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イケメンがゾンビ映画に出る理由とは
なぜ韓国のイケメン俳優はゾンビ映画に出るのか?答えは簡単。ゾンビ映画では韓国男子がなりたい「理想の男」を存分に演じることが出来るから。「理想の男」とは「自分より弱い存在を、命がけで守る男」である。
今の時代、現実に「オレって男らしいだろ」とか「男は女を守るもの」みたいなことを言う男がいたら、多くの女子の反応は、ドン引きするか、「できるわけないし」と鼻白むか、笑っちゃうかのどれかである。それは「男らしい」の裏には暗に「女らしさ」の要求があるし、「男は女を守るもの」はたいていが「だから女は黙って言うこと聞け」がワンセットだと知っているからだ。「男はそういうもんだろ?」とか言いながら、壁ドン!でガバッとキス!とかもはや「性的同意なしのセクハラ」で、「有害な男性性」としか思えない。
#MeToo時代にイケメンが安心して守れる側にまわれる
#MeToo先進国である韓国の昨今のドラマは、この辺りにきちーんとした目配せがあり、それを完璧にやって絶賛されたのが『愛の不時着』のリ・ジョンヒョクである。ジョンヒョクが「セリを守る」と言う時、そこには「男らしさ」の誇示や自己陶酔は皆無だし、ソウルにおいてはセリに守られる存在ですらある。つまり北朝鮮での肉弾戦において、身体がでかく力の強いジョンヒョクが「守る側」だったのは、単なる「適材適所」なのだ。
ゾンビものの世界とは、まさにほぼ全編がこの「肉弾戦」の世界である。それゆえに、この#MeToo時代において、イケメンたちは安心して「守る側」に立てる。もし続編『愛の不時着 with ゾンビ』が作られたら、たとえそれがソウルであっても「守る側」はジュンヒョクで、男勝りのセリもすんなりと「守られる側」を受け入れられる。群れでやってくるゾンビに当たり負けしないのは、どう考えてもセリよりジュンヒョクだからである。ちなみに時代劇にも、これと似た効果がある。『王宮の夜鬼』で、ヒョンビンが義姉にいうセリフ「私の後ろから離れないでください」も、まあそういう時代だし……とすんなり承服できる
もちろんそうした世界も進化し、今やがんがん戦う女子たちも登場している。『キングダム』のペ・ドゥナは医女としてゾンビ感染の正体を突き止めるし、『新・感染半島 ファイナル・ステージ』では、主役カン・ドンウォンよりも、彼の身長の半分くらいの幼い姉妹のほうが遥かに多くのゾンビを蹴散らしている。そしてイケメンたちは「オレが命をかけてお前を守る」とは決して言わない。ゾンビの襲撃スピードが早すぎて、カッコつけて言ってるヒマない、だけかもしれないけどもw
>>次ページよりゾンビ映画&ドラマに出てイケメン度がアップした俳優たちの出演作品を5つピックアップ
1.コン・ユ ×『新 感染 ファイナル・エクスプレス』
カンヌ映画祭で大評判を呼び、韓国エンタメ界にゾンビブームを巻き起こしたコン・ユ主演の世界的大ヒット作。釜山に住む妻のもとに幼い娘を送り届けようと、韓国の新幹線KTXに乗り込んだコン・ユ、その車内でゾンビ感染のパンデミックが始まり……冒頭から跳ね上がるテンションとスピード感でラストまで一気。
車内でおばあちゃんに席を譲った娘に「譲らなくていい」って言ったり、自分と娘だけ助かろうとしたりして、「パパは自分のことしか考えない、だからママも出ていったんだね」と娘にグサーッと言われるクソ野郎のコン・ユですが、それでいてラストには観客を号泣させられるのはさすがの最強好感度俳優。改心してからは、「ワールドスター」マ・ドンソクとタッグを組み身を挺して娘を守るパパぶりにも熱いものがこみ上げます。何より「韓国ではヒットしない」と言われてきたゾンビものを、主演映画として選ぶセンスと俳優としてのチャレンジングな姿勢にも脱帽。パク・ボゴム共演の最新作『徐福』も期待高まる~!
2.カン・ドンウォン×『新感染半島 ファイナル・ステージ』
カン・ドンウォン主演の『新・感染 ファイナル・エクスプレス』の4年後を描いた続編。
ンウォン演じるのはパンデミックを逃れた香港で、感染地域出身者差別と貧しさに耐えながら暮らす元軍人。そんな中で、一緒に逃げてきたダメ兄貴が「韓国に残る大量の米ドルを運び出す」というヤバイ仕事を引き受けちゃったために、引きずられるように半島へ密航。
ファン必見は『マッド・マックス 怒りのデス・ロード』みたいなサバイバルワールドを生き抜く韓国の国宝級イケメン、カン・ドンウォン。長めのヘアーをなびかせて危険に飛び込み、でも必死で守るのはいいとこなしのヘタレ兄貴という、なんでやねん!な展開も含め、すべてがドンウォンのカッコよさを見せるため!という作り手の思いが伝わり、「ごちそうさまです!」といいたくなること間違いなし。
カオスのインチョンを生き抜いてきた幼い姉妹、「あんた弱っちいし」と言われながらの「イケメン×生意気な子供」のカップリングも抜群。実は映画最大の見所はこの姉妹の姉、撮影当時13歳のイ・レちゃんによるカーアクション。無数のゾンビを蹴散らすスーパードライビングテクニックは、シャリーズ・セロン姐さん(@『マッド・マックス 怒りのデスロード』)顔負けの痛快さ。
全般として出てくる武器は拳銃とかマシンガンなど飛び道具で、ゾンビ映画である以上にアクション映画。流血も少なめなので、苦手な方も安心してどうぞ。
2021年1月1日公開TOHOシネマズ日比谷 他 全国ロードショー。
3.ヒョンビン×『王宮の夜鬼』
『愛の不時着』のヒョンビンが、リ・ジュンヒョクとは正反対のキャラを演じるゾンビ時代劇。ヒョンビンの演じるのは、宗主国の明で能天気に育った王の次男。「悪い大臣のせいで国が大混乱してるから帰国して」と兄に頼まれて帰国したら、そのチャン・ドンゴン演じる大臣の策略で兄は殺され、王を始め国民総ゾンビ状態に!
