【INDEX】
2021春夏ファッションウィークはどう変わった?
2021春夏シーズンのムード
フローラル
シースルー
ピュアホワイト
アスレチックマインド
コージー&リラックス
スリーブ&カラーコンシャス
フーディ
アウトドア
ブラ&バンドゥ
ミニスカート&ショーツ
メタリック
ステートメント・メッセージ
ピンク
ワイドパンツ
イエロー
ロングアウター
カットアウト
スカイブルー
クロップドトップ
サマーブーツ
2021春夏ファッションウィークはどう変わった?
新型コロナウイルスによる世界的パンデミックにより、ファッションウィークはがらりとその姿を変えた。実際にランウェイショーを行う発表形式を“フィジカル”、ビデオやルックをオンライン配信する形式を“デジタル”と呼び、その二つを組み合わせたハイブリット方式、いわゆる“フィジタル”形式で2021春夏ファッションウィークは実施された。
ランウェイショーは68%減
ファッション検索エンジンTAGWALKの調べによると、4大都市の2020秋冬ファッションウィークでランウェイショーを開催したのが248ブランドだったのに対し、2021春夏シーズンは68%減の80ブランドにとどまった。140ブランドがランウェイショーを行わず、デジタルで動画やルックを配信。 ランウェイショーを開催したブランドも、無観客やごく小人数のゲストのみを招待しての開催となった。
進化するデジタル配信とクリエーション
しかし、ランウェイショーが激減したからといって、単純に規模が縮小したわけではない。デジタルならではのメリットを逆手にとって、表現の幅を広げたブランドも多数ある。ラフ・シモンズが参画した「プラダ」は無観客ショーの配信後、ミウッチャとラフの対談を配信し、「メゾン マルジェラ」はジョン・ガリアーノによる制作過程をドキュメンタリームービーという形で発表した。
「ルイ・ヴィトン」はLVMHグループが所有する百貨店「サマリテーヌ」を舞台に、最新技術を駆使してフィジカルとデジタルを融合させたリアルタイムショーを繰り広げ、「トム ブラウン」や「マリーン セル」は独特の世界観をムービーによって配信することで、ランウェイショーを開催する以上に濃厚なブランド観を強調することに成功した。また、「サルヴァトーレ フェラガモ」はルカ・グァダニーノ監督によるオリジナルショートムービーを、「アクリス」はアントン・コービンによるショートムービーを配信するなど、アートに昇華したクリエーションも見どころのひとつとなった。
拡大するプラットフォーム、変化するファッションカレンダー
また「バーバリー」はAmazonのゲームストリーミング「Twich(ツイッチ)」を採用し、「クリスチャン ルブタン」はインスタグラムで話題のソーシャルゲームアプリ「ZEPETO(ゼペット)」を活用してデザイナーが創り上げた夢の世界を表現するなど、プラットフォームの幅もぐっと広がった。
「セリーヌ」や「グッチ」「サンローラン」「ステラ マッカートニー」「ボッテガ ヴェネタ」「サカイ」といった人気メゾンのいくつかは、ファッションウィークに関係なく、独自のカレンダーで新作を発表。場所や時期にとらわれることなく今後もこの動きは加速していくだろう。
ほかにも多くのブランドが趣向を凝らして新作を発表した今季は、世界的パンデミックを経てファッションがこれから進むべき方向や、メゾンやファッションそのものがもつ本来の力がフォーカスされた、“モードの転機”となったに違いない。
2021春夏シーズンのムード
1.ナチュラル&リラックス
今シーズン、ランウェイショーを開催したブランドの54%が、公園や屋上、森の中などナチュラルな自然や屋外を舞台に選んだ。例えば「バーバリー」は森林を舞台に無観客ショーを実施し、「ケンゾー」は公園で養蜂家を彷彿させるコレクションを発表。ソーシャルディスタンスを確保するという物理的な理由もあるが、ファッション全体のムードが自然への回帰、緊張から解き放たれたリラックス感を訴求した結果だろう。コレクションも同様に、天然素材やフラワー柄、ボタニカル柄、グリーン、アースカラーが多く、シルエットもよりゆったりとしたものが目立った。色・柄・素材・シルエットのすべてが“優しい服”――これが今季の特徴だ。
2. ポジティブ&オプティミズム
パンデミックによる暗いムードを払拭すべく、ファッションが本来持つ楽観主義的やポジティブな高揚感を多くのデザイナーが提案。それは明るい色やデフォルメされたフォルム、パワフルなメッセージといった形で表現された。また、デザイナー自身の幼いころの原風景やファッションや女性が元気だった時代を彷彿させるコレクションも。先シーズンに引き続き、“ファッションがもつパワーと価値”が強調されたシーズンとなった。
3. タフネス&サステナブル
