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2021年スーパーボウル、CMで株を上げているブランド、下げているブランド

コロナ禍のスーパーボウルで流れるコマーシャルはいつもとちょっと違う。

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super bowl xlviii   seattle seahawks v denver broncos
Elsa//Getty Images

意味深長になるのもダサい。かといってただ面白おかしいのはもっとダサい。「よりよい社会」への移行期間に、今伝えるべきメッセージを企業が発信する傾向が目立っているスーパーボウルCM。広告には人と社会を繋げる責務があると再認識させてくれるベスト5、そして全く世情が読めていない今流行のtone-deafなワーストをピックアップ。

【Best】 バドワイザー

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クライズデール(馬)を主人公にしたストーリーでスーパーボウルCMのベストに選ばれることも多かったバドワイザーが37年ぶりに試合放送中のCMを流さないことを決定。コロナ禍で7%近く利益が減ったうえ、株価も下落したから? と思いきや、代わりにワクチン接種の啓蒙ビデオを放送することに。そのうえ広告料の一部を寄付したり、1月25日~2月7日の間にサイトで登録した人に無料でビールを配るキャンペーンまで……。多くの企業がモノが売れない時代になんとか買わせるべくテレビ広告を流す中、短期的利益より長期的ブランディングをとった「パーパス・ドリブン(本質的な企業の存在意義を目的とすること)」なアイデアだと称賛の声が多い。

商品訴求は親会社の企業広告と、同社の他ブランド広告、そしてデジタル広告を打つことでカバー。ナレーターを務めるのは、ラシダ・ジョーンズ。人選も気が利いている。

【Best】ロジテック

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リル・ナズ・Xがナレーションを務めるのは、テック企業のロジテック。カムアウトしたLGBTsとして初めてビルボードチャートNo.1に輝いたアイコンを起用し、「ゲーム・チェンジャー(従来の規範を変えた人たち)」を鼓舞する内容は、Z世代に向けたマーケティングとして優れているだけでなく、あまり捻りすぎないストレートな意見広告としても評判を上げている。

【Best】トヨタ US

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昨年BLMの時期にデモへの嫌がらせをする白人層のニュースが流れた際、複数のヘイターがレクサスに乗車していたことでブランドイメージが少なからず損なわれ、お気の毒としか言いようのない米国トヨタ。それを払拭するかのようなスーパーボウルCMがこちら。製作費が相当かかっていると思われる今回のCMの主役は、日本でも有名なパラ・アスリート、ジェシカ・ロング。両足の膝下を失い、ロシアの児童養護施設から米国の両親に引き取られて水泳選手として活躍するまでの彼女の半生を60秒の幻想的な映像にまとめ、スポーツの祭典にふさわしいエンパワーメント広告に仕上げた。

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【Best】アマゾン

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Amazon’s Big Game Commercial: Alexa’s Body
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AIの声はなぜどれも女性の声に設定されているのか。しかも「アレクサ」は名前まで女性。なぜ?
その批判を逆手にとり、「もしアレクサが男性だったなら…」とジェンダー・バイアスを意識する啓蒙CMに仕上げたのがアマゾン。毎年恒例『ピープル』誌の“2020年もっともセクシーな男性”に選ばれたマイケル・B・ジョーダンが性的妄想の対象になることで、ただの面白CMと見せかけながらも“男らしさ”のもつ主体性の解体にもなっている。

【Best】ペプシ

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バドワイザーと同じく、今年はテレビCMから撤退し、ハーフタイムショーのスポンサーシップに集中すると決定したペプシ。ショーのために出演を断ったところ、グラミー賞が逆恨みしてノミネーションから完全排除されたとも言われているザ・ウィークエンドにフォーカスした告知CMはファンからのみならず高く評価されている。30秒550万ドル(約5億8000万円)という広告費をCOVID-19対策の寄付に回すという選択の評判も上々。

【Worst】ロビンフッド

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「ふつうの人たち」に開かれたネット証券としてアプリが一気に広まったロビンフッド。今年に入って個人投資家による一部の取引を制限する処置を実施。富裕層や機関投資家に阿った、市場操作だと批判が殺到したばかり。そこにこの「私たちみんなが投資家です」というCM。しかも視聴者数のもっとも多いスーパーボウルの枠で今流すことに驚きの声が続出中。製作したのはかなり前で変更もできず仕方ないこととはいえ、このCMはネガティブキャンペーンになりそうな雰囲気。

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【Worst】スクエアスペース

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80年代を代表する働く女性の応援映画『9時から5時まで』。ドリー・パートンが歌う同名の主題歌を、本人が「(夜の)5時から9時まで」という替え歌にしたCM。これを製作したのは個人HPを(簡単に)作れるサービスを提供しているスクエアスペース。コロナ禍に従業員の待遇を下げるようなダメな会社は捨てて、自分で副業してしまおう! と励ますかのような広告は、コロナ禍だからこその戦略。

『ラ・ラ・ランド』のデミアン・チャゼルが監督しているところも含めて“イケて”いるけれど、追い詰められている人がそうそう簡単に副業も起業もできるはずが……とおしゃれ度に反して評判はそれほど芳しくない。

【Worst】バドライト

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バドワイザーの決定が称賛を受けるいっぽう、同じ会社のバドライトのCMの評判はイマイチ。過去の出演者たちを再結集させた内容は旧来型の「面白CM」の枠を超えず、また人種のダイバーシティがわざとらしく、無理やり時代にフィットさせている感が否めない。ポスト・マローンら人選含め、従来の感覚が現在の空気とずれている時代錯誤なムードが漂う。

【Worst】ステラ・アルトワ

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Stella Artois | Heartbeat Billionaire
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ステラ・アルトワのスーパーボウルCM。「人が一生に鳴らす鼓動は2.5ビリオン(25億)回。それが俺らをビリオネアにするんだぜ!」というレニー・クラヴィッツの台詞とともに叩き鳴らされるドラム。この展開はギャグなのかどうか一瞬迷う。

戸惑っていると「さあこのビリオンをお互いのために“投資”しようぜ!」 と、ビール片手に温かな交流をイメージさせるアニメーションが展開するものの、案の定「いや、コロナ禍でこれができないから今困っているんでしょ……」といったコメントが続出。家族やパートナーと過ごすことすらできない医療従事者などを完全に無視した、今流行のtone-deafness(世情を理解していないこと)を“宣伝”する広告に。

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super bowl lv   the weekndスーパーボウルについて分かっていること
Kevin Mazur//Getty Images

スーパーボウル

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