「女性の美とはこうあるべき」と女性たちのボディイメージをコントロールしてきたハリウッドやファッション界。でも最近では美のあり方が多様化、「自分らしさ」の大切さがアピールされている。
そのトレンドをリードしているのが女優やモデルたち。これまでのボディイメージを改革しようと声をあげ始めている。中には「成功したいなら整形して」とか「痩せないと仕事はこない」と言われた新人時代のエピソードを告白するセレブも。そこで今回は勇気を持って自分の体験を語ったセレブたちをピックアップ! 自分らしさを大切にする彼女たちのメッセージを改めて受け止めたい。
リヴ・タイラー
エアロスミスのボーカル、スティーブン・タイラーとモデルのビビ・ビュエルを両親に持つリヴ・タイラー。2世セレブ女優としてデビュー、順風満帆なキャリアを築いてきたように見えるけれど新人の頃は痩せるように言われたという。「痩せればもっと仕事が増えると言われていた。でも私はハリウッドの基準に従いたくなかった。ハリウッドの外では私はスリムな方よ。それに私は自分の今の姿が好き」とコメント。ハリウッドの”スリム”が痩せすぎだと指摘している。
ケイト・アプトン
雑誌『スポーツイラスト・レイテッド』の水着モデルとして大ブレイクしたケイト・アプトン。ヘルシーな体型で女性からも支持を獲得しているが、彼女も新人モデル時代は痩せるようにプレッシャーをかけられたという。雑誌『グラマー』のインタビューで「事務所から痩せるようにずっと言われ続けてきた。最初のうちは彼らの求めるイメージに合わせようとダイエットしていた」。でもそのうち「現実的ではないことに気がついた。これは私の体よ。だから痩せろという人の声をシャットアウトしたの」。
タイラ・バンクス
元祖スーパーモデルの1人、タイラ・バンクスも痩せろと言われた過去の持ち主。「まだ若かったとき、ミラノファッションウィークでデザイナーたちから『太り過ぎ』『お尻が大きすぎる』と言われた。彼らは私の母に『体重を落とすように言ってくれ』とクレームしていたの」。タイラは名前は明かしていないが「痩せないともう仕事はしない」と言ってきたデザイナーは「8人いた。母がその人たちの名前のリストを見せてくれたの。それを見て私は泣き出して『どうしたらいいの? ダイエットすればいい? 1日に2回ワークアウトすればいい? 三食ともサラダにすればいい?』って聞いた」。すると母を連れてピザレストランへ。「母は私にペンを握らせて『あなたのお尻が好きだと言ってくれるクライアントの名前を書き出しなさい。あなたのお尻は何も悪いことはしてないんだから』って言ってくれたの」 。
パトリシア・アークエット
映画『6才のボクが、大人になるまで。』でアカデミー賞助演女優賞を獲得したパトリシア・アークエット。あるインタビューで新人だった頃を振り返り。「ある監督が私のエージェントに『胸はそのままに5キロほど痩せてくれればいいのに』って言っていたのを覚えている」。でも「私は痩せたくなかったからダイエットしなかった。経済的に働かなくてはいけなかったり、子どもが生まれてお金が必要だったりしたときもオファーを断ったことがある。それは役が不適切だったり監督の態度が倫理的に問題があったりしたからよ」。監督から体型に関してプレッシャーをかけられたことがたびたびあったと明かしている。
エイミー・シューマー
自身の成功のため、というより映画の成功のために痩せろと言われたのがコメディ女優のエイミー・シューマー。2017年の『エイミー、 エイミー、エイミー! こじらせシングルライフの抜け出し方』に出演するとき「体重が140ポンド(63キロ)以上あるハリウッド女優がスクリーンに出てきたら観客は見ていて苦痛だと言われた」と語っている。「本当なのかわからなかったけれど私は何キロか体重を落とした。でももう二度としない」。
ミスティ・コープランド
アフリカ系の女性として初めて名門バレエカンパニー「アメリカン・バレエ・シアター」のプリンシパルに抜擢されたミスティ・コープランド。周りに自分と同じアフリカ系のバレリーナがいないこと、そして「痩せろと言われたことで自分に自信が持てなくなったこともある」。でもバレエ界に馴染むためにダイエットすることは拒否したというミスティ。「ガリガリに痩せてなくても、ブロンドヘアではなくてもバレエの世界で活躍するのは可能だということを世界に見せたいから」。
ジジ・ハディッド
