ティモシー・シャラメ最新作にして代表作『DUNE/デューン 砂の惑星』! 知れば映画が数倍おもしろくなる25のトリビア
世界が注目する俳優ティモシー・シャラメ主演のSF超大作が公開目前。知れば映画がさらにおもしろくなるトリビアをご紹介。
ハリウッドの貴公子ティモシー・シャラメが、『ブレードランナー 2046』の監督ドゥニ・ヴィルヌーブとタッグを組んだ今年最大のSF大作『DUNE/デューン 砂の惑星』。数千年後の未来を舞台に、激動の運命に翻弄される青年の冒険を描く壮大なスペクタクル・アドベンチャーだ。映画が始まる前に、知っておきたいトリビアをご紹介。
原作はあの『スター・ウォーズ』『アバター』に影響を与えた
『デューン 砂の惑星』は、1965年に小説家フランク・ハーバートが書いたSF小説。20世紀で最も大きな影響力をもつといわれる作品で、『スター・ウォーズ』『アバター』『風の谷のナウシカ』などにもインスピレーションを与えている。
映画版の舞台は、数千年後の未来。ポール(ティモシー・シャラメ)とアトレイデス一族は、宇宙帝国の皇帝の命令で「砂の惑星(デューン)」へと移住。皇帝と凶暴なハルコンネン家の企みで父を殺されたポールは、先住民族フレメンと共に、宇宙の未来のために立ち上がる。
『DUNE/デューン 砂の惑星』 10月15日から全国公開。
映画は今年のヴェネチア国際映画祭でお披露目
本来は2020年12月に全米公開されるはずだったが、新型コロナ感染拡大の影響で10カ月の延期に。そして今年開催されたヴェネチア国際映画祭でお披露目された。原作に忠実なドラマティックなストーリーと圧倒的な映像美に、上映後は7分間ものスタンディングオベーションが!
ティモシー・シャラメが主人公に選ばれた決め手は”カリスマ”
主人公のポールを演じるのは、今ハリウッドで最も注目の若手俳優、ティモシー・シャラメ。22歳のとき『君の名前で僕を呼んで』(’17)でアカデミー賞主演男優賞候補となり、その後も『ストーリー・オブ・マイ・ライフ/私の若草物語』(’19)などの人気作で活躍している。今回の抜擢についてドゥニ監督は「ポール役はティモシー以外は考えていなかった」という。
「彼は思慮深く、それが”目”に出ている。本作の観客には、ポールが将来大衆のリーダーになると信じてもらわなければならなかった。ティモシーにはロックスターのようなカリスマがあったんだ」
ドゥニ監督は3回連続でSF大作を撮っている
いまハリウッドで最も才能あふれる監督のひとり、ドゥニ・ヴィルヌーブは、『メッセージ』(’16)『ブレードランナー2049』(’17)に続き、3回連続でSF大作『DUNE/デューン 砂の惑星』を手がけた。ドゥニ監督いわく「10代で原作小説を読んで、自然の描き方や詩的な表現の虜になったんだ。主人公の青年が異なる文化を通して、自分のアイデンティティを見つける物語も素晴らしかった。長年ベッドサイドに置いていたけれど、ついに夢がかなって嬉しいよ」
原作の映像化は3度目。過去には鬼才デヴィッド・リンチも挑戦
『デューン 砂の惑星』は、20世紀の文学に最も大きな影響をもつといわれる小説。壮大な物語の魅力にひかれて、これまで何度も映画化が試みられた。
最初は、1984年に公開されたデヴィッド・リンチ監督による映画版で、主役はカイル・マクラクラン。2度目は2000年に放映されたウィリアム・ハート、アレックス・ニューマン出演のTVドラマシリーズ。3度目が本作になる。
映画版『デューン』を撮れなかった男がいた
1975年、アレハンドロ・ホドロフスキー監督は、『デューン 砂の惑星』の映画化を企画するが、撮影を前に頓挫。その制作過程を追ったドキュメンタリーが『ホドロフスキーのDUNE』(’16)。ミック・ジャガーやオーソン・ウェルズ、サルバドール・ダリをキャストに迎え、なんと12時間の上映時間を予定していたというから驚き!
リンチの映画『デューン』はドラマ『ツイン・ピークス』に貢献した
デヴィッド・リンチ監督の『デューン/ 砂の惑星』(写真)は批評家に酷評された後、今ではカルト映画として認知。だが、リンチはこの作品でオーディションに現れた俳優カイル・マクラクランと出会い、意気投合。リンチは自分が手がけるTVシリーズ『ツイン・ピークス』('90~)の主役にカイルを抜擢し、ドラマは世界的に大ヒット!
最新作が二部作なのは原作の謎が多すぎたから
原作者フランク・ハーバート(写真右。撮影中のカイル・マクラクランと)が書いた『デューン 砂の惑星』の小説は全部で6巻あり、いまだ多くの謎を秘めているという。原作の大ファンである今作のドゥニ監督は、1本の映画ではそれらすべての謎を描けないと判断。2本以上の作品にすることを監督を引き受ける条件とし、制作会社は受け入れた。
作曲家ハンス・ジマーは本作のために『TENET テネット』を断った
『ブレードランナー2049』に続いて今作でドゥニ監督が最初に映画音楽を依頼したのは、人気作曲家のハンス・ジマーだった。「ちょうど『ブレードランナー 2049』が終盤で、現場でハンスに話したんだ。すると彼は、“僕の最大の夢のひとつは『デューン』のスコアを手がけることだ”と言ったんだ(ドゥニ)」
ハンス・ジマーは『バットマン』シリーズや『インターステラー』などでクリストファー・ノーラン監督との仕事も有名だったが、原作への愛とドゥニ監督への信頼によって、ノーラン監督の『TENET テネット』ではなく、『DUNE/デューン 砂の惑星』を選んだ。
ゼンデイヤが撮影でいちばん苦労したのは”発音”だった!