見どころは『愛の不時着』とは一味違うヒョンビン。能天気で軽薄で女好きという、テレビではおおよそ見られない、「いや、オレ次男だし。王になる気、全然ないし!」みたいなキャラクターなんだけども、ゾンビと戦う人々をほうって置けず、結局は中心になって戦っちゃうという役どころ。最大の見せ場は終盤間近、王宮内の無数のゾンビを宮殿内におびき寄せて火を放つという場面。「てか、多すぎだよ」とか言いながら、群がるゾンビを蹴散らしながら向かった宮殿内での「ヒョンビンvs1000人のゾンビ」で、遠目で見てもひときわ大きなヒョンビンの豪快さと身軽さに惚れ惚れ。映画ではしきりに悪役をやりたがるチャン・ドンゴンとの一騎打ちも必見。
『愛の不時着』のソ・ダンことソ・ジヘが怪しげな役で登場し、さらに「わああああ!」という見せ場を思い切りよく演じ、なかなかの存在感。王宮への道すがら、ヒョンビンにナンパされる戦うヒロインは、個人的に大好きな『38師機動隊 元カレは天才詐欺師』のイ・ソンビン。
「王宮の夜鬼<ノーカット完全版>」DVD発売中
発売・販売元:ポニーキャニオン
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4.ユ・アイン ×『#生きている』
『バーニング』のユ・アイン主演。ある日、家族が出払った家で目覚めたら、世の中にゾンビ感染が蔓延していたーーという、なんの理由も提示されずに始まる不条理の日常を描く、正統派ゾンビものの1本。
外に出ず、カーテン閉めきった部屋でヘッドホンしながら通信対戦ゲームばっかりやってる主人公は、外界が目に見えてパニックになるまで気づかないんだけども、かといって無事でいるためには結局のところ部屋に引きこもっているしかない、そして世界と隔絶していると奇妙なくらい平和……というコロナ禍の私達を見るような展開に戦慄。
『新・感染 ファイナル・エクスプレス』の「走る電車内」同様に、この作品を面白くしているのは「マンション群」。ベランダ、廊下、高さがあることなどを利用した展開が満載ですが、秀逸なのは向かい合う建物の部屋に、パク・シネ演じるもうひとりの生存者がいること。お互いに支え合い助け合うために情報や物をやり取りするアイディアは、その時が来たら真似したいと思うほど。ネット世代の主人公のギミック関連の知識にほれぼれし、今後はドローンとかアンテナとか電子機器について学んだほうがいいな……みたいなことも、ゾンビもいないのに考えちゃう1本。
猛スピードじゃないけど、そんなにトロいわけじゃないこの作品のゾンビ。特に「人間だった時の記憶があるんだな~」と思わせる制服系ゾンビの肉薄に注意。知らんけど。
5.チュ・ジフン×『キングダム』
チュ・ジフンが『宮~Love in Palace』以来、李朝朝鮮の王子を演じる、全世界で大ヒット中のゾンビ時代劇。王が病に倒れて10日、王妃による面会謝絶で誰もがその安否を疑い始める中、王の宮殿に忍び込んだ王子は、寝所で徘徊する謎の怪物と遭遇し……。政治に実権を握る大臣とその娘である王妃の陰謀で、王様がゾンビに!というのっけからすごい展開の時代劇。
ジフン演じるのは、側室の息子として王宮内のあらゆる人に粗末に扱われがちな、ややスネ気味の皇子。『宮』や『魔王』で見せた独特の孤独な風情は、年令を重ねたことと演技の腕を上げたことで、「孤独だが、自分の不遇に陶酔はしない」という大人の余裕が素敵。王の病の根源を探るうちに民をまとめてゾンビと戦うハメになり、王にふさわしくぐんぐんとカッコよくなってゆく過程は、彼の演技力の見せどころ。40代になってもキープのスラリとした長身で着こなす韓服が、アクションで翻る様もステキ。
スピード系のゾンビゆえに、アクションも物語もジェットコースター的、ピンチに次ぐピンチにジフナ!逃げてええええ!と叫ぶこと数百回ーーなのですが、その裏で露見する王妃の企みがあまりに「ひええええ…」すぎるし、実は…という裏切りのどんでん返しもあったりして、ゾンビそっちのけで先が観たすぎるドラマ。1話ほぼ1時間以内、1シーズン6話と短尺なので、現在公開中の2シーズン全12話も一気見必至。『エクストリーム・ジョブ』の気弱な班長刑事とは別人の怖すぎる悪役リュ・スンリョン、『秘密の森』のペ・ドゥナ、『サム、マイウェイ』のアン・ジェホン、そしてシーズン2のラストにはあの大ヒットドラマの視聴率女優も登場。シーズン3も期待大!