テイラー・スウィフトが語る、30のライフレッスン
新曲「ME!」も絶好調な時代を代表する歌姫テイラー・スウィフトが、今年ついに30歳という節目の歳を迎える。その心境を30の教訓とともに語った。エル・ジャポン6月号より。
出生証明書によれば、私は今年で30歳。まだ18歳のような気もするし、283歳くらいに感じる瞬間もあるから、年齢って不思議。周りの人は『30代は人生でいちばん楽しい時期よ』って言うけど、私にはまだ未知の世界。30代になった感想はまた別の機会にお話しするとして、これまでの人生で学んだことや生きやすくなるコツをシェアしたい。今年がみんなにとって、素晴らしいものになることを祈りながら。
Photo BEN HASSETT for ELLE US
Styling PAUL CAVACO
1.耳障りな情報は、一度遮断する
ソーシャルメディアは楽しい半面、本当の自分とはかけ離れたイメージが拡散され、あら探しや炎上など負の連鎖が多く、気がつくと頭の中はマイナスなことでいっぱいに。そんなSNSでの攻撃から身を守るために、私はコメント欄自体を消すことにしたの。そう、私の投稿には誰もコメントできないように設定したのよ。そもそも友人や応援してくれているファンに向けて最新情報を発信したいのであって、私の見た目をボロクソに批判する人に認められたいなんてこれっぽっちも思っていない。朝9時にのんびりとコーヒーを飲んでいる私に、わざわざ「死んでしまえ」なんてコメントしてくるユーザーも即ブロックよ! あと、賞賛を浴びたいという下心のある投稿も危険ね。グッドコメントのすぐ下に「まるでトラックにぶつかってズタズタになったイタチが酔っ払いのタクシードライバーによって縫い合わされたようなルックスだね」なんていうひどい中傷が潜んでいるんだから、心の健康に絶対良くないわよね。信じてもらえないかもしれないけれど、これは実際、私が受けた中傷コメントのひとつなのよ!
2.八方美人は問題に巻き込まれる可能性も
誰だって感じの良い女性だと思われたい。でもその反面、そんなあなたを利用する人が現れると最悪な事態へと発展してしまうわ。とにかく芯をしっかり持つこと、直感を信じること、そして立ち上がるべき時を見極めてほしい。誰かがあなたを傷つけたら、毅然として対処するべき。
3.何度も試して失敗するのは、必要な経験
私の場合はというと、たった一回のミスが大騒ぎになってしまうのは日常茶飯事。タブロイド紙にある事ない事を書かれて、まるでスポーツ観戦みたいに世界中に注目されてしまう。でも、こんな経験からも、失敗したらやり直せばいいということを学んだわ。とくに20代はまだ経験も浅いし、自分の向かうべき方向を模索する時代だから、「トライ&エラー」を繰り返すべき時期なのよ。だからといって、それを昔の恋人に連絡する言い訳にはしないでね。でもあなたが「そうしたい!」と感じてしまったのだとしたら、仕方ないし、止めることはできない。自由にやってみたらいいと思う。何度も同じ過ちを繰り返しながら、手探りで進むことって大切だもの。
4.少し太ったからって自分を嫌いにならない
少しの脂肪は女性らしい体のカーブやつややかな髪、そして元気に過ごすために必要なものだと受け入れるようになったわ。ダイエットの情報に振り回されている人々があまりに多いけれど、やりすぎると本当に危険。手っ取り早く痩せることなんてありえない。それよりも多少のことは受け入れて気分良く過ごすほうがよっぽど健康的。
5.雑多な人間関係に巻き込まれないで
あなたは寛大で、周囲に何かを与える余裕がある人なのだから、そのエネルギーを関係ない人々に消費する必要はないの。不必要なものは人生から追い払って。あなたを傷つけたり疲労困憊させたり、訳もなく苦痛を与える人がいたら、彼らの番号をブロックすること。罪の意識に苛まれることなんてないの。単なる携帯電話の設定なのだから。
6.いくつになっても年齢を恐れない
女性が年齢を重ねることがあたかも恐ろしく、許されないことだと人々を煽る情報があまりに多すぎる。年を取らない人なんていないのよ。この問題に関してジャミーラ・ジャミルの率直なスタンス(#I Weigh)は素晴らしいと感じている。永遠の若さを手に入れるために必死で重力や時間に逆らうことがステキだという風潮の中、彼女の真っすぐな態度や言葉は胸を打つの。しかも男性だってそんな若さは求めていないのだから、この偏った風潮にいますぐピリオドを打つべき。
