本来、“女性の心身の健康をテクノロジーで支えること”を意味する「フェムテック」。近年はその言葉の意味が派生し、テクノロジーのみならず、女性のニーズに応えるアイテム全般を指すように。今回は、私達にとって最も身近な「フェムテック」である生理関連アイテムにフォーカス。生理用アイテム、サニタリーショーツ、デリケートゾーンケアコスメ、インナーケアのカテゴリー別に、各分野のプロフェッショナルが厳選したアイテムをご紹介。知っていれば生理を快適に、そして自由に過ごせる優秀アイテムがラインナップ。
※肌や体質によって、効果には個人差があります。また、肌や体質に合わない場合は製品の使用を中止してください。
■目次
#1 生理用アイテム
かつては、紙ナプキンとタンポンくらいしか選択肢がなかった生理用アイテム。昨今では、目覚ましく進化を遂げたアイテムも増加中。そのいっぽう、使い心地や使い方がわかりづらく聞きにくい、という声も。そんな声に応えて、生理の悩みや好みに合わせた選択肢を商品とコンテンツで展開する「ランドリーボックス」代表の西本美沙さんが、本当に使えるアイテムをリコメンド。注目の月経カップ、水漏れを防ぐパッド、膣洗浄ジェルなど、使ってみたい、知っておきたい新アイテムが次々と登場。
「メルーナ」月経カップ
「タンポン同様に膣内に挿入し、血を溜めることができるアイテムで、正しく使用すれば繰り返し使用が可能。エコなだけでなく、血が空気に触れないため生理の匂いが気にならなかったり、ナプキンの使用頻度を減らしたりできるのでデリケートゾーンのムレ防止にもなります。着脱に慣れるまで時間がかかる方もいますが、慣れれば快適です」（西本美沙さん）
「ソフィ」シンクロフィット
「漏れを防ぎ、膣に挟んでつかうサポートアイテム。これを使うと通常のナプキンに約2時間分の吸水力がプラスされる優れもの。膣内に挿入しないでいいのでタンポンが苦手な人は試してみる価値あり。個包装で本体もトイレに流せてしまうのも嬉しいポイントです」（西本美沙さん）
「シシフィーユ」オーガニックコットン サニタリーパッド
「紙ナプキンではデリケートゾーンがかぶれやすい、だけど布ナプキンなど他のアイテムは手間がかかる……という人にぴったりなのがオーガニックコットン100%のナプキン。程よい大きさで羽がついているので、初心者はこのサイズからの使用が安心。生理期間中は肌も敏感になっているので、優しい素材で肌を労わってみては」（西本美沙さん）
「パンティライナーズ オーガニック」オーガニックコットン羽つきパッド
「“肌が弱い”、“かぶれが気になる”という人におすすめするのは、肌触りがやわらかくて気持ちいいオーガニックコットンでできた布パッド。月経カップと併用したり、おりものや軽い尿もれ対策としてライナーの代わりに使ったり。ホテルのアメニティのようなパッケージなので、プレゼントにもいいですね」（西本美沙さん）
「ハナミスイ」インクリア 膣洗浄ジェル
「生理の終わりかけや、おりもののにおいが気になるなら、膣内の環境を整える膣洗浄ジェルを試してみては？ 膣内は弱酸性で自浄作用もありますが、膣環境が乱れるとにおいの原因になることも。かといって、膣内の洗いすぎはかえって膣環境のバランスを崩してしまう場合があります。これは洗うのではなく、乳酸配合の弱酸性ジェルで膣内のバランスを整えます」（西本美沙さん）
#2 サニタリーショーツ
生理時のマストアイテムと言えば、サニタリーショーツ。いままではナプキンを使いやすくする補助的アイテムだったサニタリーショーツが、ここ数年で生理グッズ同様に大きな進化を遂げている。きっかけは、2011年に米国で誕生した「シンクス」。今年に入ってからは、女性企業家が相次いで日本発ブランドのショーツを手掛け、注目を集めている。
