 2020年は「生理コスト」の認知が広がった年だった。

女性セレブがセックス業界をサポート

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11月カーラ・デルヴィーニュとダコタ・ジョンソンが女性ためのセックストイブランドと提携したとのニュースが。セックストイにジェンダー格差があったことを指摘し、セクシュアリティのケアは男女が公平に手にするべき権利だと主張。

一方、元恋人シャイア・ラブーフをDVで訴えているFKAツイッグスが、コロナで影響を受けている性産業従事者たちのために募金活動をスタ―ト。圧倒的に女性が多い業界で経済的にも人権の面からも蔑ろにされている仲間たちを支援している。

性産業を不健全なまま放置しない。この動きには今後も注目。

子どもを産むかは女性が決めること。ジャスティンの姿勢表明

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Jon Kopaloff//Getty Images

エレン・デジェネレスにヘイリー・ビーバーとの子どもは何人作るのか質問された際、「自分の家族は欲しいと思うよ。でも、ヘイリーの体だからね。彼女がしたいようにするよ」と回答したジャスティン・ビーバー。

出産は女性の身体の問題。決定権はすべて女性側にあるという姿勢を表明したジャスティンの株が一気に上がった。もうそろそろ男性に子どもは何人欲しいか訊ね、「サッカーが好きなのでチームが作れるくらい」と笑いをとる……といった身勝手なやりとりが絶滅する日も近い?

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大阪なおみ選手へのBLMバッシング、グレタ・トゥーンベリへの嫌がらせ……若い女性への言論抑圧相次ぐ

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Al Bello//Getty Images

BLMへの発言に対して、有象無象の人々が猛バッシングを繰り広げた2020年。

「スポーツだけやっていろ。なぜなら……」「よく知らないようだから教えてあげる……」といったマンスプレイニングだけでなく、女性からも「主張しすぎ」「もう少し柔らかく言えばいいのに」といったトーンポリシングが殺到。

若い女性が主張を始めると必ず現れる無意味なマウンティングにはもううんざり。2021年はアクティビストに対する(健全な批判とは全く異なる)“クソリプ”が減少していくことに期待。

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J・K・ローリング、トランスジェンダー差別で炎上

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Samir Hussein//Getty Images

6月「生理があるのが女性」という趣旨のツイートで大炎上した『ハリー・ポッター』シリーズの原作者ローリング。新作の中で女性を殺害するため女装して犯行に及ぶ男性を登場させたことで、トランス女性への憎悪か? と炎上。ハッシュタグ、#RIPJKRowling(J・K・ローリングよ安らかに=もう出てこないで)がトレンド入り。外装が女性であれば女子トイレを利用してしかるべきなのか日本でも論争が起こった。

もし女性に“変装した”男性がトイレに入って襲ってきたら……と想像し恐怖を感じるのは仕方がないこと。でも、そもそも攻撃するべきなのはトランス女性ではなく、シス男性の暴力性。無自覚な差別心から、本当の問題点である男性性から視点が逸れてしまった。いずれにせよ、先に解決するべきなのは性犯罪の圧倒的加害者である男性。

BLACKPINKとコラボしたセレーナ・ゴメスも支持! セレブ・シスターフッドの台頭

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Matt Winkelmeyer//Getty Images

11月『CR fashion book』のインタビューでセレーナ・ゴメスが「女性たちが支え合うことができないという考え方は受け入れない」と豪語。「女性はキャットアウトするとか、お互い応援できないという考え方は私は受け入れない。それは女性が連帯したらなんでも成し遂げられることを恐れている人たちが言っていること」。まさにその通り。

逆に、女性たちが批判し合うとすぐに「女の敵は女」と揶揄されてしまう現象は、女性たちは連帯できないという不安からきているとも言えるはず。健全な批判を活かすためにも、女性たちは連帯できる! と訴えることは大切。

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アメリカ最高裁が保守に傾く 妊娠中絶否定派が多数に

supreme court justice nominee amy coney barrett meets with senators ahead of confirmation vote
Pool//Getty Images

9月、ルース・ベイダー・ギンズバーグが逝去し、超保守派のバレット判事(写真)が最高裁判事になったことで最高裁が妊娠中絶否定派が多数に。プロチョイス(中絶権利支持派)から、プロライフ(母体より胎児の命優先の考え方)の世界へ逆戻りするのか、2021年が気になる。

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パリ市長 女性登用「しすぎ」で罰金を払わされる

homeland security secretary jeh johnson delivers opening remarks at the white house summit on countering violent extremism
Chip Somodevilla//Getty Images

仏公共変革・公務員省が、2018年のパリ市の人事が規則に違反していたとして罰金9万ユーロ(約1140万円)の支払いを求めたというニュースが出たのは。

上級職に女性11人、男性5人を配属ししたため、「管理職の人事で男女どちらかの比率が60%を超えてはならない」と定めた2013年の規則に違反しているという理由。ちなみにこの規則は2019年に廃止されている。そしてこの人事を経ても男性52%と男性優勢は変わっていない。