7.恐怖に支配されないこと
マンチェスター・アリーナの爆破事件とラスベガスのコンサートの銃乱射事件を目にして、自分の7カ月のツアー期間中に、300万人のファンを安全に守り抜くことができるのか、と不安になったわ。安全面への対策は事前にしっかりと打ち合わせをし、できる準備はすべてした。いつ起こるかわからないテロへの恐怖は私生活にも影響していて、最近では創傷や銃創にも使用できる軍隊用の救急包帯も携行している。ウェブサイトやタブロイド紙上で垂れ流される私の個人情報をたどり、ストーカーが家の周りをうろついていることはしょっちゅうだし、悲しいことに最近は悪いことが起きる前提で準備をするようになっている。でも本当の世界は愛に満ちているし、人々の善意や信頼を忘れたくないと願っている。恐れに屈せず立ち向かい、果敢に人生を切り開いてこそ生きる喜びや充実感を得ることができると思うから。
8.人の意見に振り回されず自分の価値観を磨く
見知らぬ人からの評価や周りの目を気にしすぎるあまり、長い間私は純粋な恋愛をしてこなかったように感じるわ。誰とお似合いでどんな相手なら「理想のカップル」と言ってもらえるのか、そんなことばかり意識していた。でもそれって本物じゃないわよね? 承認欲求の高さがアダとなり、真に求めるものが何なのかが判断できなくなっていたことに気が付いたの。これは大きなレッスンだったわね。
9.簡単なカクテルなら自分で作れるように
ピムスやアペロールスプリッツ、オールドファッションド、モヒートなど……これは仕事を休んでいる間に覚えたこと。
10.料理好きな私の3つの定番レシピ
イナ・ガーテンの「ミートボールスパゲッティ」、ナイジェラ・ローソンの「ムグライチキン」、そしてジェイミー・オリバーの「チキンファヒータとモーレソース」。すぐにニンニクを細かく潰すことができるガーリッククラッシャーを購入したのが大正解! また余談だけど変な得意技を持っていて、すぐに摂氏から華氏に温度を換算できるの(ネットがまたざわつきませんように笑)。
11.壁面用両面テープって超使える!
もっと前にこのテープの存在を知っていれば間違いなく我が家の壁の穴の数は激減していたはず。これは広告でもなんでもなくて、ただ本当にコマンドテープって素晴らしいって拡散したくて!
12.大切な誰かを傷つけたときには素直に謝る
わざとじゃなかったとしてもシンプルに、心を込めて謝罪をすること。「ごめんなさい、でもね」と言い訳めいたことを付け加えないで。誠実に謝ることで友人や恋人の信頼を保つことができるから。
13.セクハラでは常に被害者の味方
被害者だと公表することはものすごくつらいことで、私自身過去の性暴力裁判のひどい経験からもよく理解できる。勇気を持って声をあげたのにもかかわらず心無い意見を浴びせられる、この風潮は被害者の傷ついた心をさらに追い込んでいくむごい仕打ちだと言えるわ。私にも同じ経験があるからこそ私は被害者の側に立ち、彼らを信じたい。そして真実を語る怖さを乗り越えこれ以上の被害者が出ないように私たちは声を上げ続ける使命があるということも伝えていきたい。
14.大切な人が悲しみにくれていたら側にいる
なんて声をかけたらいいのかわからないと、正直に打ち明けてもいい。具体的なアドバイスより「辛かったね」と心を寄せるだけで十分なの。逆に絶対してはいけないのは、あなたが距離を取ってしまうこと。あなたの存在そのものがサポートとなるのだから、とにかくそばにいてあげて。
15.ビタミンサプリは私のパワーの源
L-テアニンはストレスや不安を解消する作用のある天然のサプリメントだし、マグネシウムは筋肉の健康とエネルギーに効果抜群。
16.楽しげな部分だけに目を奪われないで
これは対人関係にも言えることだけど、何かスタートするとき、第一印象だけに捉われないこと。チャーミングで人当たりのいいあの人が即座に周りを魅了することは一見うらやましく、あなたの目に印象的に映るかもしれないけれど、時間をかけてその人となりを知ることも大切。誠実なのか、自己認識力が備わっているのか、ユーモアを持ち合わせているのか、必要なときあなたのために動いてくれるのか……あなたがどん底にいるときでもまだあなたを大切にしてくれる? あなたの飼っている猫に全力で話しかけていたら何だかその背中が愛おしく感じてこない? これらは、第一印象では決してわかり得ないことだからじっくりと時間をかけて人と付き合わなきゃ。
17.スキンケアはやっぱり大切!
