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ひとつのものをメンテナンスしながら、大切に愛用し続ける内藤さん。30歳のときに入手した「エルメス」のダブルブレストのブレザーは、40年経ったいま着用してもサイズはぴったり。

記念日には「エルメス」。そうなったきっかけは……、気恥ずかしいですが、夫の影響です。

若い頃から映画好きだった夫は、スクリーンの向こうのスターたちのファッションに興味があったようです。

ケリーバッグに、娘のミルクやおむつを詰め込んで

50年代半ば、モナコ王妃グレース・ケリーがパパラッチの目から妊娠中のお腹を「エルメス」のバッグで隠したことがきっかけで、“ケリーバッグ”が誕生しました。

わたしが長女を出産したとき、夫がロンドンから買ってきてくれたのがこの“ケリーバッグ”です。

夫は元女優の美しい王妃グレース・ケリーと“ケリーバッグ”のストーリーを知っていて、娘の誕生の記念として、ブラウンの“ケリーバッグ”をプレゼントしてくれたのです。サプライズでした! とても、嬉しかったですね。

わたしはこのバッグに娘のミルクやおむつを詰め込み、思い切って、普段使いをしました。

持ち手が切れたときは、夫が直してくれました。今でも愛用していますよ。デニムなどカジュアルなファッションに似合うでしょう?

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photo:REIKO TOYAMA
45年経ったいまも色褪せない美しさを放つ内藤さんの“ケリーバッグ”。

写真で着ている、ネイビーのダブルブレストのブレザーはスーツなんです。

これも40年以上前に夫が買ってきてくれた「エルメス」ですが、サイズがぴったりなのは驚きました。

娘の入学式や参観日、卒業式に袖を通して、さらに、そのお下がりを娘がボタンを付け替えて、大学時代によく着ていました。

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写真左:大切に愛用していた“ケリーバッグ”。右:長女さおりさんの参観日に着用して行った「エルメス」のスーツ。今では写真1枚目のように、ジャケットだけで愛用したりと、着こなしを楽しんでいる。

滞在の記念に、母娘お揃いでオーダーメイドしたローファー。
photo:REIKO TOYAMA
滞在の記念に、母娘お揃いでオーダーメイドしたローファー。
娘と一緒に「エルメス」に通い続けた旅の思い出

ロンドンのボンドストリートの「エルメス」には良い思い出があります。娘が小学生の頃、夏休みに1カ月ほど、家族4人でロンドンに滞在しました。

わたしたちは、毎日のように「エルメス」をのぞきに行きました。そのうち、夫と息子は飽きてしまいますが、わたしと娘は素敵な商品を眺めながら店内を歩き回るのが楽しくて楽しくて。

当時、日本人の客は珍しかったのか、「エルメス」の店員さんたちは嫌な顔をするどころか、ジュースやサンドイッチを出して下さることもありました。外国の老舗のメゾンがフレンドリーな接客をして下さったことは印象的でした。

この旅行の記念にと、母娘お揃いでオーダーメイドしたのが、“ケリー”の金具の付いたオーストリッチのローファーです。

ほかに、パイル地のタンクトップやネイビーのドレッシーなワンピース。プリントとコーデュロイのリバーシブルのセットアップなど……。ワードローブに並ぶ「エルメス」のほとんどは、夫が買ってきてくれたものです。

タンクトップはサイクリングファッションに合わせたり、ワンピースは娘の学校の行事に着て行ったりしました。

写真で着ているネイビーのジャケットも、プリントとコーデュロイのリバーシブルのセットアップも今でも身に付けることが多くて、夫って、センスがいいわねえ……としみじみ(笑)。

家族でサイクリングに出かけたときの写真。内藤さんが着用している白のパイル地のトップスは「エルメス」。
家族でサイクリングに出かけたときの写真。内藤さんが着用している白のパイル地のトップスは「エルメス」。

photo : REIKO TOYAMA text: AKEMI USHIJIMA


内藤朝美/内藤オートCEO

東京都出身。約2年前に娘のさおりさんと共に始めたインスタグラムが注目を集め、フォロワーも急増中。「ディオール」や「セリーヌ」といったハイブランドに、ヴィンテージやアップカミングブランドを自由にミックスするスタイルは、見る人にファッションの楽しさを再確認させてくれる。おしゃれな旦那様とのツーショットも憧れの的。