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今だったら完全OUTなフランス映画

あの頃は世界で絶賛。でも今ではヤバいおフランス映画たち。

By ELLE Japan
17歳 フランソワ・オゾン
aflo

あの頃は世界で絶賛。でも今ではヤバいフランス映画。時代と人権感覚のリトマス試験紙になる“アウト”な作品をあえてセレクト。芸術作品に罪はない? 作家と作品は分けて考えるべき? ノン、ノン、ノン! そんな感覚もう古い。今の時代、倫理的立場からも作品を批評するためにもタイトルをチェック。これらを真正面きって「好き」と宣う人には気を付けて⁉


(註※この記事におけるフランス映画の定義=フランス製作のもの。合作、非フランス語作品含む)

『ラスト・タンゴ・イン・パリ』(’73)

ラスト・タンゴ・イン・パリ
Aflo

これは一部で配信中止になったほどの曰く付き映画。男優のマーロン・ブランド含め主演の2人が「辛い体験」と語ったひどい撮影現場で悪名高い『ラスト・タンゴ・イン・パリ』。2016年に明るみになったのは、女優マリア・シュナイダーが内容を知らされていなかったレイプシーンもさることながら、強姦という大変な性犯罪を、中年の悲哀を語るための道具にした罪は大きい。現代なら絶対に通ってはいけない企画だし、この撮影現場がその後のシュナイダーの人生をボロボロにしたのだから、反サステイナビリティもいいところ。ベルトルッチ監督がやったことは、社員を精神的に追い詰めるブラック企業と変わらない。

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『レオン』(’94)

レオン リュック・ベッソン
Getty Images

10才かそこらのローティーン少女がオッサンを誘惑しているかのようなシーンを挿入しているだけで、OUT! 

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『突然炎の如く』(’62)

突然炎の如く
Aflo

男性を振り回し、男同士の友情を破壊する“ファムファタール”を、大した動機も描かないまま自殺させるなんて、どれだけミソジニーなの?!

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『最強のふたり』(’11)

the intouchables 2011 frenchdirected by olivier nakache, eric toledano shown from left omar sy, françois cluzet
The Weinstein Company/Photofest//Aflo

世界的ヒットとなったこの作品中で、もっともザワつくのは実在の人物の人種設定を「分かりやすく」変えたこと。モデルとなった人物が抱えるマグリブの人々の“肌”による複雑な差別の背景をすっとばし、ワールドワイドに理解してもらうためか黒人設定に。わかりやすさのために事実をねじ曲げたお陰(?)でオスカーノミネートは果たせたかもしれないけれど、当事者のアイデンティティを否定して達成した「大衆受け」を手放しで称賛していいのかは疑問。ワインスタイン・カンパニーがリメイク権を獲得したという点でも曰く付き作品となってしまった。

『自殺への契約書』(’59)

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
Marie-Octobre
Marie-Octobre thumnail
Watch onWatch on YouTube

レジスタンス時代の裏切りモノを見つけ出し、集団リンチして……なんてどんな理由があってもダメ。とくに理由も真実も明かされないままだとしたら、やってることは粛清と変わらない……ということを伝えたかっのだとしたら成功しているけれど、限りなくOUT。

『愛人/ラマン』(’92)

the lover, aka l'amant, jane march, tony leung, 1992, c mgmcourtesy everett collection
©MGM/Courtesy Everett Collection//Aflo

物語の最後を「私はあの男を愛していた」という台詞で締めたことで、家計のために16歳の娘に援助交際させる毒親も、買春する男性も、肯定してしまったこの官能作品は今の時代にはあり得ない。原作ものだから……と言い訳してもダメ。少女買春に加担した大人たちの物語として、現代なら上映する前に断りが必要。

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『17歳』(’13)

17歳
Aflo

この作品で未成年の売春で買ったオヤジたちはほぼ皆社会的に裁かれないまま。腹上死して露見した夫の犯罪行為に妻がそっと相手の女子高生に会いに行って説教するなんて、都合よすぎだし(そして頓珍漢!)、そもそも児童を性の対象に消費するペドファイル映画がフランスには多すぎ。

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『シベールの日曜日』(’62)

シベールの日曜日
Aflo

戦争で心に傷を負い少年のようになった青年と親の元から離されそうになっている少女。ふたりの奇妙な心の交流を……とハートウォーミングな物語と思ったら大間違い。“女の原罪”を想起させる結末を子どもの残酷さのように誤魔化して見せるなぞ、セクシャルなだけでなくモラルにも反したプロット。1963年にアカデミー賞外国語映画賞を受賞した傑作とされているけれど、反面教師としてのみ見るべきありえない作品となっている。

恋人たち 眠くならないフランス映画30
Aflo

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