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粘り強い伝記作家サリー・ベデル・スミスは今週、ペンギン・ランダムハウスから伝記本『Prince Charles: The Passions and Paradoxes of an Improbable Life(原題)』を発表した。これは次期英国君主の人生を徹底的に調べ、まとめ上げた作品である。チャールズ皇太子は母であるエリザベス女王と異なり、愛されるキャラクターとは言えない。この作品でスミスは、感傷的で、理屈を超えて愛される、ダンボのような耳を持ったチャールズ皇太子に手をゆるめることはない。しかし彼の姿は共感を呼び、愛情すら抱かせる。
 
若い頃、尊大な父親(「フィリップ王配は支配者的な男性の典型」だとスミスは言う)にいじめられていたチャールズは、常に認められたいと思って生きてきた。義務感と、ほんの些細なものであっても過ちを犯すことに対する恐怖に怯えていたチャールズは慣習に従うことを好み、善意に満ち、父親にそうするべきだと言われたからダイアナと結婚した。彼がどんなにカミラ・パーカーを愛していたとしても、彼女は妃の合格レベルには達していなかったのである。
 
スミスは彼女の研究テーマであるチャールズ皇太子が「バラの蕾」だった時期についてこう語る。「彼の子ども時代を運命づけていたものは、私には完全には理解できません」。8歳のとき、彼は公式な昼食会に出席するために(父フィリップ殿下の母方の実家)マウントバッテン家を訪問する。出席者にはワイルドストロベリーが出されたが、チャールズはそのイチゴから几帳面に茎を摘み取っていたという。それを見たマウントバッテン伯爵はこう言った。「だめだ、だめだ。茎を持ってイチゴに砂糖をつけるんだ」。
 
「そう言われたチャールズ皇太子はイチゴに茎をくっつけようと頑張りました。彼はただ、褒められたかったのです」。

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“「みんなが私を責めるだろう」チャールズ皇太子はダイアナ元妃の訃報を聞いてこう言った。彼の言う通りになった。”

スミスはワシントンD.C.のカロラマにあるアパートの一室に座り、こう話す。部屋には暖かな雰囲気の絵画がたくさん飾られている。彼女のアパートはオバマ元大統領一家やイヴァンカ・トランプとジャレッド・クシュナー一家の家からすぐの距離にある。非常に聡明で社交的なスミスはこれまで非難の的になってきた、少し変わりもので謎めいた英国王室の次期君主の正体を解き明かそうと4年の年月をかけて試み、ついにそれをやり遂げた。
 
そう、チャールズ皇太子が次期君主なのである。「チャールズ皇太子は王になり、カミラ夫人は王妃になるでしょう。彼らはウィリアム王子に王位継承第一位の地位を譲ることはありません。ウィリアム王子が即位するのは40代後半から50代初めになってからでしょう」とスミスは語る。
 
最近、イギリスのタブロイド紙はこの王室非公認の伝記から興味深いゴシップをいくつか報じている。例えば結婚前夜、チャールズ皇太子は泣き、その間「極めて激しく動揺した」ダイアナ妃は過食症の症状と戦っていたという。また、チャールズ皇太子は自分がクラレンスハウスの古ぼけた壁紙と一体化するような目立たない存在であるのに対して、ダイアナ元妃が死後も魅力を失わず人々の注目を集めていることに嫉妬を募らせていったとも報じられている。
 
スミスは調査の中で、どれほど多くの業績をチャールズ皇太子が成し遂げたか、そして彼が抱いている様々な情熱に対する賞賛がいかに少ないかを知ったという。

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1991年、カナダを公式訪問した際、トロントでの歓迎セレモニーに出席したチャールズ皇太子とダイアナ妃(当時)。

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「私は彼を非常に賞賛するようになりました」とスミス。「あるときはチャールズに対してこう思います。『これは素晴らしい。学校のためにシェイクスピアを覚えたんですね』。でも次に彼は甘やかされた子供のようになり、自分を憐れみ、めそめそと泣き言を言うのです。そして自分で自分をトラブルに追い込み、頑固で心を閉ざした人間になる。イギリス人は突飛な人を愛するんですね」。
 
しかしチャールズ皇太子は狡さのない人ではない。「女王はとても率直な人です」スミスはこう語る。一方チャールズ皇太子は「策略を巡らし、ちょっとした対立を作り出す」。ちょっとした対立とは、イギリスで言う「騒ぎ立て論議すること」である。ダイアナ妃の悲報を聞いたとき、チャールズはまず「『誰もが私を責めるだろう』と言いました。そしてその通りになったのです」とスミスは明かす。
 
スミスはチャールズ皇太子の父であるエディンバラ公フィリップ王配についても調べている。彼女はフィリップ王配が幼いチャールズ皇太子をいじめていたと語る。エリザベス女王は家族と「距離があった」ため、夫の息子に対する愛情不足を補うことができなかった。「チャールズ皇太子は基本的に心優しく、軟弱な人です。それにフィリップ王配は気がついたのです」。
 
チャールズ皇太子は今、祖父になろうと努力している。しかし彼はケンジントン宮殿で開催されたジョージ王子の1歳の誕生日パーティを欠席した。スコットランドのアカリスの保護地域で開催されたイベントに出席するため、というのがその理由である。「私は彼が善意の人だと思います。でも彼はミドルトン家の祖父母たちほどにはジョージ王子に関わっていません」とスミスは指摘する。
 
チャールズ皇太子には、これまでの古い時代の王室のメンバーに通じるものがある。しかし彼はまた非常に温かく魅力的な人でもある。「彼が非常に伝統的でありながら、型にはまらない人間でもあることに私は突然気がつきました。彼は19世紀のトナカイの皮で作られた靴を持っています。同時にこのような才能もたくさん持っていたのです。人々に理解して欲しいという強い願望を持っているのです」。
 
後年になり連れそうことになったカミラ夫人について、スミスはこう語る。「彼女は感情的で性的なものを備えています。ジョアン・リバースが言うように『彼女は洗練されていない。いい意味で』。チャールズ皇太子は彼女とならハメをはずし、楽しむことができるのです」。公の視線に対しては「カミラは大きな進歩を遂げています。でも必ずしも愛されていません」。
 
ウィンザー朝は最近ネットフリックスのドラマ「ザ・クラウン」でも取り上げられたが、実際、ウィンザー朝にはたくさんのドラマがあったとスミスは語る。「このドラマを見る必要はありません」とスミスは笑う。「本物の方がもっと面白いのですから」。

Translation : Yoko Nagasaka

From ELLE UK


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