パンデミックを経て、気候変動やインクルージョンといった私たちを取り巻く課題が浮き彫りになった今、ファッションはよりタフで機能的、そしてサステナブルであることが求められるように。パーティに着ていくドレスではなく、ライフスタイルに寄り添った実用的でシーズンレスな服、100%エシカルで人道的な工程で制作された服など、今季のコレクションはよりリアル・機能的・人道的な服が多かった。また、一過性のトレンドではなく長く着られることを前提に提案するデザイナーが多かったのも今季の特徴。多くのブランドが斬新なトレンドや新作バッグを打ち出すよりも、アーカイブやアイコンバッグを再解釈するなど、メゾンのDNAやユニークネスに立ち戻った原点回帰的な傾向も顕著だった。
春夏トレンド1
フローラル
ナチュラル&リラックス全盛の今季、主役となったのがフローラル柄。楽園を彷彿させる大胆なボタニカル柄や、可憐な小花柄までバリエーションも豊富。全身フローラル柄のルックや、優しいトーンの色に乗せてエアリーに着こなすルックが多かった。
コーデ・着こなし方法
今季のフローラル柄はどこか一部分というよりも、ワンピースやジャケットで主役として取り入れるのが気分。パステルカラーやエアリーなシースルー素材など、軽やかな色や素材を選んでフェミニンに。花柄on花柄も今季はおすすめ。
春夏トレンド2
シースルー
心地よさを象徴する素材として多く登場した、オーガンジーやシフォン、メッシュなどのシースルー素材。動くたびに風をはらむエレガントなシルエットが特徴で、ドレスやトップスだけでなく、スカートやパンツといったボトムスまで幅広いラインナップ。ランジェリーやインナーを透けて見せることで、スタイリングに奥行きとオリジナリティが生まれる。
コーデ・着こなし方法
インナーは同系色を選べば失敗する心配なし。全身シースルーに抵抗がある人は、ジャケットやトップスを合わせて、チラっと見せるだけでも効果的。
春夏トレンド3
ピュアホワイト
先行き不透明なこの時代、多くのブランドが打ち出したのが、再生や希望を彷彿とさせるオールホワイトのルック。曇りのない白からナチュラルな生成りまで、さまざまなトーン&素材感で登場。ピュアでクリーンな白こそ、2021春夏シーズンを代表するカラーに。
コーデ・着こなし方法
ホワイトの面積が多ければ多いほど、今季らしさも倍増。コートやワンピースなどで取り入れつつ、単調にならないように異素材をミックスしたり、濃い色の小物で引き締めるのもポイント。 パステルカラーの小物を合わせても可愛い。
春夏トレンド4
アスレチックマインド
機能性や実用性が今まで以上に求められる時代、スポーツアイテムに注目したブランドが急増。「セリーヌ」や「トム ブラウン」「ミュウミュウ」のようにスタジアムやアリーナでショーを開催したブランドも。 ウィンドブレーカーやブラトップ、サイクリングパンツなど、スポーティなアイテムを日常の着こなしに取り入れることで、ON/OFFの境界を越えた新しいスタイリングを提案。スニーカーのルックもいつも以上に多かったのも特徴。
コーデ・着こなし方法
トレンチやコットンアウターの代わりに、ナイロンパーカやウィンドブレーカー、ジャージーなどにチェンジするだけで一気に今季らしい雰囲気に。ジップアップやライン入りアイテム、ビビッドな配色など、ディテールで取り入れるだけでも効果的。
春夏トレンド5
コージー&リラックス
自分にとっての“心地よさ”が第一優先――そんなムードが各メゾンのルックにも象徴され、リラックスシルエットのガウンやスウェットなどリラックス感あふれるアイテムがランウェイを席捲した。トップスはよりオーバーサイズに、ボトムスもゆったりとしたシルエットが多く、さらっと着られるロングドレスやジャージー素材のジャケットなど、家で来ていても快適で、そのまま外出もできるクラス感のあるルックに人気が集中。
コーデ・着こなし方法
ポイントは“上質感”。リラックス感のあるシルエットだからこそ、部屋着に見えない素材や色をセレクトするのが重要。靴やバッグ、アクセサリーで堅さを加えることで、大人のコージースタイルが完成する。リネンやシルク、ニットなどの天然素材もおすすめ。
春夏トレンド6
スリーブ&カラーコンシャス
今シーズンのトップスは、とにかく袖や襟もとに特徴のあるものが多かった。引き続き人気のボウタイや、Zoom映えするラッフルカラー、小顔効果のあるボリュームスリーブなど、1枚着るだけでコーデが華やぐブラウスやワンピースは、2021春夏のマストハブ。
コーデ・着こなし方法
トップスにボリュームが出るぶん、ボトムスはタイト&スリムにまとめてバランスをとって。 Zoom映えを狙うなら、パステルカラーやシルク素材など顔色がよく見えるが色や素材をセレクトするのも◎。
春夏トレンド7
フーディ
