生まれつきの脳の働き方の違いから行動面や情緒面に特徴が見られる発達障害。自閉症スペクトラム(ASD)から注意欠陥/多動性障害(ADD/ADHD)、学習障害(LD)、チック症、吃音まで、さまざまな障害を抱えながらも興味分野に挑戦して、自らの道を切り開いたセレブ14人を紹介する。
シモーネ・バイルス
注意欠陥/多動性障害(ADHD)
2016年、ロシアのハッカーによる個人情報流出で、世界アンチ・ドーピング機関が禁止するメチルフェニデートを服用していることが明らかになった体操選手のシモーネ・バイルス。翌日に自身のSNSを更新して、子どもの頃から自分が「注意欠陥/多動性障害(ADHD)」であり、治療薬として正式な手続きを経てメチルフェニデートを服用していることを明らかにした。
「ADHDであること、そのために薬を服用していることは、私が人に知られることを恐れ、恥じるようなものでは全くありません」
エマ・ワトソン
注意欠陥/多動性障害(ADHD)
『ハリー・ポッター』シリーズで優等生ハーマイオニー・グレンジャーを演じたエマ・ワトソン。イギリスのADHD基金によると、エマは幼い頃に「注意欠陥/多動性障害(ADHD)」と診断され、『ハリー・ポッター』シリーズを撮影している間も薬物療法を受けていたという。エマは私生活でも学業優秀、ブラウン大学で英文学の学士号を取得している。
ダニエル・ラドクリフ
統合運動障害(Dyspraxia)
ハリー・ポッター役で知られる俳優のダニエル・ラドクリフは2008年、靴ひもなどがうまく結べないなどの症状を抱える、「統合運動障害(Dyspraxia)」と診断されていることを告白した。幼い頃から同障害によって生きづらさを感じていたダニエルは学校以外の活躍の場として俳優業を見出し、才能を開花。『ハリー・ポッター』シリーズのスタントやアクションシーンは障害の克服に大いに役立ったそう。
チェイス・クロフォード
注意欠陥障害(ADD)
「ゴシップガール」のネイト役が有名なチェイス・クロフォードは幼いころに「注意欠陥障害(ADD)」と診断され、薬物治療を行っていたという。チェイス自身はその治療に十分満足はしていないようだ。チェイスは2010年、英夕刊紙イブニング・スタンダードの取材で以下のように語っている。
「自分自身ではADDだと思っていない。(中略)彼らはそれ(薬)を処方しすぎだった。少しくらいは良かったかもしれない。僕の学校生活を円滑にするのにね」
イーロン・マスク
自閉症スペクトラム(ASD)
「テスラ」や「スペースX」などの事業で知られる実業家のイーロン・マスクは今年5月に「サタデー・ナイト・ライブ」にゲストホストとして出演した際、「私は今夜、アスペルガー症候群の人間として初めてSNLの司会を務めるという歴史を作っています」と自身が「自閉症スペクトラム(ASD)」であることを公表。ASDをポジティブに捉え、個性の一つとして表現したイーロンの告白は好意的に迎えられた。
ソランジュ
注意欠陥障害(ADD)
ビヨンセの妹で自身もミュージシャンとして成功しているソランジュ。彼女はエネルギーが有り余る様子と、話題があちこちに飛ぶ会話の仕方からよく“ハイ”になっていると勘違いされるが、実際は「注意欠陥障害(ADD)」と診断を受けているという。
「私は2度、ADDだと診断を受けているの。最初の医者に言われたときは、私はADDっていうのは薬物療法にお金を使わせるためにでっち上げたものなんだ、みたいな考えがあって信じてなかったけど、2人目の医者も同じ診断だった」
ズーイー・デュシャネル
注意欠陥障害(ADD)
ズーイー・デシャネルは以前、自身が手がける娯楽&ライフスタイルのウェブサイト「HelloGiggles」の手芸に関するブログ記事で、「ADDを持ってる薬治療はやってない大人で、しかも手芸が大好きな人いる?私はそう!」と、「注意欠陥障害(ADD)」であることを明らかにしている。
キアヌ・リーヴス
学習障害(LD)
キアヌ・リーヴスは発達障害の一つである「学習障害(LD)」があるセレブの1人。キアヌが抱えているのは文字の意味を脳内で認識したり、理解するのに困難が伴う「失読症」という学習障害で、トム・クルーズやキーラ・ナイトレイ、オーランド・ブルームなども同じ障害を持っていることで知られている。
