「エル」が注目するクリエイターや女優、モデルなどにフィーチャーし、おしゃれの秘密などを10のキーワードで紐解く人気連載。Vol.16は、ヘア&メイクアップアーティストの三苫 愛さんが登場!

九州から憧れの東京へ、そしてLAに移住。30歳のときの大きな決断が今の私を作ってくれた

移住したLAから、メイクやファッション、ライススタイルなどをSNSで定期的に発信しているヘア&メイクアップアーティストの三苫 愛さん。それは幼い2児を抱えて忙しい日々を送っていると思えないほどセンスにあふれ、幅広い世代から絶大な支持を得ている。

そんな三苫さんへのインタビューを通して感じたのは、透明感のある聡明な女性だということ。おっとりとした雰囲気とは裏腹に自分の考えをしっかりもち、柔らかな語り口ながら意志の強さも感じさせる。だからこそ、東京で積み上げてきた美容師としてのキャリアを手放し、30代で海外に移住するという勇気のいる決断を成し遂げられたのかもしれない。

三苫 愛さんをつくる10のモノ・コト/pluieプリュイ
ai mitoma
ピンクの壁と植物、そして三苫さんが三位一体となった1枚。

専門学校を卒業するまで九州で過ごし、ヘアサロンへの就職をきっかけに東京に上京した三苫さん。「中学生の頃から東京に憧れていたので、上京当時は毎日が楽しくて楽しくて。東京にはいろいろなタイプの人がいるので、田舎と違って周りの目を気にすることもないですし、やっと自分に合う場所を見つけられたと思いました。LAへの移住を決めたころには、東京で暮らすことに疲れてしまっていましたけどね(笑)」。

美容師として11年間ほど東京で活動し、LAに移住したのは30代になってから。「実はずっと海外暮らしにも憧れていて、20代の頃に1週間ほどNYに、3カ月ほどLAに留学しました。NYは東京に似ていると感じて、しっくりこなかったんです。逆にLAはなぜかほっとできてすごく心地よくて住みたいと思ったのですが、当時は東京での生活のすべてを捨てて行くことができなくて。でも、帰国後にずっと悶々としていたんですよね。ここで行かないと絶対に後悔するって思ったんです。移住したのはその1年後。LAでなにができるかわからないけど、とりあえず行ってみよう!って。今思えばすごい行動力ですよね。美容師として一旗あげようとか、メイクアップアーティストとして成功しようとか、アメリカンドリームを夢見てなかったのが良かったのかも。LAに移住して夫と出会い、子供たちも生まれ、家族で楽しい日々が過ごせている。そう思うと、あのときの自分の行動力に拍手を送りたいです(笑)」

三苫 愛さんをつくる10のモノ・コト/pluieプリュイ
ai mitoma
自然の豊かさを感じられるLA。

LAに移住して5年。メイクアップアーティストとしてはもちろん、母として女性として、ますます魅力が増している三苫さん。メイクやファッションへのこだわりから、家族や旅行といったライフスタイルのことまで、三苫 愛をつくる10のモノコトにクローズアップ!


STYLE1.PLUIE(プリュイ)

三苫愛/プリュイ
NOBUKO BABA
不完全なデザインに心惹かれる「PLUIE」のジュエリーたち。

「私が今の人生を歩いているのは、『PLUIE』に出合ったことが始まりです。『PLUIE』の自然を感じるデザインは、自然から生まれた私たちだから肌なじみもよく美しい。そんなブランドの考え方に感銘を受け、メイクやファッション、さらには人生までも影響を与えてくれました。『PLUIE』のジュエリーはどれもナチュラルなテクスチャーで、デザインもどこか自然を彷彿とさせます。肌なじみもよく、つける人に寄り添って溶け込んでくれる。だから、不自然に見えるメイクが好きではない私にすごくフィットするんです。初めてつけたときの高揚感は、今でも鮮明に覚えています」