今やファッション界を代表するスーパーモデルのジジ・ハディッドも新人のころ体型を批判された経験あり。2020年の雑誌アメリカ版『i-D』のインタビューで2015年に初めてパリのファッションウィークに出演したときのことを振り返った。「パリのランウェイに採用してくれた最初のデザイナーはジャン・ポール・ゴルチエだった」「当時私はまだモデルの仕事を始めたばかりだった。高校を卒業した直後で体型はまだバレーボール選手だったの。自分がその筋肉をつけるのにどんなに頑張ったかわかっていた。今思い出すとあの体型が恋しくなる。当時はみんな私の体型に厳しくて『ランウェイ向きの体型ではない』と言われていた」。
メーガン妃
王室に入る前は女優として活躍、ドラマ「SUITS/スーツ」で一躍売れっ子になったメーガン妃。彼女も新人時代は外見に対する批判を体験している。そのエピソードを2018年に雑誌『Darling』のエッセイで明かした。「私は20代初めで、あらゆるあなたの持っているものを、あらゆるあなたの持っていないものと比較してジャッジする業界の中で自分の価値を見出そうと格闘していた。十分痩せてない、十分美人ではない、十分民族的ではない。その一方で翌日には痩せすぎている、民族的すぎる、美しすぎると言われる」。
ジェニファー・ローレンス
ジェニファー・ローレンスはプロデューサーたちに「太り過ぎだ。痩せないならクビだ」と言われた経験を明かしている。雑誌UK版『ハーパーズ バザー』のインタビューで「誰かが”ダイエット”という言葉を囁こうとでもしたら私は『黙ってよ』って言う」。中にはダイエットを勧めるだけでなく、恐ろしい方法でジェニファーが「ダイエットしなくては」と思うように仕向けてきた人もいるとか。「私がほとんどヌードになっている写真を持ってきて、それを見せてダイエットする気にさせようとする。みんな私のキャリアが順調だったから、そういうことをしても私が傷つかないと考えていたのよ」。
ジェニファー・ロペス
ハリウッドでも1、2を争うほどストイックに体を鍛えているジェニファー・ロペス。でも彼女もマネージャーから体型を批判された過去を持つ。「体に少しでも肉をつけるなと言われてとても腹がたった。私は全然太っていなかったんだから」と雑誌『USウィークリー』に語っている。「とても残酷だし心が狭い言葉だと思う。私は『いいえ、痩せない。これが私だし私を育ててくれた女性もこういう体型よ。この体型が美しいと思っている。自分以外の誰かになる理由がない』って」。
ケイト・ウィンスレット
2016年、英国アカデミー賞で助演女優賞を授賞したケイト・ウィンスレット。そのスピーチで少女時代の出来事を振り返った。「私は14歳の頃、演劇の先生に『太った女の子の役でいいのであれば、まあまあの結果は出せるかもしれない』と言われました」とコメント、その言葉が間違っていたと仄めかした。さらに女性たちにエールも。「先生や友人、親からですらそういうことを言われている若い女性たちもそんな言葉は聞かなくていい。私はいつもそう思っています。私も聞かなかったから。私は自分の道を歩み続け、そうすることで恐怖や不安を乗り越えることができました」。
ジゼル・ブンチェン
長年「最も稼ぐモデル」のトップに君臨してきたジゼル・ブンチェン。そんな彼女でも1995年にブラジルでモデルとしてデビューした頃は容姿を批判されたという。2016年の雑誌『ピープル』のインタビューで駆け出しのモデルだった時代を振り返っている。「鼻が大きすぎる、目が小さすぎる、だから雑誌の表紙は飾れないと言われたことを覚えている」「14歳にとって、そういう批判を聞くのはつらいこと。不安になった。父親にそれを打ち明けると『次にそう言われたら”私の鼻が大きいのは心が大きいからよ”って言い返しなさい』って言ってくれた」。
プリヤンカー・チョープラー
2000年のミス・ワールドに選ばれたプリヤンカー・チョープラーは文字通り世界で一番美しい女性の1人。でも「女優になりたいなら体型を変えろ」と言われた経験があることを最近出版した回顧録『Unfinished』で明かした。ボリウッドからハリウッドに活躍の場を移そうとしたプリヤンカーはあるプロデューサー兼監督と対面。「数分雑談したあと、そのプロデューサー兼監督は彼の前でくるっと回ってみせるように言った。私は彼の言う通りにした。彼は私を長い間じっと見つめて品定めをすると『豊胸手術をしたほうがいい。顎を直して少しお尻にフィラーを入れたほうがいい』とアドバイスした」「『もし女優になりたければプロポーションを”お直し”しなさい。ロサンゼルスにいい医者を知っているから紹介しよう』とも言った。当時の私のマネージャーは彼の意見に同意していた」。
