夏になると気になるのがデリケートゾーンの「ムレ」や「におい」。「デリケートゾーンのお悩みを抱えてクリニックに来院する患者さんのほとんどが方法を間違えている」と語るのは、アヴェニューウイメンズクリニックの院長・福山千代子先生。ムレやかゆみ・黒ずみ・ムダ毛の処置の仕方まで、デリケートゾーンの悩みを解決する正しいお手入れ方法を医師が解説。
【1】まずは正しい「洗い方」をマスターすべし
「デリケートゾーンの悩みを挙げてみると、乾燥・ムレ・かゆみ・吹き出物、あとは性交痛など、本当にいろいろな悩みが。でも、この悩みのほとんどは『正しいお手入れ』を行っていれば、軽減できるんですよ。みなさん、そのお手入れ法を知らないだけなんです」と福山先生。
なかでも、今すぐ正しい方法を学んで欲しいと福山先生が話す「デリケートゾーンの洗い方」をチェック!
デリケートゾーン専用ソープを使ってる?
「デリケートゾーンケアは『全く気をつけていない人』と『ものすごく気をつけている人』に二分されます」と福山先生。「“デリケートゾーン”と呼ばれる部分なので、丁寧にお手入れをすべき。洗浄力の高い石鹸やボディソープでデリケートゾーンを洗うのは言語道断! 膣の中の環境が崩れ、かえって菌が入りやすくなってしまいます」(福山先生)
特に気をつけたいのは膣内環境。乳酸菌のひとつである「乳酸桿菌(にゅうさんかんきん)」が膣内環境を整え、外部からの細菌の侵入を防いでいる。この環境を守りつつ、外陰部を清潔に保つためには「膣内の環境と似た弱酸性の洗浄料を使ってケアすること」が大事と言われている。
一方で「過剰にお手入れしている人も要注意」と福山先生。「清潔にすることは良いことですが、過剰にお手入れしている人が増えています。例えば、使い捨てのビデをトイレに行く度に使っていたり、シャワーの当てすぎもNG。膣内の大切な菌を根こそぎ洗い流してしまい、細菌が入りやすくなってしまうので気を付けて」(福山先生)
デリケートウォッシュの正しい選び方
最近ではオーガニック・ナチュラルコスメブランドの専用ウォッシュが数多く登場しているが、正しく選ぶポイントとは?
「まずは膣内環境を崩さずに洗うことを最優先に。アルカリ性の石鹸やボディソープはデリケートゾーンへの使用は避けること。弱酸性の専用ウォッシュを選ぶと良いですね」(福山先生)
ゴシゴシ洗いはNG! デリケートゾーンの正しい洗い方
「『タオルを使ってゴシゴシ洗っている』と言う方が多いですが、これは間違い。必要な乳酸菌はもちろん、タオルによる摩擦により、乾燥を招いてしまいます」(福山先生)
【デリケートゾーンの正しい洗い方】
①しっかりと泡立てる
②外陰部を泡で包み込む
③指の腹で外陰部付近を撫でるように洗う
「外陰部付近に溜まっているタンパク汚れは、指で軽く撫でれば洗い流せます。『これだけ?』と感じるかもしれませんが、今までの洗い方が『強すぎる』のです。これだけで汚れは十分に落とせます」(福山先生)
【2】デリケートゾーンの「保湿・マッサージ」はマスト!
「デリケートゾーンの皮膚の厚さは、腕の1/40程度。少しの摩擦でも刺激になり乾燥を招き、乾燥した状態で擦れると黒ずみ(色素沈着)も気になるように。日頃から保湿ケアを行い、潤いを保つことが大切です」(福山先生)
専用オイルでスキンケア&マッサージを
また、「性交痛」の悩みも保湿ケアで緩和されるとか。「性交痛で悩んでいる人は、外陰部が硬くなっているのも原因のひとつ。専用のオイルを使ってマッサージを行えば、外陰部が柔らかくなって痛みを感じにくくなりますよ」(福山先生)
おすすめはクリニックでも扱っている「アロメディカ」の“フェミノール”。「洗浄しながら、保湿・マッサージもできる優秀なアイテムです」(福山先生)
日本上陸は15年以上も前から。洗浄はもちろん、保湿、においケアにも。
【3】デリケートゾーンの「におい」の原因は?
頭皮やワキと同様、「夏は特にデリケートゾーンのにおいが気になる」という人も多いのでは?
「においの発生は頭皮やワキと同じメカニズムです。汗自体ににおいはなく、菌と混ざることでにおいが発生します。正しいお手入れをしていれば特ににおいは気にならないと思いますが、まれに『すそわきが』と呼ばれる、においが強い症状の方もいます」(福山先生)
“すっぱいにおい”は異常ではない!
「おりもの自体は酸性で少し酸っぱいにおいがします。このにおいを病気なのでは?と心配されて来院する患者さんもいますが、これは健康な証なので気にしなくて大丈夫」(福山先生)
においの原因は生活習慣にあり!?