三苫愛/プリュイ
NOBUKO BABA
その日の気分や着こなしに合わせたジュエリー選びも至福の時間。

STYLE2.LA

三苫愛をつくる10のモノこと/pluieプリュイ
ai mitoma
東京と違い、自然を身近に感じられるのもLAの魅力。

「LAに魅了されたのは、気候と人、そしてカルチャー。幼少期を田舎で過ごしているので自然が豊かだとほっとするし、人と人の壁がすごく低くてみんなフレンドリーなんです。日本だと人と比べたり、誰かが誰かにジェラシーをもったり。同じ文化の人たちだけの環境で凝り固まった考え方になっていましたが、LAでそれらがパッと解き放たれました。自分は自分でいいんだ、もっと自然に自分らしく生きたい。そう思えるようになったのは、LAのおかげです。あと、英語もまだまだまな時期に、日本とは勝手が違う環境で第一子を出産したことで人間的にも強くなった気がします。なんでもどんとこい! って思えていますから(笑)」

三苫 愛さんをつくる10のモノ・コト/pluieプリュイ
ai mitoma
リビングルームの暖炉の上にはお気に入りの石が並ぶ。

STYLE3.色

三苫愛をつくる10のモノこと/pluieプリュイ
ai mitoma
それぞれの石が持つ、自然の発色が気に入っているという「PLUIE(プリュイ)」のリング。

「どんなものを見るときも、私は真っ先に色が入ってきます。空の色とか葉っぱの色、人の目の色……。くすみが入ったような自然な色が好きで、自然を見ていると意外な色の組み合わせなのに素敵!などの発見にもなるんです。もちろん差し色にヴィヴィッドな色を使うこともありますが、その場合は違和感にならないようバランスを図る。たとえば、ピンクのマスカラをしたら、そのほかは抑えたりして。私は引き算でバランスをとるようにしています。メイクもヘアもファッションも、色を取り入れるとハッピーな気分になるし、私は色とともに生きているといっても大袈裟じゃないかもしれません」

三苫 愛さんをつくる10のモノ・コト/pluieプリュイ
ai mitoma
植物や果物も、色の組み合わせのインスピレーションに。


STYLE4.ファッション

自分好みに細かくリクエストした「yoshino oyakawa」でオーダーメイドしたセットアップ(本人私物)。
NOBUKO BABA
自分好みに細かくリクエストした「Yoshino Oyakawa」でオーダーメイドしたセットアップ(本人私物)。

「ファッションが好きだから美容師の仕事を選んだほど、私にとってなくてはならない存在です。このブランド&デザイナーだから買うのではなく、ファッションはデザイン重視。特に最近は見たことのないデザインに惹かれることが多いですね。『サリハモア』のトップスが、まさにそう。LAで開催されている”エコパーククラフトフェア”で着ている子を見かけて、どうしても欲しくてデザイナーとしつこくコンタクトをとって手に入れたんです。ビーズで作られた一点モノで、これは洋服というよりアートピース。作り手のこだわりも感じられるし、なにより苦労して手に入れたので(笑)思い入れもひとしおです」

ハンドメイドの温もりと絶妙な配色にひと目惚れした「サリハモア」(本人私物)。
NOBUKO BABA
ハンドメイドの温もりと絶妙な配色にひと目惚れした「サリハモア」(本人私物)。

STYLE5.メイク

三苫愛
NOBUKO BABA
三苫さんの最近の愛用品。下地は「ムー」、ファンデーションは「NARS」と「アンプリチュード」、マスカラは「BYREDO」、リップは「hince」と「アディクション」がお気に入り。(すべて本人私物)

「私にとってメイクはファッションの一部。もちろんモードなメイクも好きなのですが、街では浮いてしまう。また、シミなどを厚塗りで隠そうとすると、すごくおしゃれでも台無しになってしまうこともあります。だから私は街を歩けるナチュラルなメイクで、ファッションとつなげたいと思っています。たとえば、ベースはツヤ肌でナチュラルなんだけど、色を使ってファッション要素を取り入れたり。メイクは自分を上げてくれるパワーがあるものなので、その楽しさをインスタライブやメイクアップイベントなどでもっと伝えていきたいですね」