「読むことに困難があったので、私は良い生徒ではありませんでした」と『Handbag Magazine』で回想しているキアヌ。その後、失読症という障害を抱えながら、彼はシェークスピア作品に出会い深く感銘を受けることに。「自分の心を鎮めるためにシェークスピアを暗唱しています」と1994年、『セブンティーン』誌に語ったキアヌ。「シェークスピアが大好きです。18歳のときには『ロミオとジュリエット』を舞台で演じました。大きな声で読み上げるととてもリラックスできますよ。やってみてください。私は『ハムレット』が大好きです」
リヴ・タイラー
注意欠陥障害(ADD)
女優のリヴ・タイラーは過去に自身が「注意欠陥障害(ADD)」を抱えており、その対処法として瞑想の習慣を取り入れていることを語っている。
「New York Daily News」の取材で、彼女は「私はADDなの。(瞑想は)とても役立つわ。何にでも効くの」と語っている。
ビリー・アイリッシュ
トゥレット症候群
2020年の第62回グラミー賞で、最年少の18歳にして女性初、主要5部門の受賞を果たしたビリー・アイリッシュは、2019年に「エレンの部屋」に出演した際に、発達障害の一つとされるチックの症状が出る「トゥレット症候群」を抱えていることを明らかにした。
「ずっと抱えて暮らしてきた。家族や友人とか、近しい人たちはみんなそのことを知ってる」とビリー。公表したことでファンたちの中にも同じ障害を抱えている人が多くいることを知り、心が休まり、彼らとの繋がりを感じられたと語った。
ダリル・ハンナ
自閉症スペクトラム(ASD)
『ブレードランナー』などでの演技のほか環境保護や動物愛護の活動家としても知られるダリル・ハンナは幼いときに「自閉症」の傾向があると医師から診断されている。2013年の『ピープル』誌で、幼い頃から自閉症と戦ってきたことを明らかにしたダリル。彼女の母はその診断結果と治療を拒絶したが、本人はひどくシャイで、孤立を感じていたという。
17歳で映画と出会って、たちまちその世界に引き込まれたダリルはシカゴからLAに引っ越しして、演技の道を志すように。「私にとって演技することはオズの世界に入り込んでブリキ男と出会うことができる、そういうものでした。そしてそれは今も変わりません」
大人になってから障害が無くなったわけではなく、現在でも「ひどく恐れを感じる」ため、トーク番組への出演や出演作のプレミア上映の参加を断っているという。
ジャスティン・ティンバーレイク
注意欠陥障害(ADD)、強迫性障害(OCD)
2009年、「注意欠陥障害(ADD)」と「強迫性障害(OCD)」を抱えて生きてきたことをカミングアウトしたジャスティン・ティンバーレイク。強迫性障害は繰り返し起こる脅迫観念や脅迫行為によって日常生活に支障をきたしてしまう障害で、彼は当時同棲を開始していたジェシカ・ビールと冷蔵庫の中身の並べ方で喧嘩になっていたことも報じられている。ジャスティンは「僕の場合はOCDとADDのミックス。それと共に生きてる。複雑だよ」と語っている。
パリス・ヒルトン
注意欠陥障害(ADD)
パリスは2007年のラリー・キングのインタビューで、「注意欠陥障害(ADD)」の治療のために薬を服用していることを明らかにしている。ADDの症状は物心ついたときからあったと語っている。
エミリー・ブラント
吃音
『プラダを着た悪魔』、『クワイエット・プレイス』などで知られる女優のエミリー・ブラントは幼い頃から吃音に悩まされている。吃音とは身体的な障害がないにも関わらず、言葉をスムーズに話すことのできない発達障害のひとつだ。
2016年、英『Instyle』誌のカバーインタビューで自身の抱える障害について率直に語ったエミリー。現在でも急な電話などで自分の名前を言うときには努力が必要だと明らかにした。エミリーは「自分の人生で乗り越えなくてはいけないものが、(大人になっての)自分の道を切り開くと思う」と、振り返っている。