「ベア」ベア シグネチャー ショーツ
ナプキンの必要がなく、はくだけで血を吸収するショーツ「ベア シグネチャー ショーツ」。吸収量は、成人女性の生理2日目の平均量の約3倍であるタンポン12本分（約120mL）という抜群の安心感。ショーツ本体と吸収体の生地が離れているため洗濯もしやすく、必要であれば羽付きき布ナプキンも装着しやすいウィングポケット付き。
「ナギ」吸水ショーツ
起業家であり、エンパワーメントメディア「BLAST」を運営する石井リナさんによる、生理用品ブランド「ナギ」。標準的な股上のStandard、やや浅めのSlim、深めのFullと3タイプがあり、好みのはき心地で選べるのが嬉しい。Standardの吸収量はナプキン3枚分（約30mL）。環境に配慮し、紙だけで作られたおしゃれなパッケージも素敵！
「ケープラスワンパーセント」サニタリーショーツ
“生理のときも下着のおしゃれを諦めないで”、“初潮の時におしゃれなサニタリーショーツを貰ったら、生理に対する感じ方も変わるはず”。そんな想いからブランドをスタートさせたというディレクターのスド=キョーコさん。モードなカラーコンビで展開するサニタリーショーツとお揃いのバンドゥブラは、これからの季節、見せブラとしても活躍しそう。
「タカギ」ホクホク!サニタリーショーツ
1960年代からサニタリーショーツを製造していたという老舗メーカーの『タカギ』から5月に発売されたのが、“温活”サニタリーショーツ。炭100%の植物性炭素繊維を下腹部と腰部に使って、生理時の体を冷えから守る仕様。炭には抗菌や消臭などの機能もあるそうで、自然の力を活用したサニタリーショーツになっている。
#3 デリケートゾーンコスメ
最近はすっかり定着したデリケートゾーンのケア。経皮吸収しやすい粘膜が近い敏感な部分ゆえ、オーガニック・ナチュラルコスメブランドの物が人気のよう。そんなデリケートゾーンケアコスメを紹介してくれるのは、人気ブランド「コスメキッチン」のPR菅原詩織さん。実はかゆみ、黒ズミなどトラブルを抱える人が多いにもかかわらず、なかなか相談しにくいデリケートゾーン。初心者でも気軽に使えるアイテムを紹介していただきましょう。
「アルジタル」デリケートハイジーンソープ
「デリケートゾーン専用アイテムの中で、いちばん人気のアイテム。泡立ちもよくすっきり感があるので、専用ソープを初めて使うという方にぴったり。海洋性ミネラルや保湿成分をたっぷり含んだグリーンクレイに、イタリアの天然水と浄化作用の高いニアウリ葉などの植物成分が配合され、臭いやトラブルの原因を優しく洗い流します」（菅原詩織さん）
「アロメディカ」フェミノール
「デリケートゾーンの洗浄に適したオイル。ローズやイランイラン、ビャクダンなどのフローラルな香りで、ボディオイルとしても使うことができます。オイルなので洗浄と共に保湿もでき、香りが持続するのも嬉しいポイント。デリケートゾーンの洗浄に使う場合は、お湯ですすいでから適量を肌になじませ、2～3分おいた後に洗い流します」（菅原詩織さん）
「アンティーム オーガニック バイ ルボワ」ホワイトクリーム
「摩擦などで黒ずんでしまったデリケートゾーンにおすすめのクリーム。海藻由来の成分や米ぬかエキスなどが肌を明るく導きます。滑らかなテクスチャーのクリームで保湿しながらケア。デリケートゾーンだけでなく、バストトップやお尻、ひじやひざなど黒ずみが気になる部分全般にもおすすめです」（菅原詩織さん）
「ビオトゥルム」フェミニンデュオスプレー
