6月9日で40歳という節目の年を迎えるナタリー・ポートマン。名作『レオン』で鮮烈な印象を残して以来、俳優の道を着実に歩んできた彼女だが、意外な素顔や知られざる事実、トリビアもたくさん。バースデーを祝して、そのいくつかをここでご紹介。
Photos: Getty Images, Aflo
出身はイスラエル
1981年、中東イスラエルの首都エルサレムにて誕生。ひとりっ子で、3歳の頃にアメリカに家族で移住している。本名はナタリー・ヘルシュラグ(Natalie Hershlag)で、芸名「ポートマン」は父方の祖母の旧姓だそう。
マルチリンガル
英語のほか、ヘブライ語に堪能で、夫がフランス人のためかフランス語もそこそこ。また、今はだいぶ忘れてしまったようだが高校では2年ほど日本語も学んだため、簡単な挨拶程度なら話せ、手話も簡単なものなら可能のよう。
プロモーションで来日した際には、「酉年です」と自己紹介して会場を沸かせたこともある。
ピザ屋でスカウトされる
10歳の頃、コスメブランド「レブロン(Revlon)」のスタッフに「うちのキッズモデルをやってみない?」とNY・ロングアイランドのピザ屋で声をかけられたというナタリー。
当時すでに女優になることを心に決めており、モデルの仕事に興味が持てなかったためその申し出を断った彼女だったが、レブロンの担当と知り合いだということを利用して、のちにエージェンシーを見つけたのだとか。
初仕事はあのブリトニーの後釜
初めてのちゃんとした演技の仕事は、11歳の頃、1992年のオフブロードウェイミュージカル『Ruthless!』。いわゆるアンダースタディ(俳優の不慮の事故などに備えて公演期間中待機する、控えの俳優のこと。稽古にも最初から参加する)という代役ではあったが、なんと同い年のブリトニー・スピアーズがアンダースタディを降りたため、その後釜としてナタリーが選ばれたそう。
2人はのちに仲良くなり、ブリトニーは「もし自分を演じてもらうなら、誰がいい?」というファンの問いに「ナタリーがいい」とも答えている。また「私をインスパイアしてやまない存在」として、シャロン・ストーンやサラ・ジェシカ・パーカー、マイリー・サイラスらとともにナタリーの名を挙げてもいる。
両親は『レオン』に猛反対だった
その後1994年の作品『レオン』に出演し、マチルダ役で世界中をとりこにしたナタリー。まだ観たことのない人は、この機会にチェックを!
幼いながら脚本に涙が出るほど心動かされ、ぜひこの役をやりたいと熱望したが、両親は「あなたみたいな小さい子に、この役は適していない」と大反対。それに対しナタリーも「私の人生を壊そうとしないで!」と猛反発したのだとか。両親とは、他にも何度かバトルを繰り広げてきているそう。
幼い頃からバレエをたしなむ
4歳から10年間ほどバレエを習っており、そのスキルはアカデミー賞主演女優賞を獲得した衝撃作『ブラック・スワン』(2010)でも確認することができる。
また1987年に大ヒットしたダンス青春映画『ダーティ・ダンシング』もお気に入りの作品だったそうで、ダンスはナタリーの情熱のひとつのよう。
オスカー受賞作『ブラック・スワン』の裏話
その『ブラック・スワン』は、ナタリーの出演作のなかでも観ておくべきもののひとつ。作品賞を含むアカデミー賞5部門にノミネートされ、鬼気迫る演技で見事主演女優賞を彼女にもたらした。
それもそのはず、役のためにおよそ9キロ減量、多い日は1日に16時間も特訓し、肋骨の脱臼など数えきれないほどのケガも経験。「このまま本当に死ぬんじゃないかと思うこともあった」「この時初めて、役に没頭しすぎて自分を見失うことがあると理解した」と回想している。
ちなみに監督のダーレン・アロノフスキーは撮影中、ライバル役リリーを演じたミラ・クニスとナタリーをあえて会わせないようにし、さらに2人に「相手は君よりずっと上手だ」などという言葉を投げかけて、嫉妬心を燃え上がらせるようにしていたとか……!
