ヒットチューンのなかでもひときわ人気が高い、愛する人との別れをテーマにした失恋ソング。中でもミュージシャンが自分の実体験を元にした楽曲は、切なくて涙を誘うメロディから相手への怒りを爆発させた歌詞まで、私たちの心にぐんぐん迫ってくる。ここではリベンジソングで見事相手の鼻をへし折ったテイラー・スウィフトから、浮気疑惑を歌ったのに、「そもそも私たち付き合ってたっけ?」とシラを切られたエド・シーラン、さらにはポール・マッカートニーのヒット曲に隠されたメッセージを読み解くファンたちの名(迷?)推理まで、セレブの失恋ソングとそれにまつわる悲喜こもごもなエピソードをご紹介!
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「thank u, next」アリアナ・グランデ
歌手アリアナ・グランデと「サタデー・ナイト・ライブ」の“バッドボーイ”ピート・デヴィッドソンは、2018年夏に一世を風靡したカップル。2人の短期間の交際(そして婚約)の直後、アリアナは 「thank u, next」をリリースした。これまでの4人の元カレの名前を歌詞にも大胆に登場させて、それに合わせたミュージックビデオもリリースしたアリアナ。その後出演したラジオ番組「ザック・サング・ショー」で、ピートとは別れたり、よりを戻したりを繰り返していたため、この曲について複数のバージョンを録音していたことを明らかにしている。
「ラヴ・ユアセルフ」ジャスティン・ビーバー
本人は認めていないものの、ジャスティン・ビーバーの2015年のヒット曲「ラヴ・ユアセルフ」は、元カノ、セレーナ・ゴメスについて歌ったものだと言われている。2人の浮き沈みのある関係は2018年に正式に終わっているけど、ファンは今でも、この曲の手厳しい歌詞「ママは君のことが嫌いなんだ / 彼女は人のことを嫌いになんてならないのにね」がセレーナのことを歌っているかどうかについて議論している。セレーナが背中にアラビア語で「まず自分自身を愛しなさい(ラヴ・ユアセルフ・ファースト)」と書かれたタトゥーを入れていることを考えると、その可能性はかなり大。
「ルーズ・ユー・トゥ・ラヴ・ミー」セレーナ・ゴメス
セレーナが2019年に発表したバラード曲「ルーズ・ユー・トゥ・ラヴ・ミー」は、ジャスティンの「ラヴ・ユアセルフ」に対する、あからさまな返答かも。この曲の歌詞には「2カ月で、あなたたちは私たちに取って代わった /簡単なことのように」など、2人の関係やヘイリー・ボールドウィンとの結婚を思わせる部分が多く、リリース後には噂が飛び交った。彼女はライアン・シークレストのラジオ番組で、この曲が彼について書かれたものであることをほぼ認めるような発言をしている。「それを乗り越えるのには長い時間がかかったわ」
「ディア・ジョン」テイラー・スウィフト
テイラー・スウィフトを抜きにして失恋ソングを語ることはできない。中でも2010年にヒットした「ディア・ジョン」は最も好奇心をそそられる別れの曲だ。13歳年上のジョン・メイヤーとテイラーは19歳のときに交際していたが、歌詞の中ではそのことがほのめかされている。「面倒に巻き込むには私は若すぎたと思わない?/ ドレスを着た女の子は、家に帰るまでずっと泣いていたわ、私は知っているべきだった」
後にジョンは、この曲が自分にとって「屈辱的」だったと明かし、『ローリング・ストーン』誌に以下のように語っている。「ひどい気分にされた。だって僕はそんなことをされる筋合いはなかったからね。今は責任の取り方も上手になったし、そんなことされるようなことはしてないし。彼女がしたことは本当にひどいことだ」
「ペーパー・ドール」ジョン・メイヤー
テイラーに対抗するように、ジョン・メイヤーも「ペーパー・ドール」で2人の破局について自分の側から語ったとされている。テイラーのことだと示す手がかりはいくつかあるが、何より「君は22人の女の子が一人になったような感じ / そしてその中の誰一人として、自分が何から逃げているのか分かってないんだ」という歌詞の部分が象徴的だ。これはテイラーの2013年のヒット曲「22」や「ディア・ジョン」にある「できるだけ早く離れなさい」というセリフへの参照だと考えられている。ジョン・メイヤーって詩的なのか、あるいは器が小さいだけなのか……その判断はあなたにお任せする。
「私たちは絶対に絶対にヨリを戻したりしない」テイラー・スウィフト