STYLE6.香り

三苫愛
NOBUKO BABA
左から 「ウカ」のボディオイル”ドリーム”、ハンドクリーム”13:00”、ルームミスト”13:00”(すべて本人私物)。

「私は香りにすごく敏感で、実はキツい香りの香水は頭が痛くなってしまうため苦手なんです。でも、自然の香りは大好きで、特に気に入っているのは『ウカ』。“13:00”は第一子妊娠中にアディクトした香りで、元々胃腸が弱く、つわりも酷かったのでミント系の爽やかな香りには助けられました。ちなみにルームミストはマスクに吹きかけるのもおすすめです。第二子妊娠中にハマったのが”ドリーム”。ラベンダーやフランキンセンスなどが配合されていて、すごく落ち着く香りなんです。睡眠ホルモンに働きかける成分も入っているので、寝ることがなにより好きな私に合っているのかも(笑)」


STYLE7.家族

三苫愛をつくる10のモノこと/pluieプリュイ
ai mitoma
家族旅行での1枚。子供たちにとっても、旅はいい刺激になっているそう。

「家族と過ごしている時間が一番好きです。あらゆる角度から私を支えてくれる夫、生きる喜びを教えてくれた子供たち。病院や学校で英語に伝えることに苦労したり、ご飯作りに追われたり、LAでの生活や子育ては大変なことも多々あります。でも、家族がいるからこそがんばれるし、楽しめている。子供たちの成長もすごくうれしいし、それが仕事とともに私の生きがいにもなっています。家族の絆が強いアメリカで、なにより大切な家族を築けて本当に幸せですね」

三苫 愛さんをつくる10のモノ・コト/pluieプリュイ
ai mitoma
息子さんとビーチをお散歩。伸び伸びできるLAの環境は子供たちに合っている、と三苫さん。

STYLE8.東京

三苫愛
NOBUKO BABA
アーティスティックな柄が印象的な「ザ・ロウ」のセットアップ(本人私物)。

「LAではママ業が中心なので、たまに自分を見失うこともあるんです。どんな格好でも恥ずかしくないので、いつも同じ格好をしていたり。でも、東京に来ると一人の女性として認められている感じがして、着飾りたくなるんですよ。それもこれも夫の実家が子供たちを預かってくれて、仕事に集中できているからかもしれません。東京が嫌で出ていったのに、結局は東京に助けられている感じですね(笑)。今はなかなか難しいですが、行き来することで自分を保つことができるので、やっぱり東京はなくてはならない場所ですね」


STYLE9.英語

三苫愛をつくる10のモノこと/pluieプリュイ
ai mitoma
ビーチでサンセットを眺める時間もLA暮らしの楽しみのひとつ。

「英語は全然話せなかったのですが、ずっと興味はあったんです。外国の人とコミュニケーションがとれるようになりたい、映画を観たときにもう少し英語のニュアンスがわかるようになりたい、と思っていて。英語圏の国はいろいろありますが、どうしてもアメリカ英語を話したくてNYとLAに短期留学しました。25歳から勉強を少しずつ始めていたものの、その留学で自分の英語力の低さに愕然。その後も忙しさを理由に勉強が進まなかったのですが、移住を決意してから猛勉強しました。英語力はまだまだですが、いつの間にか英語を学ぶことが私の生きがいにもなっています」


STYLE10.旅

三苫愛をつくる10のモノこと/pluieプリュイ
ai mitoma

「移動距離は想像力に比例すると聞きました。本当にその通りで、旅は私の生活をより豊かにしてくれます。一番好きな場所は、移住してから毎年訪れているアリゾナ。世界中から一堂に集結した天然石やパワーストーンなどを見に行くのが好きで、メイクなどのインスピレーション源にもなっています。街並みもすごくおしゃれで、ご飯もすごく美味しいんですよ。まだまだ行ってみたい場所が世界中にあるので、家族で旅していろいろ吸収するのが今から楽しみです」

photo:NOBUKO BABA(SIGNO) text:Kyoko Chikama


三苫愛/pluieプリュイ
.

三苫 愛/ヘア&メイクアップアーティスト

都内ヘアサロンで12年間美容師として働きながら、雑誌や著名人のヘア&メイクアップを担当。ロサンゼルスへ移住し、現在は独自のセンスをいかしたナチュラル×モードなメイクアップや、ジュエリーブランド「プリュイ」のアイテムを使ったヘアアレンジなどをSNSやインスタライブで定期的に発信。ヘア&メイクだけでなく、ファッションセンスやライフスタイルも注目の的で、熱烈なファンも多い。プライベートでは二児のママ。

>>instagramはこちら