「デリケートゾーンを健やかに整えてくれるホエイ（乳清）を配合したスプレー。蒸れやニオイが気になる時には、トイレットペーパーにシュッとスプレーして拭き取るとスッキリ。スクワランとホホバ種子油を含んでいるため、日中の保湿にもおすすめ。汗ばむこの季節は、バッグに携帯しておくと何かと便利です」（菅原詩織さん）
「アルジタル」デリケート ハイジーン ニアウリクリーム
「下着の摩擦やナプキンなどの刺激、蒸れや乾燥などで起こるデリケートゾーンのトラブルに良いクリーム。スーッとした清涼感が気持ち良く、お守り代わりに持っておくと安心。デリケートゾーンだけでなく、マスクによる肌荒れが気になるときには顔にも使用でき、全身に使っていただけます 」（菅原詩織さん）
#4 インナーケアアイテム
生理痛、生理不順、PMS（月経前症候群）など、生理にまつわる悩みを抱える人におすすめなのが、女性ホルモンのバランスを整え、健やかなからだに導くインナーケア。日常生活に取り入れやすく、植物の力を生かしたインナーケアを紹介してくれるのは、著書『自然ぐすり生活』も人気で、セミナーやカウンセリングを行う植物療法士の南上夕佳さん。“毎月薬に頼っている”という方は、体質改善を目指して試してみて。
「エルボリステリア」ティザンヌ ラズベリーリーフ
「生理痛の方におすすめしたい植物の代表は、ラズベリーリーフ。ラズベリーリーフには子宮周りの筋肉の強壮の働きがあり、月経痛の原因である強い子宮収縮を和らげます。ティザンヌとはハーブティーのことで、約200ccの熱湯に小さじ2〜3杯入れて蓋をし、蒸らしてから飲みます。お茶として日常的に飲むのも良いですし、生理が始まる1〜2週間前に集中的に飲んでもOKです」（南上夕佳さん）
「エルボリステリア」オイルカプセル 月見草
「生理痛に悩んでいる方には、女性の日々のリズムをサポートするハーブとして知られる月見草もおすすめ。不飽和脂肪酸であるオメガ6のγ−リノレン酸が豊富に含まれていて、このγ−リノレン酸には炎症を抑える働きがあります。生理痛などの痛みのケアには、朝晩1カプセルずつ飲むと良いでしょう」（南上夕佳さん）
「エルボリステリア」ティザンヌ メリッサ
「PMS（月経前症候群）や生理不順に悩んでいる方はメリッサのティザンヌ（ハーブティー）を。PMSとは生理が始まる3～10日前から起こる、頭痛やイライラなどの不快な症状全般を指し、その原因は女性ホルモンのバランスにあります。メリッサは女性ホルモンのひとつであるプロゲステロンに似た作用がある女性ホルモンのバランスを整える植物。排卵期から月経が始まるまで毎日飲みましょう」（南上夕佳さん）
「エルボリステリア」TGP プレミアム
「インナーケアには、水に混ぜて飲むだけのタンチュメール（液体サプリ）も便利。PMS（月経前症候群）や生理不順に良いTGPプレミアムには、女性ホルモンに似た働きを持つメリッサやチェストベリーなどの植物エキスが凝縮してブレンドされています。相乗効果となる体を温める赤葡萄葉エキスも配合され、マヌカハニーやビタミンなど女性の健康をサポートする成分を豊富に含んでいます」（南上夕佳さん）
川原好恵／ランジェリーライター・エディター
文化服装学院卒業後、流通業界で販売促進、広報、店舗開発を約10年経験した後、フリーランスとして独立。下着通販カタログの商品企画などを経て、現在はランジェリーを中心に、雑誌、新聞、ファッションウェブサイト、海外メディアなどで執筆・編集を行う。モットーは「ラペルラ（プレステージ）から、しまむら（デイリープチプラ）まで」「ランジェリーもファッションの一部」を口癖に、パリのサロンから両国のメーカーまで、常に小走りで取材に向かう。
https://www.instagram.com/yoshiekawahara/
