人気アクション映画『山猫は眠らない 8』のメインキャストに大抜擢!

凛としてしなやかなイメージの女優・秋元才加。すでにTVドラマや舞台でその存在感を発揮する彼女が、この夏、さらに大きなステージでその魅力を表現する。ハリウッドの人気アクション映画シリーズの最新作となる『山猫は眠らない 8』のキャストに抜擢されたのだ。チャンスは突然やって来た。

「最初に配給会社のソニーから、『日本人のキャストを探している』と、オーディションの話を頂いたんです。これまでにもチャンスがあれば海外作品にも参加したいという思いはあったので、『是非やらせてほしい』と。ビデオ・オーディションという形で自分の映像を何本か監督に送ったら、合格して、出演が決まったんです」

今回、彼女が演じるのはレディ・デスという異名を持つ女性スナイパー役。ハリウッドの現場は、もちろん初めてだった。映画の都での現場は、一体どんな雰囲気だったのだろう?

「すごくフレンドリーで、年齢も関係なく、”みんなでいい物を作っていこう”という雰囲気でした」

と振り返る一方、日本の現場との違いをこう説明してくれた。

「初日にディスカッションみたいな時間を設けてくださっていて、台本を見ながら『君は何が面白いと思った? やりたくないと思った箇所はあった?』など聞いてくださるんです。『もっと面白いアイデアとかある? もし、それが面白かったら、書き直すから』とも言われて。初日からいっぱい意見を求められて、逆にどうしていいか分からなくなって、『監督の意向に沿ってそのお芝居をしたいと思います』と言ったら、『君もアーティストなんだから、ちゃんと意見を持ってディスカッションしよう』と返って来たんです。『何かをクリエイトするということは、本来こうあるべきだよな』と再認識した瞬間でした」。

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Ricardo Hubbs
27年前に第1作が公開され、いまも高い人気を誇る凄腕スナイパーの戦いを描くミリタリー・アクション映画シリーズ『山猫は眠らない』の新作に出演

本格的なアクション・シーンが満載のレディ・デス役。日本の映画作品ではなかなか出会えないような、勇敢に闘う女性の役であると同時に、現実離れしたキャラクターでもある。

「役作りは、すごく難しかったです。私だけ、アメコミみたいなキャラクター的要素が強くて、どう演じたらいいのかと悩んで、結果、レディ・デスというキャラクターとして、その器に入ってお芝居するみたいな感覚で挑みました。梶芽衣子さんみたいな、眼がキリっとした強い日本女性像の参考として 『修羅雪姫』を観たり、『山猫シリーズ』の過去作や『アメリカン・スナイパー』などを観ました。アクション・シーンに関しては、撮影が始まる前にガン・トレーニングの時間を設けてくださっていて、ガッツリ実弾トレーニングをしたんです。色んなライフルを持たせていただいて、引き金を引いたときの重さなども体感できました。日本だと、どうしてもモックの銃で練習するだけになっちゃうので、そういうことも経験できたことは、今後の役者人生においてもすごく財産になりましたね」

そして、スクリーンの中を俊敏に動き回る秋元の姿を観ていて特に引き込まれるのは、役作りとともに鍛え上げられたボディライン。キリッとしたアウトラインのプロポーションは、見事の一言に尽きる。

「海外だとアクションの需要がたくさんありますが、日本はまだ少なく、強い女性の役も残念ながらまだまだ少ないと思います。これまではなるべく、周りの俳優さんとのバランスを考えて身体の線が太くならないようにトレーニングしていました。でも、銃を持つとなったら変えて行かなきゃと思って、銃やアクションをする為の筋肉、アウター・マッスルを鍛えるトレーニングもプラスしていきました。それに、常に5kgくらいの重い銃を持って撮影していて、自然と筋肉が付いたところもあります。でも正直、撮影まであまり日にちがなかったので、個人的にまだ全然身体ができてなかったなと思っていて。もし、また次のチャンスがあるとしたら、シガニー・ウィーバーとかシャーリーズ・セロンみたいに、タンクトップや銃が似合う腕になりたいですね。今後、日本の作品に出るときは日本の基準、ハリウッドのときはハリウッド用にと、身体づくりも込みで調節できる俳優にはなりたいです」