タイトルがすべてを物語っている。テイラー・スウィフトがジェイク・ギレンホールと別れた翌年にリリースしたアルバム『レッド』に収録されている、このキャッチーな失恋ソングは、彼との別れについて書かれていることはほぼ確実だ。テイラー・スウィフトは米紙USAトゥディに、この曲の天才的なアイデアについて次のように解説している。「彼が聴いてる他のヒップスター・バンドよりも私は劣っているし、今っぽくないと辱められたの。だから、彼がラジオで聴いたときに思わず腹を立てるような曲を作った。うまく行けばたくさんかけられて彼が耳にするだけじゃなくて、この曲は彼が私に劣等感を抱かせようとしていた類の音楽とは正反対のものだから」
「Cry Me A River」ジャスティン・ティンバーレイク
‘90年代後半からゼロ年代前半にかけて、ポップミュージックの黄金カップルとして話題の的だったブリトニー・スピアーズとジャスティン・ティンバーレイク。2002年に2人が破局したとき、ファンは大きなショックを受けたけど、ジャスティンが 「Cry Me A River」をリリースしたときにはさらに大きなショックがファンを襲うことになった。この曲は、彼がブリトニーに浮気されたことを暗示する内容で、さらにミュージックビデオにはブリトニーのそっくりさんが登場する。2003年に物議を醸したダイアン・ソーヤーとのインタビューで破局について聞かれたブリトニーは、「厳密には彼が間違っているとは言わないけど、彼が正しいとも言わない」と涙ながらに答えている。
「エヴリタイム」ブリトニー・スピアーズ
ブリトニー・スピアーズはエモーショナルな曲「エヴリタイム」について、ジャスティン・ティンバーレイクのことを歌った曲だと直接言ったことはないけど、共同作曲者のアネット・アルターニはそれを認めている。彼女は、この曲がジャスティンの「Cry Me A River」に対するブリトニーのアンサーソングだと主張しており、音楽ブログ「MuuMuse」で「彼は個人攻撃的になっていたわ。彼女は違うタイプのイメージを持っていたけど、彼は彼女が外に出したくないであろうことを暴露していた。それが彼女の心を傷つけたのだと思う」と語っている。
「サマー・ゲームズ」ドレイク
ドレイクはリアーナが自分のもとを去った人であることを何度もほのめかしてきたけど、2018年の「サマー・ゲームズ」ではそれをさらに明確にしている。この曲は、2016年夏の2人の恋愛関係についての曲と言われているけど、その恋愛にのめり込んでいたのは彼女よりも彼の方だったようだ。その夏一緒にライブを行ったドレイクはVMAのテレビの生放送中にリリにキスをしようとして失敗、歴史に残ることになった。2018年、リアーナは『ヴォーグ』誌に「私たちは今、友達じゃないけど、敵でもないわ」と答えている。
「ミリオン・リーズンズ」レディー・ガガ
レディー・ガガと俳優のテイラー・キニーが2016年に婚約を解消したとき、彼女はそのわずか数カ月後に「ミリオン・リーズンズ」で自分の思いの丈を表現した。ガガ自身が認めているわけではないけど、ファンはこの心張り裂けるような歌が彼のことを歌っていると推測している。ガガはその後、「ハワード・スターン・ショー」でこの曲について語り、この曲を聞いて男性が愛について「どれだけ深いかを理解」し、もっと 「愛のお返し」をするようになってほしいと語っている。
「レッキング・ボール」マイリー・サイラス
マイリーが解体工事用の巨大な鉄球の上で涙を流しながらスイングしている2013年のMV映像は一度見たら忘れられないはずだ。マイリーは俳優のリアム・ヘムズワースとの別れをテーマにこの曲を書き、2017年のハワード・スターンのラジオ番組ではこの曲に言及し、リアムについて「私が経験した唯一のリアルな関係」と明らかにしている。翌年、リアムと彼女は復縁して結婚したものの、結局2020年1月に離婚が成立している。
「セイヴ・ユア・ティアーズ」ザ・ウィークエンド
2019年末、二人のジェットコースターのような恋愛が終焉を迎えたと報じられてから間もなく、ザ・ウィークエンドは「セイヴ・ユア・ティアーズ」をリリースしている。「人が大勢いる部屋で踊っている君を見た /僕といないときの君はとても幸せそうだ」の部分は、破局の数日後にナイトクラブでベラと遭遇したとき(ベラはこの時涙を浮かべながらその場所を去っている)のエピソードについて書いていると言われている。
「ユー・オウタ・ノウ」アラニス・モリセット
1995年のヒット曲「ユー・オウタ・ノウ」について、アラニス・モリセットはドラマ「フルハウス」の“ジョーイおじさん”を歌ったものだと認めたことはないが、この曲にはデイブ・クーリエ自身も気付くヒントがたくさん散りばめられている。「HuffPost Live」に出演したデイブは「僕たちはすでに別れていたんだけど、彼女が電話してきたから、僕は『いまディナーの最中なんだ、折り返し電話してもいい?』って返答したんだ。歌詞のその部分を聞いたとき、あちゃー、と思ったよ」。アラニスは、アンディ・コーエンのトーク番組で彼の言葉について「『ユー・オウタ・ノウ』で書いた人になって手柄が欲しいのかしら?」と笑い飛ばしている。