10代から20代前半の私は肌のケアをものすごーくおろそかにしていて、メイクをしたまま眠ってしまったり、時折マーカーペンをアイライナーとして使ったり(絶対にマネしないで!)。今改めて自分の肌をきちんとケアしないといけないと実感している。毎晩保湿をし、冬だけでなくシャワーを浴びた後は一年中ボディーローションを塗っているわ。すごい進歩でしょ!
18.子どものころ心に負った傷と折り合いをつける
当時私は決して人気のある子どもではなく常に漠然とした不安を抱えていた。一人ぼっちで食べるランチ、トイレの中に隠れている自分、新しい友達を作ろうと勇気を振り絞って話しかけたのになぜか笑われてしまったこと、大人になっても後遺症のごとく時折フラッシュバックした。でも幸せなことに20代は私と友達になりたいと言ってくれる人がたくさん現れ、昔の自分から脱皮するなら今だ!と抱え込んでいた過去を一気に解放した。長年のトラウマにのまれてしまう前に区切りをつけることは傷の修復の大事な過程なの。
19.無駄な駆け引きをやめること
だれかと絆を深めたければ、自分の気持ちや今ふたりの間にある問題を解決するために何ができるのかをしっかり伝えることが大切。口に出さなくてもわかってくれるはず、なんてまさか思っていないわよね? あなたを本当に大切に思っているなら、相手はあなたがどのように感じているか、直接あなたの言葉で知りたいと思うはず。チェスではないのだから駆け引きするなんて時間の無駄。
20.思い出の中のあの子
「若いってサイコー!」。こんなひと言で20代のころは一緒になって遊んだ友人たち。家族のように居心地が良かったはずなのに、今では疎遠になってしまった友人の一人や二人、誰にでもいるものよね。どこかさびしく聞こえるかもしれないけど、人生にはいろいろなステージがあり友人との関係性も変化し続けるの。思い出の中に彼らはしっかり刻まれているのだから大丈夫。
21.ファッションはあなたの遊び心を映し出す鏡
昔の写真を平然と見返せるあなたにファッションを語る資格はないわ! 破り捨てたくなるような恥ずかしい一枚は勲章。Bleachellaを検索して私の黒歴史をぜひチェックして!
22.ケンカの絶えないパートナーとの接し方
愛する人を傷つけたいわけではないのに、ついヒートアップしてしまう恋人とのケンカ。いつの間にか勝ち負けにこだわり相手を言い負かそうとしてしまう。でもね、落ち着いて話し合うことが何よりふたりの仲を深めるのよ。大ゲンカになったときは「わたしたち仲間なんだよ」って今いちど立ち位置を確認して、冷静さを取り戻すカップルだっている。ふたりが築いてきた素晴らしい時間を見失ってしまうような怒りは即座に和らげるべき。 愛する相手を打ちのめしたってむなしい。せいぜい離婚届の紙が手元に届くだけね。
23.どんなときも変わらない友達やファンの存在
彼らは私がどん底のときも、今も、変わらずにそばで応援してくれているわ。私の幸せを願い、私の音楽を理解してくれたからこそ私はここまでやってくることができた。「レピュテーションスタジアムツアー」で最も感動したことは、私を待っていてくれる一人一人の思いを感じ取ったとき。彼らのサポートは決して忘れないわ。
24.家族が病気になってしまったときの対処法
両親共に癌を経験し、そして今、母は再発した病と再び闘っているわ。その時々で優先すべき問題が何かをしっかりと見極めること。私にとって今は母の闘病をサポートすることが最優先なの。かつて私は自分のことで手一杯だったけれど今は全ての感情や意識を目の前の問題にしっかりと注ぎ、打ち勝つために尽力したいと感じているわ。
25.「創作の源は不幸」というのは大きな誤解
「幸福と創作活動は共存できる?」と以前私に尋ねた人がいたの。ものづくりは苦しみと隣り合わせというのは思い違い。幸福感と作品のインスピレーションを同時に得ることは素晴らしい気持ちにさせてくれるから、むしろ相乗効果を発揮してもっといいものができるとすら感じているわ。
26.楽しみにしていることをカウントダウンする
絶不調のときにはカウントダウンアプリを入手し(無料だし)、目先のほんの少しの楽しみを見つけてその予定までの時間を楽しむこと。たとえその予定が大きなイベントではないとしても、明るい未来を思うことは精神的にも良いことよ。時に私たちは「現在」に圧倒されそうになるけれど、未来には良いことが必ず待っているとしたらもう少し今を踏ん張れるような気がしない?