本作のティモシーと並ぶ若きスターが、いまファッション界でも注目度の高いゼンデイヤだ。主人公ポールの夢に現れる謎の美女チャニを颯爽と演じる。そんな彼女が撮影で大変だったこととは?
「熱狂的なファンに怒られたくなくて、言葉の発音を学ぶのにいちばん苦労したの。実際に存在する言語を元にしたものもあれば造語もあって。数日間の撮影だったけれど、デューンという豪華なパズルのひとつのピースになれて光栄よ」
主人公ポールの衣装は”あの名作”へのオマージュ
衣装を担当したジャクリーン・ウエストは、主人公ポールの衣装を、砂漠を舞台にした名作映画から着想を得た。
「ポールを『アラビアのロレンス』(’62 )のロレンス(写真)の役に重ねたの。ポールはアラブを率いて闘うロレンスにそっくりだから。砂漠でポールが頭にまいているスカーフやマントの着こなしは、作品を手がけたデヴィッド・リーン監督へのオマージュよ」
レベッカとゼンデイヤ、映画の共演は2度目!
『ミッション:インポッシブル』シリーズなどで人気のレベッカ・ファーガソン(写真)。本作では謎の女性集団のリーダーであり、ポールの母親を優雅に演じている。チャニ役のゼンデイヤとは、『グレイテスト・ショーマン』(’18)で共演していた。
ジョシュ・ブローリンもドゥニ監督と2度目のタッグ
2015年公開のサスペンス映画『ボーダーライン』の撮影で、ドゥニ監督と強い友情を築いたという俳優のジョシュ・ブローリン。本作ではポールの師であり、アトレイデス家の守り神ガーニイをワイルドに演じた。「ガーニイは、ポールの師だ。ポールにはどんな状況でも自分を守ってほしいという想いをもっているんだ」
本番が初の顔合わせで挑んだティモシー初のアクション
この作品で初めての本格派アクションを披露するティモシー。撮影の4カ月前から特訓を始めたが、ジョシュ・ブローリンとのファイトシーンは本番が初顔合わせだった。
「本番前、ジョシュは僕のダブル(代役)と、僕もジョシュのダブルと練習をしていたんだ。だからいざ本人と練習しようとなると、呼吸の間合いとかが違ってあせった。でも、結果的にはいい出来になったよ」
灼熱の砂漠から北欧まで、世界4カ所で雄大な風景を撮影
ロケーション撮影は、ハンガリー、ヨルダン、アブダビ、ノルウェーで行われた。とくにヨルダンはドゥニが以前、映画『灼熱の魂』(’11)の撮影で訪れたことがあり、気に入った場所だった。ティモシーはアブダビの砂漠の猛烈な暑さのなかでの撮影となったが「気温の高さが映画の世界に入りこませてくれた」と語っている。
砂嵐の砂を取り寄せるのにかかった期間は10週間
美しく雄大で、ときに砂嵐が起こる砂漠はこの映画の最大のみどころ。ドゥニ監督はCGではなく本物にこだわったため、スタッフはロケ地ヨルダンの砂の色と合う細粉を用意する必要があった。
「色が完全に一致し、空中でよく舞う細粉の必要があったんだ」。探し出す作業は約10週間もかかったという。
ドゥニ監督とリドリー・スコットには奇妙な縁があった
’84年公開の『デューン 砂の惑星』はデヴィッド・リンチがメガホンをとったが、当初はリドリー・スコットが監督する計画だった。しかしリドリーは、当時兄が亡くなったショックから、プロジェクトを離脱。その後『ブレードランナー』を監督する(写真は撮影中、主演のハリソン・フォードと)。
つまり今回ドゥニ監督は、リドリーが過去に関わった2本の作品を、『ブレードランナー 2049』(’17)と『DUNE/デューン 砂の惑星』として映画化したのだ。
『デューン』を“無人島に持っていく本”に挙げたランプリング
謎めいた女性集団のリーダーでポールの教母であるモヒアム役は、ドゥニ監督が「現代に生きる最高の女優のひとり」と語るシャーロット・ランプリングが演じる(写真 右)。ランプリングは偶然にも、昔、「無人島に持っていく本」を聞かれて、『デューン 砂の惑星』を選んでいた。
準備は毎日7時間! 宙に浮くハルコンネン男爵
ポールが属すアトレイデス家に憎しみを抱くハルコンネン家。そのサディスティックな領主がステラン・スカルスガルド演じるハルコンネン男爵だ。モンスターのような彼が宙に浮くシーンのために、スタッフの準備は毎日7時間もかかっていた。
「サンドワーム(砂虫)」は知性のシンボル
「砂虫」こと「サンドワーム」の活躍はこの映画のみどころのひとつ。砂のなかに生きる巨大な生物で、何メートルも離れたところにいる生物を察知し、またたくまに近づいていく。
ドゥニ監督はこのモンスターを「自然と完璧に調和した、“知性”を象徴するような存在だ」と語る。