 
Kodai Ikemitsu
トップス¥39,000 パンツ¥69,000/アンスクリア(アマン) ピアス¥24,000/モダン ウィーヴィング(アダム エ ロペ) サンダル スタイリスト私物 リング 本人私物
英語は『ブラックレイン』の高倉健さんの台詞から学びました

また、日本と海外では、俳優に求められる素質も異なるようだ。

「海外は、俳優に”個”というか、お芝居以外にも、その人がどんな考えを持っているか意見や考えを求められる事が多い気がします。日本だと、私の個性がときとして邪魔をすることもありましたが今回のハリウッド・デビューにおいては、それが功を奏したなって思っています」

実際に、ハリウッドの作品を観ていると、役柄の設定上は日本人であっても、実際にそれを演じているのは中華系や韓国系の俳優であることも珍しくない。そして、日本人というと、どことなくナードなイメージや、オリエンタリズムが先行する役柄も多く、今回の秋元の様に、”かっこいい女性“を演じるチャンスを手にした日本人女性はわずかだ。

「まだまだですが、またチャンスがあれば(海外での演技を)やっていきたいし、ひたむきにお芝居やアクションをしていくことで、そういった日本人へのステレオタイプも少しずつ変わっていけばいいなと思いますね」

今回、当然のことながら、撮影現場でのコミュニケーションはすべて英語。そして、秋元のセリフもすべて英語だ。母国語ではない環境で制作に挑んだ感想は?

「難しかったですね。短期間で挑んだ撮影だったので、周りも、私にゆっくり説明している時間もなかったほどなんです。簡潔に言われたことを、『こういう感じかな?』って理解していって。正直、英語のセリフだと何が合っていて、何が合っていないのかよく分からなくなってしまって、すごく悩んだんですけど、ソニーの方から『ブラックレイン』の高倉健さんの英語が、ハリウッドに出演したネイティヴではない日本人俳優の中でとても聞き取りやすい英語だと聞いてつい、ネイティヴの方みたいにパパパッと喋りたくなるんですけど、逆にネイティヴの方は『何を言ってるか分からない』となる。あと、日本人の役者さんでも、言っていることが分からなくて、セリフがカットされちゃう人もいるとも聞きました。だから、セリフは全てゆっくりハッキリ喋ることを心がけて、英語圏じゃない人でも聞き取れるように意識しました」

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ヤクザの訓練を受けた暗殺者レディ・デスの緊迫のアクションシーンは必見。

「海外で経験した現場は、監督も、『俳優たちはプロなんだから、僕たちはこういう感じって提案はするけれど、実際の動きはあなたたちで作って持ってきてください』という感じ。だからすごく有意義な時間を過ごせるけど、その分、より責任も感じますし、本当にプロフェッショナルじゃないと生き残れない世界。それぞれがちゃんと自立しているし、自分の意見を常に持ち続けなから仕事をしていかなきゃならない、ということを再認識しました」

と秋元が語る通り、確かに世界的に活躍している俳優やセレブリティは皆、自分の意見をしっかりと持っていて、それを臆することなく発言しているイメージもある。そして同時に、秋元もまた、SNSなどを通じて果敢に自らの意見を発し、今や若い女性のアイコン的存在でもある。

「あくまで、私は『自分はこう思っています。それで、あなたはどう思いますか?』という姿勢で発言しているだけなんです。受け身のまま、垂れ流されたものを吸い込むスポンジみたいになってしまうのが一番よくない状態だなと思うので。誰かの代弁者になっているとか、そういう意識はないんです」

そうした発言する行為に、プレッシャーや窮屈さなどを感じることはないのだろうか。

「たくさんの人から絶大な人気を得る人もいるけど、私は最近、みんなに好かれることを諦めたんです(笑)。コロナ禍の中で、色んなことを言う人がいるなあってすごく感じて」

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夫・PUNPEEから学んだ、メンタルヘルスをキープする自分らしい働きかた