なのに廃止されたルール違反で罰金とは、法律を使用した嫌がらせと受け取られても仕方ないが、すごいのはここから。

「バッカじゃないの(笑)」と一蹴すると、「罰金を受けたことを発表することができてうれしく思います。パリ市はどうやらフェミニストになりすぎてしまったようです」と議会で皮肉たっぷりにスピーチ。アファーマティブアクションが昔から嫌いなフランスで肝の座った女性登用を断行するイダルゴ市長に、大手メディアは牽制する記事ばかり。フランスという国の教条主義が再認識された。

ナタリー・ポートマン、サッカーチームを設立

スポーツ界における男女の賃金格差を解消するべく活動してきたナタリー・ポートマンが7月ロサンゼルスに女子サッカーチームを立ち上げることを発表。女優のアメリカ・フェレーラやジェニファー ・ガーナー、エヴァ・ロンゴリア、ウゾ・アブダなどハリウッドセレブ、ベンチャーキャピタリストのカーラ・ノートマンやジュリー・ウーマンが設立者として名を連ねている。
 
「NIKE」などスポーツメーカーも女性アスリートたちの経済条件、社会的地位の向上に動き出し、2020年はマチズモが天下を取っているスポーツ界にも光が差し始めた。

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ピンクがジェンダーニュートラルな色に

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Rodin Eckenroth//Getty Images

日常的にピンクを着ているだけでなく、自分のブランドからもピンクアイテムを発売しているのが、『アクアマン』のジェイソン・モモア。193㎝のキン肉マンが“女の子の色”と捉える人が多いピンクで全身を包む姿は話題に。ハリー・スタイルズやティモシー・シャラメのジェンダーニュートラルなファッションも引き続き話題となり、ファッション界の「男らしさの解体」が加速している。
 
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米国初の女性副大統領とファーストレディがこぞってバカにされる

カマラ・ハリス 
Aflo

12月ジャーナリスト、ジョセフ・エプスタインが「ウォール・ストリート・ジャーナル」で掲載されたエッセイで、ホワイトハウスのHPに「Dr.ジル・バイデンが」と記載されていることを揶揄。

「ホワイトハウスにドクター(博士)がいる? もし医学博士が必要ならばそこに博士はいない」「ファーストレディ、バイデン夫人、ジル、お前……あなたの名前の前にあるドクターという表記は削除するべきではないか? ドクター・ジル・バイデンとは滑稽と言わないまでも、詐欺のように聞こえる」「かつて賢者がこう言った。『赤ん坊を取り上げたことがないのならドクターと称するべきではない』」と揶揄。博士号を持つ人がドクターを記載・名乗ることは国際的にも認められている行為なのに……。

博士号をもつ女性を完全にバカにしたこのエッセイは完全にジェンダー差別。カマラ・ハリスも「上昇志向の強い女」と呼ばれ、ambitiousは女性が対象になるとgreedに置き換わるシーンを2020年になっても相変わらず見る結果に。

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男女格差が改善されない音楽業界ゴシップ

the global awards 2020   red carpet arrivals
Mike Marsland//Getty Images

デュア・リパが、音楽界には男女差別があると語ったのが11月。飛ぶ鳥を落とす勢いのアーティストの告発とあって、大きな話題に。

LGBTQマガジンである『Attitude』のインタビューで若い女性が「真剣に」向き合ってもらうためには、男性よりもずっとハードに「(自分のイメージが)作られたものだと思っているからこそ、常に自分自身を証明するプレッシャーや不安」と闘わなくてはいけないと語ったデュア・リパ。そのためにも「部屋の中で座って誰かに楽曲を誰かに書いてもらうのを待つ」受け身の姿勢から抜け出す必要があるとも。

MVでスカートを履くことを強制されそうになって断った思い出を引き合いに、同意できないことには「そんなことをするつもりはない。私はこうするつもり」ことに慣れてきたという彼女の姿勢は当然。

9月のトロント国際映画祭でDJ業界の男女格差を告発する『Underplayed』も公開され、2017年にスティーブ・アオキが公に訴えても、なんら状況は改善されていないことが証明されてしまった。

2021年グラミー賞の候補にザ・ウィークエンドがまるでノミネートされていなかったことで人種差別も根強く残っていると疑われている米音楽業界。黙っていると結局運営側のマインドは変わらない。やはりアカデミー賞のように基準の制定は重要なのかもしれない。

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ラナ・デル・レイの「ホワイトフェミニズム」が大炎上

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Mat Hayward//Getty Images

殴られても愛する女性像、男に尽くす女性像を歌い度々ジェンダロールの再生産だと批判を浴びてきたラナ・デル・レイ。ついに彼女が我慢できなくなったのは5月21日。

「私だってフェミニストじゃないわけじゃない。でも、私のような考え方の女性を受け入れる場があってもいいはず。まるで奴隷のように従順に男性に尽くす女性や、女嫌いの男性たちや強い女性たちによって声やストーリーを奪われてしまった女性を受け入れてほしい」とインスタに投稿。