スポーツ、リラックスのムードに乗って、コンフィなフーディがトレンドアイテムに君臨。少し前まではストリート色が強いアイテムとして挙げられていたフーディも、今季はスタイリングのハズし役として主役に抜擢。ミウッチャ・プラダ&ラフ・シモンズ率いる「プラダ」、マシュー・ウィリアムズのデビューとなった「ジバンシィ」ほか、バリエをもたせた多彩なデザインの提案が目立った。
コーデ・着こなし方法
カジュアルに着こなすというよりは、スカートやシアーなアイテムと合わせてミックス&マッチにトライするのがポイント。シルエットはコンパクトというよりもほど良くオーバーサイズなものを選ぶと旬なムードに。
春夏トレンド8
アウトドア
未曾有のパンデミックを経て、実用的な服を求めるムードも高まった2020年。世相をキャッチしたデザイナーがこぞって提案したのが、タフな場面にも打ち勝てるアウトドアアイテム。パッチポケット付きのベストやジャケット、フード付きのミリタリー調ロングコートなど、どんな状況でもサポートしてくれる。
コーデ・着こなし方法
一枚で存在感があるぶん、無骨になりすぎないよう注意したいところ。ニュートラルカラーをメインに打ち出しているブランドが多いので、相性の良いビビッドカラーやパステルカラーを小物でミックスするのも春夏らしさが出て◎。
春夏トレンド9
ブラ&バンドゥ
今季はインナーとしてではなく、ブラやバンドゥを主役にしたルックが多かったのも特徴。開放的なムードに比例するように、そのままバカンスへ向かえるような軽やかな着こなしが目立った。思うようにバカンスを過ごせなかった2020年を振り返り、2021年への希望を込めた意味もありそう。
コーデ・着こなし方法
思いきってブラ一枚で軽快に着こなしたいところだけれど、ストリートではなかなか難しいところ。エアリーなシースルーアイテムや、サマーニットと重ねて、まずはレイヤードスタイルで取り入れてみよう。
春夏トレンド10
ミニスカート&ショーツ
暗いニュースが飛び交った2020年の記憶を忘れ去るように、チアフルな女性像を打ち出すブランドが多かった2021春夏コレクション。ボトムの丈も短くなり、ミニスカートやショートパンツも大々的に復権。ポジティブに、そしてアクティブな着こなしを提案する、新時代のトレンドアイテム代表格と言えそう。
コーデ・着こなし方法
どんなコーディネートにもマッチするショートボトムはノールールで楽しもう! ジャケット、シャツ、ニット、Tシャツ……とスタイリングの幅は無限大。自分のスタイルに自信をもって、ヘルシーな春夏のムードを思い切り謳歌して。
春夏トレンド11
メタリック
未来を明るく照らす道しるべのように、ランウェイに恍惚と輝くメタリックカラー。楽天的な’70年代を記憶を掘り起こすかのように、ディスコクイーンを彷彿とさせるドレスルック、ギラギラと輝くパワフルなスーチングルックと、エネルギッシュなスタイルがさまざまに提案された。
コーデ・着こなし方法
大胆不敵な精神で着こなしたい、メタリックカラー。全身で着こなして、いち早くパーティスタイルを楽しみたいところだけど、抵抗があるならバッグ&シューズでさりげなく取り入れるのもグッド。
春夏トレンド12
ステートメント・メッセージ
コレクションを通じて、さまざまなメッセージを投げかけるブランドも。米大統領選の開催を控えていた10月に開催されたパリコレでは、「ルイ・ヴィトン」がファーストルックに投票を呼びかける「VOTE」Tシャツを採用。その後セレーナ・ゴメスやシャーリーズ・セロンらがこのTシャツを着て各自のSNSで投票を促すまでになった。「クロエ」は、アメリカ 人アーティスト 、コリータ・ケントのアートワークを用い、ブランドが長らく提案してきたしなやかで自立した、芯のある女性像を力強く訴えかけた。デムナ・ヴァザリア率いる「バレンシアガ」は、自粛期間中、自らのクリエーションの在り方を改めて見つめたデムナは、持続可能なファッションをとことん追求。コレクションは、いわばデザイナーからのメッセージ。そして何を選んでどう着こなすのかは、着る人の考えを示すことにも繋がる。
コーデ・着こなし方法
メッセージをそのものを着る人のステートメントとして、 意志をもって着こなすこと。インパクトが強いぶん、定番アイテムと合わせたり、色を控えめにするなど、引き算のコーディネートを心がけると大人っぽく仕上がる。
春夏トレンド13
ピンク
やっぱり春夏は、この色がなくっちゃ! 春爛漫なピンクは、今季もトレンドカラー前線にランクイン。先シーズンまでは、淡く柔らかいパステルピンクがメインストリームだったけれど、今季はボールドピンクが優勢。アクセントカラーとして取り入れるルックから、トーン・オン・トーンで奥行きをもたせるスタイリングも多数見受けられた。
コーデ・着こなし方法
迷いなく着こなしたいピンクは、潔く取り入れるが勝ち。今季はブルーやグリーン、イエローと合わせてとことんカラースタイルを楽しむのもあり。モノトーンと合わせても引き締まり、実はどんな色とも相性抜群なので、お気に入りのカラーコーデを楽しんでみては?