デリケートゾーンのにおい悩みは、意外にも普段の生活習慣に原因があることも。
「注意して欲しいのは、おりものシートの使い方。『おりものシートを1日中つけっぱなしにしている』という人がいて驚きましたが、これでは菌が繁殖し、においが発生するのも無理ありません。おりものシートはこまめに取り替えることが大事。正しく使いましょう」(福山先生)
また、排泄時にも気をつけたいことがあるそう。「排泄後にトイレットペーパーで陰部を拭き取る際、後ろから前へ拭き取ると膣内に排泄物の菌が入る可能性があるためNG。拭き取る時は『前後どちらにもこすらない』こと。陰部にペーパーを5秒当てて、残った尿をペーパーにしっかり染み込ませるのが正しい拭き方です」(福山先生)
生理中のにおい対策はどうしたらいい?
生理の間、においが気になる人も多いのでは? 「最近の生理用ナプキンは吸収力が高く、におい対策もされている商品が多いので、こまめに取り替えていれば神経質にならなくても大丈夫。それでも気になる場合は、ナプキンからタンポンに切り替えるのも手。においの発生を抑えられますよ」(福山先生)
VIO脱毛はにおい対策に効果がある?
最近では10代からVIO脱毛をしている人が増えているけど、デリケートゾーンのにおいケアにも有効なの?
「においの原因もいろいろあるので一概には言えませんが、下着の中がムレて汗をかいてにおいが気になる場合は、VIO脱毛が有効だと思います。におい対策の脱毛は毛量が減り、ムレの心配も少なくなるIゾーンがおすすめです」(福山先生)
【4】みんなに起こる“黒ずみ”のお手入れ方法
「デリケートゾーンの黒ずみ悩みは特に若い女性に多く、『彼氏に言われてショックだった』という理由で来院するケースも。でも、黒くなるということは女性の体が正常に働いているという証拠なんです。乳首やデリケートゾーンは女性ホルモンのひとつである『エストロゲン』の分泌が増えると、黒くなり、これは健康なことなので心配しないで」(福山先生)
それでもなるべく黒ずみを防ぐためにできることとして、福山先生が挙げるのが「色素沈着」対策。下着によるこすれや摩擦、生理時のナプキンの使用によるかぶれなどで色素沈着してしまうことがあるのだとか。また、「乾燥によって掻いてしまうと黒ずみが悪化してしまうので気をつけて」(福山先生)とのこと。
黒ずみのセルフケアはどうしたらいい?
黒ずみを自分でケアしたいときはどうしたらいいの? 「やはり『保湿』に限ります。摩擦や下着などによるこすれも肌が乾燥していると症状が重くなり、かゆみに繋がります。まずは専用のローション、美容液、クリームなどでしっかり保湿して潤いをキープすること。その上で、パンティライナーとのこすれによってできてしまった黒ずみなどは美白美容液を使ってケアすることをおすすめします」(福山先生)。
【5】 編集部おすすめ・優秀デリケートゾーンケアアイテム
「デリケートゾーンケアアイテムを愛用している女性は増えてはいるものの、まだまだ認知はされていない」と福山先生。ここで編集部がおすすめするデリケートゾーンアイテムをご紹介!
におい対策:デリケートゾーン専用ソープ
和漢植物をベストな配合でブレンドした日本製リキッドソープ。
アウトクリア ケアウォッシュ ムースタイプ 100g ¥1,280/ハナミスイ
もっちりとした泡をデリケートゾーンに乗せて“泡パック”をするだけの簡単洗浄。におい対策にも◎
におい対策:デリケートゾーン専用ウェットシート
携帯用に便利なウェットシート。外出のお供に ◎
におい対策:ミストスプレー
ムレ・かゆみなど外出先でも気になる時にシュッとスプレーできるナチュラルローション。
保湿対策:デリケートゾーン専用オイル
マッサージオイル 100mL ¥4,200/ウーマンエッセンシャルズ
乾燥しがちなIゾーンや外陰部をマッサージしながら保湿して。
保湿対策:デリケートゾーン専用セラム
シンプリス センシュアル フェミニン デュオセラム 45g ¥6,300(2020年8月3日発売)/シンプリス
たるみやくすみ、黒ずみに着目。下着のこすれによるかゆみもケアする美容液が新登場!
黒ずみ対策:オーガニックコットンのおりものシート
肌当たりの優しいオーガニックコットンで作られたおりもの専用パンティライナー。薄型でコンパクト。
福山千代子先生/アヴェニューウィメンズクリニック院長
日本産科婦人科学会専門医、日本産婦人科学会所属、日本女性心身医学会所属。更年期障害を専門に、あらゆる世代の女性のお悩み解決に努めるドクター。2009年11月、六本木の「アヴェニューウィメンズクリニック」院長に就任。ホルモンが大きく変化する更年期に身体的、精神的に多様化する悩みに合わせて、ホルモン補充療法、漢方薬処方、更年期 点滴などさまざまな角度からアプローチを行う。
クリニック ホームページ : https://www.aw-clinic.com/