リア・ミシェル
プリヤンカーと同じようにリア・ミシェルも整形手術をするように言われた経験の持ち主。2011年に新聞「ニューヨーク・デイリーニュース」のインタビューで告白している。「15歳のとき、私と母はマネージャーに会った。その人は『私と仕事をしたければ鼻を整形しなくては』と言った。母は私に『バーブラ・ストライサンドは鼻の整形手術は受けてない。あなたも受けなくていい』と言ってくれた」。母のアドバイス通り、整形手術は拒否したリア。後日、その決断に満足したと語っている。「私はそのままの顔でいたかった。だからそう決断をし、自分にとって正しいことを貫いたことに喜んでいる。ロサンゼルスに引っ越して役をもらったけれど、もし私の外見が違っていたらその仕事はなかったと思うから」。
クリッシー・テイゲン
2014年、雑誌『DuJour』のインタビューに答えたクリッシー・テイゲン。若かった頃、ブランド「Forever 21」の仕事をしたときのことを振り返っている。「私がセットに行くとスタッフたちは私の写真を撮ってエージェントに送ったの。私がメイク用の椅子に座っていたらエージェントから電話がかかってきて『今すぐに帰りなさい。スタッフたちがあなたのことを太りすぎだって言っている。サイズを測り直して』って言われた」。ちなみにクリッシーは2012年にもTwitterでこのエピソードを披露している。「みんな、次に『Forever 21』の前を通ったら、太っているからって私のことをメイクの途中で解雇した奴らだってことを思い出して」。
ケシャ
2014年に拒食症と過食症の治療のためにリハビリ施設に入ったケシャ。その数日後に彼女の母親がニュースサイト「レーダーオンライン」に摂食障害になったのは彼女のチームが原因だと暴露した。「娘のアドバイザーはレコード会社から『1か月で15ポンド(6キロ)痩せたほうがいい』と言われたと彼女に伝えたのよ。そして『口に指を突っ込んで吐くのでも違法なドラッグを使うのでもなんでもいいから痩せるように』と娘に言った」。
カット・デニングス
カット・デニングスは2012年の新聞『ニューヨーク・タイムズ』のインタビューで新人だった頃にエージェントから言われたことを暴露している。「もし成功したいなら『歯を矯正しろ。髪の色を変えろ。痩せろ。日焼けしろ』って言われたわ」。
ケイト・ベッキンセール
2016年にトーク番組に出演したケイト・ベッキンセール。映画『パールハーバー』のマイケル・ベイ監督に体型を批判されたことを告白した。「私はベイ監督がそれまで会ってきた女優のタイプと違ったんだと思う。私の胸が頭くらい大きくなくてブロンドでもないことに彼は当惑したのね。当時私は娘を出産したばかりだった。体重は落としていたけれど、この役をやるならワークアウトしなくてはだめだって言われた。1940年代の看護師がそんなことをするとは思えなかった」。さらにベイ監督がプロモーションツアーでもケイトの容姿についてたびたび批判していたと暴露。「監督はどこに行っても、レポーターたちから私について聞かれると『ケイトはそんなに魅力的じゃない。だから女性の観客にも嫌われないんだ』って言い続けていた」。
リース・ウィザースプーン
アカデミー賞を授賞、今では自分の制作会社を立ち上げ俳優としてもプロデューサーとしても活躍しているリース・ウィザースプーン。そんな彼女もデビューしたばかりの頃は外見で批判を受けた。「ロサンゼルスに出てきたばかりの頃は『全然だめ。背も高くないし、美人でもないし、賢くもない』としか言われなかった。でもそういう人の言うことは気にしなかった。私はとても頑固なの」と雑誌『You』のインタビューで語っている。
サラ・ジェシカ・パーカー
2007年に男性誌『マキシム』で「最もセクシーではない女性」という失礼な称号を与えられたサラ・ジェシカ・パーカー。これだけでも十分マスコミ報道に潜むボディシェイミングを物語っているけれど、翌年にサラ自身が雑誌『アリューア』のインタビューで自分の体験談を明かしている。「これまでずっと眉毛を抜けとか鼻を整形しろとか馬鹿なことをやるように言われ続けてきた」。