言い換えれば男性の暴力へに服従してしまう私もフェミニズムは肯定してほしいということ。反論が相次いだが、本当に大炎上したのはその後。

自分と違って問題のある主張をしていながらフェミニストだと認められている女性アーティストして挙げたのが、アリアナ・グランデ、ビヨンセ、カミラ・カベロ、カーディ・B、ケラーニ、ニッキー・ミナージュらはすべて人種マイノリティだった。

そう、マイノリティだからってやってることは同じなのに称賛されて、白人の私だけがフェミニストから批判されているおかげでグラミー賞がもらえないのは「白人だからって差別されている!」というわけ。

もう白人女性に耳障りのいいフェミニズムはオワコン。「正社員にだけが救われる働き方改革」「富裕層にだけ都合のいいSDGs」を肯定するのと同じで、もう無理。マジョリティであれば必ず批判される側面も出てくる自覚が必要だと思い知らされたセレブゴシップ。

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仏フィギュアスケート界の性犯罪告発相次ぐ

ジル・ベイエと当時の教え子レティシア・ユベール。1992年
Getty Images

1月、フランス選手権を10度制覇、2000年の世界選手権で銅メダルに輝いた元フィギュア・スケーター、サラ・アビトボルが15歳から2年以上にわたり、コーチのジル・ベイエから継続的なレイプを受けたと告発。仏フィギュア・スケート界に激震が走った。

告発は続き、1973年の全仏女王ナンシー・ソフィも14歳から18歳までの間、当時のコーチ、ジャック・モロゼクにわいせつ行為を受けていたと訴えた。さらに他3名の告発者が、ジャン=ロラン・ラクレ、ミシェル・ロッツを加害者として名指し。

問題は、加害者があっさり罪を認めたこと。フランスでは11歳の少女を強姦した犯人が立て続けに2人も「性的同意」を武器に無罪になったことをきっかけに、性交同意年齢が15歳になったのはようやく2018年になってから。

「同意」とは「断った側が危うい状況に陥らないこと」が大前提にも拘わらず、指導者と選手という権力格差もフランス社会では考慮すらされなかった歴史が長い。そのことが図らずもこのコーチたちの強制わいせつによって明るみに出てしまった。

彼らは少女たちが強姦だと言い張っても「性交に同意しなかったこと」を誰かに訴えることも、証明する方法も知っているはずがない。裁判沙汰になっても年齢上はOKなので「同意のうえでのセックス」と判断するしかないと分かったうえで犯行に及んだので、あっさり認めた。そう考えるしかない。

フィギュアスケート界の重鎮による10代の選手への強制性交が相次いで白日のもとに晒された2020年。

年末も近づく12月にも花形選手モルガン・シプレが児童への性犯罪で練習先のアメリカで捜査され逃げ帰っていたニュースも流れ、仏フィギュアスケート界がセクシャルハラスメントという病理に冒されていることがわかり、国際的信用は地に落ちた。

韓国でも今年、多数の少女たちの猥褻画像を手に入れ脅迫し性的に搾取した「n番事件」をきっかけに性交同意年齢が16歳に引き上げられた。いっぽう日本は「性的に同意できる年齢」の下限は13歳という非常に低い年齢であることが問題視されている。2021年に変わることができるか?

キム・ギドクの死を「悼んだ」一部の国のメディアにドン引き

kim ki duk portrait session   the 70th venice international film festival
Gareth Cattermole//Getty Images

ラトビアのリガでコロナウィルス感染により亡くなったとされているキム・ギドク。彼の死を功績とともに紹介、「追悼」した国が現れたことに非難が。中には仏「Libération」紙のように事実をよく調べないまま「暴力事件たった一件分の罰金のせいで彼の未来が台無しになってしまった」とまるで告発者たちを加害者扱いするメディアまで。

キム・ギドクが撮影現場そのものをレイプを含む凄惨な性犯罪の場にしたこと、罰から逃れるために北欧に(ロシアにも)逃げたこと、事実はあれど法的に認められなかった性犯罪があったことは、映画関係者の中で知らない人はいない事実(まるでロマン・ポランスキーの手口とそっくり)。

韓国の報道特集「PD手帳」などで、男女複数の関係者によって証言された撮影現場の様子は凄惨で、キャスターが「あまりにも酷過ぎて報道できない」部分もあると語ったほど。出演女優やスタッフが目と鼻の先で性的に暴行されても、権力と恐怖で支配された現場では止めることもできなかったという現場。「撮影現場でレイプしたのか、レイプするために撮影していたのかわからないほど」と語るスタッフすら……。

本国ではどの映画の撮影現場で犯罪が行われたのかも判別できないため、彼の作品は取り上げることもできず、追悼番組などもってのほか。犯罪現場から生まれたかもしれない作品を、「偉大な監督が遺したカンヌ・ベルリン・ベネチアの3大国際映画祭で授賞した素晴らしい作品」としてこの機に紹介したメディアは、恥を知るべき。

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