エリザベス女王のジュエリーコレクションは、ダイヤモンド、ルビー、パールなど、世界で最も印象的なコレクションのひとつ。注目したいのは、金銭的価値はもちろんのこと、歴史的に重要性が高いものばかりということ。エリザベス女王の最も美しいブローチ10点それぞれが持つ意味とは?
プリンス・アルバート・ブローチ(Prince Albert Brooch)
プリンス・アルバート・ブローチは、ヴィクトリア女王の治世(1837年〜1901年)まで遡る王室の家宝。ゴールドの台座にサファイアとダイヤモンドが埋め込まれたブローチは、ヴィクトリア女王が婚約者(当時)だったアルバート公から結婚式の前日に贈られたもので、女王はその場でこのブローチをウエディングドレスに付けることを決断したそう。
Court Jewellerのエラ・ケイ氏によれば、ヴィクトリア女王は遺言でこのブローチを王室の家宝に指定したという。彼女の遺言により、このブローチは未来の君主たちに継承されることが決められたのだ。以来、4人の女王と国王の配偶者(アレクサンドラ・オブ・デンマーク(エドワード7世妃)→メアリー・オブ・テック(ジョージ5世妃)→エリザベス・ボーズ=ライアン(ジョージ6世妃)→エリザベス女王)全員がプリンス・アルバート・ブローチを身につけてきた。エリザベス女王はこのブローチをたびたび着用しており、その度にこのエモーショナルな歴史が思い出される。
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センテナリー・ローズ・ブローチ(The Centenary Rose Brooch)
このブローチは、エリザベス女王がクイーン・マザーの100歳の誕生日プレゼントとして制作を依頼したもの。100個のダイヤモンドで縁取られており、“センテナリー”と呼ばれている。ジェエラーの「コリンズ&サンズ」が手がけたもので、中央の水晶には手描きでクイーン・エリザベス・グランディフローラ・ローズ(1953年のエリザベス女王の戴冠式のために交配されたバラ)が描かれている。 ケイ氏によれば、エリザベス女王はクイーン・マザーの死後9カ月後に行われた2002年のクリスマスの演説でこのブローチを身につけており、亡き母への特別な追悼メッセージになったという。
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ニュージーランド・シルバーファーン・ブローチ (The New Zealand Silver Fern Brooch)
このニュージーランド・シルバーファーン・ブローチ は、1950年代に当時のオークランド市長夫人レディ・アラムからエリザベス女王へ贈られたもの。“オークランドの女性たち”からのクリスマスプレゼントとして制作され、ニュージーランドの国章にも描かれているシルバーファーン(ニュージーランドに自生するシダ)を模してデザインされた。
今日に至るまで、エリザベス女王だけでなく、時には他の王室メンバーもニュージーランドを訪問する時や、同国と関連のあるイベントに参加する際にはこのブローチを着用している。
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コーラル・ローズ・ブローチ(The Coral Rose Brooch)
シャルル・ド・ゴールが1940年6月18日にBBCラジオを通して行った有名な演説から50周年を迎えた時に、リベラシオン勲章がエリザベス女王に贈ったのがコーラルローズのブローチ。
女王がこのブローチを身につける機会はあまり多くはないが、フランスのイベントに出席する際に拝見することができる。なかでも印象的なのは、2004年のパリ旅行。この旅行は、フランスと英国の外交関係改善を目的とした英仏協商の100周年記念に行われたもので、女王はこの時にコーラル・ローズ・ブローチを身につけている。
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