春夏トレンド14
ワイドパンツ
パンツもタイトなシルエットより、リラックスしたワイドシルエットが圧倒的大多数。 特に今季印象的だったのは、裾に向かってやや広がるシルエットに、シューズが隠れるほど長い裾。コンパクトなトップと合わせて、スタイリングの主役として着こなしていたのが特徴。
コーデ・着こなし方法
前述の通り、今季はコンパクトなトップと合わせてメリハリをもたせたスタイリングにトライしてみて。シーズンレス、そしてシーンレスに活躍するので、ベーシックなブラックやグレーなど、万能カラーで一本お気に入りを見つけたいところ。
春夏トレンド15
イエロー
今季ランウェイを席巻したホットカラーは、落ち込みがちな気分をぱっと明るくしてくれるイエロー。一口にイエローといっても、パワーを与えてくれるようなパキっとしたイエローや、リラックスムードに寄り添うメローなイエローなど種類も豊富。パントン社の2021年カラー・オブ・ザ・イヤーに選ばれた注目色をぜひ取り入れてみて。
コーデ・着こなし方法
こんな時だからこそ、大胆に全身で取り入れてエネルギッシュなムードを纏うのが気分。鮮やかなカラーをポイントにプラスしたり、ブラックで全体を引き締めたりと気分でスタイリングを楽しんで。
春夏トレンド16
ロングアウター
今季の注目株であるロングアウター。軽快なシースルー素材や、マニッシュなデザイン、変形トレンチコートなど幅広く登場しているが、全てに共通するのは引きずるぐらいの超マキシ丈でオーバーサイズ仕立てということ。
コーデ・着こなし方法
ランウェイで特に多かったのがミニボトムと合わせたヘルシーなスタイリング。脚の露出に抵抗があっても、これならトライできるかも? フロントを閉めてロングドレスのように着こなすのもあり。
春夏トレンド17
カットアウト
多くのブランドが打ち出したのは、モダンかつ攻めな肌見せを楽しめるカットアウトアイテム。ウエストや胸もとのカットアウトを強調するべく、ミニマルな着こなしが提案された。ポイントは男性に媚びることなく、強めなセクシーを楽しむ姿勢。
コーデ・着こなし方法
カラーやプリントに頼らず潔くシンプルにブラックやホワイトでまとめるのがおすすめ。ロングスカートを合わせたり、ドレスで取り入れたり、ひとさじの女性らしさを忘れずに。
春夏トレンド18
スカイブルー
ニュアンスのあるスカイブルーがランウェイで多く見られた今季。落ち着きやつながりをもたらす安心感のあるスカイブルーは、不安な日々が続く今の時代にまさに求められているカラー。シャーリングが効いたスポーティなルックや、シティライクなパンツルックなどスタイリング術もさまざま。
コーデ・着こなし方法
トップスやボトムスだけというより、イエロー同様ワントーンで全身で取り入れるのがおすすめ。上級者は思い切って小物までブルーで揃えると鮮度アップ。
春夏トレンド19
クロップドトップ
お腹がちらりとのぞくクロップドトップスは、一枚で着こなしを旬なバランスに見せてくれる注目アイテム。モノトーンでクールに仕上げるブランドが多いなか、カラフルでガーリーなスタイリングも。
コーデ・着こなし方法
やっぱりクロップドトップスに合わせるなら相性抜群のハイウエストボトムス。トップスと合わせてアウターもクロップドを選ぶとより好バランス。定番のシャツとクロップドトップスの合わせ技も参考にしたい。
春夏トレンド20
サマーブーツ
秋冬に引き続き人気のコンバットブーツをはじめとしたサマーブーツが目立った今季のランウェイ。春夏らしく明るい色使いと軽やかな素材を選ぶのもよし、シーズンレスな流れに乗って、武骨なコンバットブーツを選ぶのもよし。
コーデ・着こなし方法
ワンピースやスカートと合わせてフェミニンさを中和する役割としてサマーブーツを取り入れるのが正解。春夏の軽やかなスタイルの足もとにハードなサマーブーツを合わせるコントラストを楽しんで。