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LGBTQへの理解が少しずつ広まる中、自分は“パンセクシュアル(全性愛)”だとカミングアウトするセレブが増えている。人を愛する上で性別を考慮に入れないパンセクシュアルは、男女ともに愛せるバイセクシュアル(両性愛)とはどう違う? それは一体どんな感覚なの? パンセクシュアルを自認するセレブたちが語る当事者ならではのリアルな声に耳を傾けてみて。AU版『ELLE』より。
そもそもパンセクシュアルとは?
セレブが自分のセクシュアリティについてメディアで公表することは義務ではない。しかし、彼らのカミングアウトは共感している人々にとって助けとなることは確かである。さらに、それによって我々のより広範なコミュニティに対する認識と理解が深まる。パンセクシュアル(全性愛)の場合は特にそうだ。
パンセクシュアルとは、対象の生物学的な性別や性自認に関わらず、人に性的、恋愛的、感情的に惹かれることを指す。表面的にはパンセクシュアル(全性愛)とバイセクシュアル(両性愛)は同じように感じるかもしれない。バイセクシュアルの定義は、「2つ以上の性に対して性的魅力を感じること」とされている。しかし、マイリー・サイラスやジャネル・モネイをはじめパンセクシュアルを自認するセレブの多くが発言しているように、パンセクシュアルは性別を考慮に入れないという点でバイセクシュアルとははっきりと異なっている。
それはいったいどんな感覚なのか? 以下でパンセクシュアルを自認するセレブたちの告白を見てみよう。
ベラ・ソーン
元ディズニー女優のベラ・ソーンは2016年にツイッターでバイセクシュアルであることを公表していたが、つい最近になって彼女は自分がそれには当てはまらないと考えていると告白した。
「私は実はパンセクシュアルなの。自分でも知らなかった」と出演した朝の情報番組「Good Morning America」で打ち明けたベラ。「ある人がそれ(パンセクシュアル)についてかなり詳しく説明してくれて分かった」
「存在が好きなの。好きなものが好き。対象が女の子とか男の人とか、彼、彼女、彼ら、これ、あれ、とか関係ないの。まさしく『その人の人格を好き』になるの。存在そのものを好きになる感じね」と説明した。
マイリー・サイラス
ポップ歌手で女優のマイリー・サイラスが初めてパンセクシュアルであることを明らかにしたのは2015年のUK版『ELLE』でのインタビューだ。
「私はこのことについてとってもオープンにしてるんだけど、私はパンセクシュアルなの。でも今は誰とも付き合ってないわ。今私は22歳。デートもするだろうけど、2週間おきに自分のスタイルが変わってるような感じよ。私が誰と一緒にいようと放っておいてよ」
現在では結婚しているマイリーは今年の『ヴァニティフェア』誌のインタビューではさらに踏み込んで、性別の役割や恋愛についての自身の捉え方を明らかにした。
「私が信じているのは人は相手の性別や、見た目、その他のものに基づいて恋に落ちるのではない、ということ。私はほとんど精神的なレベルで対象を愛するの。それはセクシュアリティとは関係がないわ。新しい世代の恋愛やパートナーシップにとって、セクシュアリティや性別へのこだわりはあまりないと思う。性は些細なことだし、ジェンダーも本当に小さな一部、恋愛においてはほとんど余計なものよ」
ジャネール・モネイ
シングル曲「PYNK(ピンク)」のMVでも話題になったジャネール・モネイは同曲が収録されているアルバム『ダーティー・コンピューター』の公開に際して『ローリングストーン』誌のカバーストーリーを飾り、かねてから噂されていた自身の性的指向について率直に語った。
「私はアメリカにいるクィアな黒人女性の1人で、男性とも女性とも関係を持ったことがあるから、自分では自由な精神のマザーファッカーだと思ってる」と、セクシュアルマイノリティを意味する“クィア”という言葉を使って自身の性的指向について説明。さらに、以前は自分のことをバイセクシュアルだと思っていたが、「後になって、パンセクシュアルについての説明を読んで、『あ、これって私にも当てはまる』と思ったわ。今では自分がどんな人間なのか学ぶことにオープンよ」と、自分がパンセクシュアルである可能性について言及し、それを受け入れるつもりであると語った。