超名門大出身だが、重圧も抱えていた
真面目で成績優秀だったため高校時代は「オタク扱いされていた」というナタリー、なんと全米トップの名門大学ハーバードとイェールに現役合格。1999年からハーバードで心理学を学んだ。
だが「バカな女優のくせに」「有名人だから入学できた」などと思われないか、自分の力を証明できるのか、と大きなプレッシャーと不安を抱えていたそう。朝ベッドから抜け出すのもやっとの状態で、教授とのミーティング中に泣き出してしまったこともあったとか。それでも無事に卒業し、2015年にはOGとして招かれ卒業式で素敵なスピーチを披露している。
また熱心な読書家としても知られているほか、2020年には絵本『Natalie Portman's Fables』も出版。
『スター・ウォーズ』で混乱?
1999年から2005年にかけて、多くの映画ファンが待ち望んでいた『スター・ウォーズ』シリーズのEP1~3に出演。聡明で勇敢なパドメ・アミダラに扮してさらなる知名度を獲得したが、実は撮影には意外と苦労していたという。
CGを多用する作品のため、ブルースクリーンを背景に演技をしなくてはならず、「撮影中は、何が起きているのかまったく理解できてなかった。まだ16歳やそこらで、あんな撮影は未経験だったし、混乱していた」とのちに振り返っている。
ヴィーガンだけど、アレは例外
動物を愛するナタリーは8歳からベジタリアンで、第1子を妊娠した2009年頃からヴィーガンに転向。レザーやファーも着用せず、NYの靴ブランド「テ・カサン(Te Casan)」とコラボして動物の皮革を使わないラインをローンチしたこともある。
だが東京を訪れた際、とある有名な寿司屋で「あまりにおいしすぎて食べずにいられなかった」と、寿司を食べたことを告白している。
プロダクション会社も設立
「女性の手で女性のための役をもっと生み出したい」「『ハングオーバー!』シリーズのような作品の女性バージョンを作りたい」という想いから、亡くなった愛犬とチャーリー・チャップリンの名前を取り、「ハンサムチャーリー・フィルムズ」という映画制作会社も共同設立しているナタリー。
『水曜日のエミリア』(2009)や『抱きたいカンケイ』(2011)、『高慢と偏見とゾンビ』(2016)など、自身が出演していないものも含め多彩な作品をプロデュースしている。
活動家としての顔も
世界の貧困問題に取り組む団体「FINCA(国際地域社会援助協会)」のアンバサダーを務めたり、途上国に教育を広めるチャリティ「WE Movement」の手助けをしたり、「Time's Up」ムーブメントでは5万ドル(約540万円)を寄付したり(それまで持っていなかったインスタグラムアカウントを新設して運動に参加)、幼い頃から受け続けていたセクハラ体験についてシェアしたり……と、さまざまな活動に賛同&支援。
特に近年は女性のサポートに力を入れており、2020年のアカデミー賞授賞式では、ノミネートされなかった女性監督たちの名前が刺しゅうで施された「ディオール(Dior)」のケープをまとって現れ、昨今の問題点をシックな方法で批判したのを覚えている人も多いのでは。
TVはまず見ない!?
料理番組が好きだというナタリーだが、自宅には長い間TVがなかったとか!
「みんなに買えと勧められるけど……」と迷いつつも、ずっと購入はしていなかったようだが、子どもが生まれた現在は持っている様子。ただし今でも見る機会は少ないそう。
超有名セレブなのにTVを見ないという点も、彼女の魅力のひとつになっているのかも?
共演者とゴールイン
『ブラック・スワン』で共演したフランス人ダンサー&振付師のベンジャミン・ミルピエと2010年に婚約し、妊娠も発表。2012年に結婚している。
2011年には長男アレフを、2017年には長女アマリアを出産しており、現在は家族そろってLAをベースに生活しているよう。
スーパーヒーローの仲間入り
マーベルの大人気シリーズ『マイティ・ソー』(2011~)にも出演し、クリス・ヘムズワース演じる主人公・雷神ソーの地球人のガールフレンド、ジェーンに扮していたナタリー。シリーズ2作に出演したが、第3作には登場せず、ストーリー上では2人は破局したということになっていた。
しかし、待望の第4作『Thor: Love and Thunder』(原題)ではなんと「女性版ソーになる」ということが発表され、世界のアメコミファンが驚愕!
写真でナタリーにハンマーを差し出しているタイカ・ワイティティ監督いわく、「脚本は今までにないほど限界突破な仕上がり」とのこと。先日撮影も無事終了したようで、2022年の公開(予定)が待ち遠しい! 雷神に姿を変えるナタリーを、早く見届けたいところ。