「ドント」エド・シーラン
2013年頃、エリー・ゴールディングがエド・シーランの親友で元ワン・ダイレクションのナイル・ホーランと浮気しているという噂が流れたが、エドが「ドント」をリリースしたことで報道はさらに激化した。彼は『ビルボード』誌のインタビューで、この曲の噂について言及している。「ちょっとだけ付き合っていた人がいたんだけど、実はその人が僕の友人の一人と、泊まっていた同じホテルで、僕が階下に降りてる間に肉体関係を持ってしまったんだ。僕はこう思ったよ。自分がして欲しいと思うことを相手にもしなくちゃ、ってね」
「オン・マイ・マインド」エリー・ゴールディング
これをうけてエリー・ゴールディンはエドとは付き合ったことすらない!と否定。さらに2016年には「オン・マイ・マインド」というエドの「ドンド」に対するアンサーソングまで発表している。この曲のなかで、エリーは誰かに強く興味を持たれていたけど、自分はそれほどでもなかったこと、さらに「ドント」で言及された悪名高いホテルのくだりついてもそれとなくほのめかしている。
「気がついたら、あなたとホテルにいたのよ/あなたは狂おしいほどの愛みたいな深い話をしていた/あなたは私の心が欲しかったみたいだけど、私はあなたのタトゥーが好きだっただけ」
2人の間に何があったのかは分からないけど、彼らのドラマが素晴らしい音楽を生み出したことは事実!
「ワン・ザット・ゴット・アウェイ」ケイティ・ペリー
2人の関係が取り沙汰されることはあまりなかったが、2009年にケイティ・ペリーとジョシュ・グローバンは密かに交際していたと伝えられている。ブロードウェイ・スターのジョシュはケイティにかなり強い印象を残した様子で、ケイティは後に2010年のヒット曲「ワン・ザット・ゴット・アウェイ」は彼のことを歌ったものだと明らかに。また、ケイティは2017年に放送された「The Late Late Show With James Corden」の中でも「彼をとっても愛してるわ。彼は最高よ」と語っている。ジョシュはその後出演したアンディ・コーエンの対談番組で彼女の暴露に、思わず「二度見した」と語っている。
「フォーリング」ハリー・スタイルズ
2019年に「フォーリング」をリリースしてファンをざわつかせたハリー・スタイルズ。失恋をテーマにしたスローでエモーショナルな曲は一体誰について歌っているのかと、多くの憶測を呼んだ。
「僕が言ったことは忘れて / 僕が言いたかったことと違うんだ / でも言わなかったことにはできないよね / 君が残していった荷物は開けられないよ」
一説では、この曲は2017年に交際が報じられたフランス系アメリカ人モデルのカミーユ・ロウをイメージして書かれたものではないか、と言われている。
「ソー・ホワット」ピンク
ピンクは、夫のケアリー・ハートと破局した2008年に「ソー・ホワット」を作曲し、当時まだ別れたままだったにも関わらず、彼を共演者にしてミュージックビデオを撮影している。その後、2人はよりを戻して現在に至っているけど、この曲はまさに2人が必要としていたものなのかも。
「ソー・サッド」ジョージ・ハリスン
妻のパティ・ボイドがジョージ・ハリスンを捨てて親友のエリック・クラプトンに乗り移ったことは、’70年代を揺るがす三角関係だった。「ソー・サッド」がリリースされたのは1974年で、ジョージとパティーは同じ年に別れている。ジョージは歌詞の中でこの状況に対する感情を隠すことなく表現しており。この曲はジョージが結婚生活の問題について書いた唯一の作品とされている。
「ミスター・ベラミー」ポール・マッカートニー
もう一人の傷心のビートルズのメンバーもその悲しみを歌にしている。しかし、そのメッセージは今回は明らかではない。ちょっと聞いただけでは分からないが、この曲は、ポール・マッカートニーが元モデルのヘザー・ミルズと離婚したことを歌っているのではないかと噂されている。ファンの間では、「ミスター・ベラミー(Mr.Bellamy)」が「Mills Betray Me」のアナグラムであることや、「何をすべきか私に言う人は誰も居ない / 誰も私の手を握らない」「君なしで上にいるのが好きなんだ」といった歌詞の部分を話題にしている。ポールは「ミスター・ベラミー」のキャラクターは作りものだと主張しているものの、未だに多くのファンが、この曲にはヘザーに関する隠されたメッセージが込められていると考えている。