ニコ・トルトレッラ
ドラマ「Younger(原題)」に出演するニコ・トルトレッラは、自分のセクシュアリティについて「パンセクシュアルの一つ」だと表現しながらも、両性愛の消去(バイセクシュアルの存在を無いことにしようとする傾向)についての認知を広めるためにバイセクシュアルというレッテルも受け入れているという。
LGBTQに向けた雑誌『Advocate』で以下のように語ったニコ。「僕は感情的にも肉体的にも男性に惹きつけられることがあるよ。感情的にも肉体的にも女性に惹きつけられることも。LGBTQ+の“B”はずっと戦ってきた。僕は『いや、僕には“P”が相応しい。“B”は嫌』ってなる人間じゃない。僕のような人のために道を切り開いてきた人たちを応援したいんだ」
ブレンドン・ユーリー
パニック!アット・ザ・ディスコのフロントマンであるブレンドン・ユーリーは2018年に『Paper』誌のインタビューでクィアであることや、男性らしさのステレオタイプについて質問を受け、以下のように答えている。
「僕は女性と結婚していて、彼女のことをとても愛しているけど、男性も拒絶しないよ。だって僕は人間が好きだから。僕のことはパンセクシュアルだと捉えてもらっていいよ、まったく気にしてないから。素晴らしい人は、素晴らしい、ということ。僕はただ心が正しい、善良な人が好きなんだ。男性に惹きつけられる、ということも確実にある。僕が惹きつけられるのは(性別関係なく)人なんだ」
テス・ホリデー
プラスサイズのモデルとして活躍するテス・ホリデーもブレンドン同様にインタビューの中でパンセクシュアルについて告白している。2019年7月号の米『NYLON』誌のカバーストーリーでテスは知らない人から、彼女はバイセクシュアルなのか、と聞かれた話について以下のように回想した。
「私はこう言ったの。『尋ねてくれてありがとう。私は自分のクィアな部分とどう付き合っていくかずっと考えていた。バイ(セクシュアル)よりもパンセクシュアルっていう単語の方が自分をより表してると思ってるわ』ってね」
シーア
シンガーソングライターのシーアは2009年にオーストラリアのLGBTQに関する情報サイト「Same Same」のインタビューで自分のセクシュアリティについて以下のように語っている。
「成功する前から、自分はいつも男の子や女の子、そしてその間にある性の人と付き合っていることを公表してた。私は性別は気にしないの。その人を見るだけ。最近カミングアウトしたわけじゃなくて、ただ最近自分が有名になっただけ。私は、そうね……言い表すとしたらフレキシブルかな」
クリステン・スチュワート
公に自分のことをパンセクシュアルだと言ったことは無いが、女優のクリステン・スチュワートは2015年に米『NYLON』誌のインタビューによって、パンセクシュアル・ムーブメントを引き起こしたリーダーの一人だと考えられている。
当時のアシスタント、アリシア・カーガイルとの噂されていた関係について言及し、クリステンは以下のように語っている。
「3~4年もすれば、多くの人が自分がゲイかストレートかなんてどうでもいい、って思える世の中になると思う。ただ、自分のことに集中しよう、ってね」
ケシャ
歌手のケシャは自分のことをはっきりとパンセクシュアルだとは言っていないが、彼女の恋愛やセクシュアリティに関する捉え方はかなりその定義に当てはまるものだ。
2013年の『Seventeen』誌では「私は人を愛しているの。性別は関係ない。一緒にいる相手からあふれる精神が重要なの」と語っている。
アマンドラ・ステンバーグ
アマンドラは現在、自分は同性愛者だとしているが、2016年のウェブマガジン「ROOKIE」の動画ではパンセクシュアルな指向や自分のレッテルについての葛藤を語っている。
「私は人前では自分のことをバイセクシュアルだとしているけど、自分のセクシュアリティを表す上でパンセクシュアルという言葉も使うわ。私がバイセクシュアルという単語を使うのは、必ずしも相手がその単語(パンセクシュアル)を知ってるわけじゃないと思ってるから……バイ(セクシュアル)って言う方がイージーなだけ」
Translation & Text : Naoko Ogata