コロナ・パンデミックで世界全体が困惑していく中、秋元はSNSで音楽に合わせて踊る映像を続けてポストしており、その姿がひときわ印象的でもあった。

「ダンスに関しては、あの時期、これまでに出会ったことのないような方からいろんな声を頂いて、中にはポジティブじゃないものもありましたが、自粛期間に色々考えるきっかけになりました。」

最も身近なパートナーの存在も大きかったようだ。

「彼はすごく優しいんですけど、音楽のことや仕事に関しては、すごくこだわりやプライドがある。自粛期間中は、私も彼も、お互い意見があったので沢山話し合いました」

周知の通り、夫はラッパーとして活躍するPUNPEE。他にも、彼から影響を受けた点に関してこう語ってくれた。

「AKBのメンバーとして活動していた時は、基本的に『何でもやらせてください』っていう感覚でお仕事させていただいてたんです。でも、彼が『仕事の話が来たけど、自分のスタイルに合わないものを無理して受けると、結果として相手にも迷惑をかけてしまうから断る 』って言うんですよ。最初はびっくりしたんですけど、『確かにな』と。それで、結果的に私の仕事の仕方も変わりました。昔だったら受けてたお仕事も、『そのお仕事内容だと求められていることに対してきちんとお話しや、お仕事ができないかもしれません』って事務所の方に伝えるようになったんです。ちょっとずつ仕事の仕方を変えていって、そのうち、仕事が来なくなるかもなぁと思っていたら、色々な雑誌からも声を掛けて頂くようになった。取捨選択というか、何かを手放したら何かが手に入るんだって感じました。手放す強さや決断ってすごく大切だし、他人の為じゃなく、自分にとって一番意義や価値のある選択とは何かを考えるようになりましたね」


これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
秋元才加ハリウッド映画デビュー『山猫は眠らない8 暗殺者の終幕』8月14日(金)劇場公開
秋元才加ハリウッド映画デビュー『山猫は眠らない8 暗殺者の終幕』8月14日(金)劇場公開 thumnail
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8月14日(金)公開映画『山猫は眠らない8 暗殺者の終幕』

米国が重要な貿易協定を交わす前⽇、相手側の政府要人が射殺された。現場に残された毛髪のDNAと渡航記録から容疑者とされたのは、米海兵隊前哨狙撃兵のブランドン・ベケット。ブランドンは、CIAのジョン・フランクリン捜査官の尋問を受けるが「ハメられた」と容疑を否認。尋問の最中、2人の前に現れたのは、国土安全保障省から派遣された“ゼロ”と名乗る男だった。ゼロはブランドンの供述を半信半疑ながらも聞き入れ、事件の背後に黒幕・真犯人の存在を疑い、独自に真犯人を追うことになる。一方、ブランドンは身柄を拘束され、秘密軍事施設に移送されるが、道中で覆面の男たちの襲撃に遭う。間一髪のところ、命の危機から逃れるブランドンだったが、その背後、数キロ離れたところでは、謎の暗殺者(秋元才加)の姿があった……。

監督:カーレ・アンドリュース
脚本:オリバー・トンプソン
製作:ヴィッキー・ソーサラン、グレッグ・マルコム
出演:チャド・マイケル・コリンズ、トム・ベレンジャー、秋元才加


秋元才加/1988年7月26日生まれ。2013年8月、人気アイドルグループ「AKB48」を卒業。以降、女優として映画やドラマ、舞台、MCとして幅広く活躍。主な出演作には、舞台『ローマの休日』『日本の歴史』『ロックオペラ モーツァルト』『シャーロック・ホームズ2~ブラッディ・ゲーム~』『国民の映画』『にんじん』、映画『ギャラクシー街道』『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』吹替、ドラマ「奪い愛、冬」「黒井戸殺し」「やすらぎの刻〜道 」など。
Instagram: @areasayaka
Twitter: @akimotooo726


Photo: Kodai Ikemistu(TRON) Styling: Aya Yamanaka Hair & Makeup: Kaoru Nakahata Interview & Text: Shiho Watanabe