体外受精(IVF)の経験について率直に語ったセレブ8人
挑戦を続けた人も、不妊治療を卒業した人も。一人でも多くの人の心の支えになるために、その体験をシェアしてくれたセレブたち
40年以上に渡り、多くの女性が母になるための手助けをしてきた不妊治療法の一つである「体外受精(IVF)」。日本でも現在、16人に1人の子どもが体外受精で誕生していると言われており、特殊な治療法ではなくなっている。しかし、体外受精で子どもを授かるまでの道のりは決して平坦なものではない。高額な医療費や体への負担、心のケアなど、カップル、とくに女性側は数多くの問題と向き合わなくてはならない。
ここでは人々の心に寄り添うことを願い、自らの経験をオープンに語ったセレブ8人を紹介しよう。
ミシェル・オバマ
世界45言語で発売されベストセラーとなった自伝『マイ・ストーリー』で、若い女性に向けてもっと知ってほしいと、自身が体験した流産や、不妊治療について明らかにしているミシェル・オバマ。2018年に同著の出版に当たって出演した「グッド・モーニング・アメリカ」のインタビューでは当時を振り返り、インタビュワーのロビン・ロバーツに以下のように語っている。
「出産可能年齢というのは実際に存在するのだ、と思いました。当時私は34~35歳くらいでした。私たちは体外受精を受ける必要がありました」
エイミー・シューマー
昨年5月、夫クリス・フィッシャーとの間の第1子ジーンを出産したエイミー・シューマーは、先月新たに体外受精を受け始めたことを告白。治療で出来た傷痕を見せながら(写真には昨年の出産で出来た帝王切開の痕も)、ファンに向けて「体外受精を始めてから、ヘトヘトに疲れているし、感情的にも不安定になっているの。あなたの経験やアドバイスを私に聞かせて」と発信した。
翌日、エイミーは寄せられたたくさんのコメントに対して、「気を長く構えて、自分に親切にすること。本当にたくさんの人が互いに寄り添っていこうとしてくれていること」に気づけたと感謝の言葉を述べている。
クリッシー・テイゲン
夫ジョン・レジェンドとの間に2016年にルナ、2018年にマイルスを体外受精でもうけたモデルのクリッシー・テイゲンは、マイルスが生まれる前の2018年4月に米サイト「the Cut」のインタビューで、体外受精の経験や、子どもを授かることの難しさについて率直に語っている。
「体外受精を経験すると、妊娠は奇跡なんだな、ということを実感させられるわ。赤ちゃんを妊娠するまでには本当にたくさんのファクターが存在していて、そのプロセスを辿ることで、そのことに気づかされるの。(中略)体外受精が一度で成功した事例を聞くことがあるかもしれないけど、数回試して成功した、という話のほうがもっと多いわ。私たちは1回目では成功しなくて、それはとても気分がめげる出来事だった。これには運が大きく関わっていて、自分を責めることはできないの。私たちは自分がやったことの何が“悪かった”のかを断定して、次はそれをやらないということをやりがち。最初の体外受精が上手く行かなかった後、私は『そうだったわ、私はあのときは立った姿勢が多すぎた。きっとそれが原因だわ』と思ったりしてた。なにか責める対象を探してしまうのだけど、それは特に自分自身に向けられてしまうのね。さまざまな経験談を聞くのが本当に大切だと思う。そうすれば、正しい方法とか、正しい対処法なんてない、と気づくから」
写真/クリッシー・テイゲンと娘のルナ。ガブリエル・ユニオン
2017年に夫で元NBA選手のドウェイン・ウェイドとの間に代理母出産で娘を授かったガブリエル・ユニオンは、自著『We ‘re Going to Need More Wine(原題)』の中で自身の壮絶な不妊治療の経験について綴っている。
「8~9回の流産を経験した」と、告白したガブリエル。「3年間に渡って、私の体は妊娠するために囚われの身となったの。体外受精のサイクルの始めから、途中、そしてそこから抜けるまでの、全部を経験した」
写真/ガブリエル・ユニオンと代理母出産で迎えた娘カーヴィア。
ヒュー・ジャックマン
ヒュー・ジャックマンと妻のデボラ=リー・ファーネスは2000年に息子オスカー、2005年に娘エイヴァを養子に迎えているが、その以前にデボラは体外受精で2度の妊娠と流産を経験したという。
「それは堪えるプロセスでした」と2013年の『グッド・ハウスキーピング』で語ったヒュー。「体外受精で妊娠に成功した後は、毎日が、まだ持ちこたえてるぞ!まだ持ちこたえてる……!と思い続ける日々です。それがどんなに不安定で、彼女がそこに至るまでどんなに大変だったか。その後に流産したときにはとても落ち込みました。それはとても辛く、女性にとってはもっと辛いことだと思います」
その後、ヒューとデボラは体外受精を受けながら、養子縁組の可能性も探るために活動の拠点をオーストラリアからアメリカ・ハリウッドに。それがきっかけで今日の彼の代表作となったマーベル映画『X-MEN』シリーズへの出演が実現し、2人の子どもたち(写真)との運命的な出会いに繋がったという。
ブルック・シールズ
女優のブルック・シールズは産後うつについての経験をシェアした2005年の著書『Down Came the Rain(原題)』の中で、2003年に長女を出産するときに受けた不妊治療の体験についても告白。段階を踏みながら不妊治療を進めていたブルックは36歳のときに担当医から体外受精を受けることを勧められたという。
体外受精は一度では上手く行かず、何度もトライ。ブルックは「周りの人はみんな妊娠していきました。(中略)子どもが出来た人を素直に祝福できなくなりました。彼らを祝福することは自分とは関係ないことだと分かっていても、それは平手打ちを食らわされるような感じだったのです」と、当時の複雑な心境についても正直に打ち明けている。
ブルックと彼女の夫は2002年夏に最後の体外受精を受けることを決意。結果、4つの凍結した胚のうちのひとつが育ち、長女ローナンが誕生した。ブルックは2006年にも次女グリア(写真)を出産している。
セリーヌ・ディオン
セリーヌ・ディオンは亡き夫レネ・アンジェリルとの間に2001年に男児を、2010年に双子の男児を出産しているが、いずれも体外受精で授かっている。一人目は一度の体外受精で出産まで経過をたどったが、双子の時は最初のようにはいかず、体外受精の回数は6度に及んだという。
2010年の米誌『ピープル』のインタビューでは一日置きのエストロゲンの貼り薬、血液検査、日々のホルモン注射など、体外受精を受けるまでの多岐にわたるプロセスの負担の大きさについても語っている。「それは『ああ、可哀想なセリーヌ』というわけではありませんが、でも、とても大変です」
写真/セリーヌ・ディオンと双子の息子ネルソン&エディ。
コートニー・コックス
コートニー・コックスは元夫のデヴィッド・アークエットとの間に2004年、2度目の体外受精で娘ココを授かった。2003年の米誌『ピープル』のカバーインタビューで「私はすぐ妊娠できるけど、それをキープすることが難しいの」と何度も流産した経験があることを打ち明けたコートニー。一度目の体外受精の経験は2人にとって精神的に堪えるもので、快活なデヴィッドですらそのフラストレーションや、流産のときの涙を抑えることはできなかったという。「彼女が大変な思いをしなければならないと思うと辛くて」
コートニーは昨年出演したビジー・フィリップスのトーク番組で自身の経験をシェアすることについて以下のように語っている。
「人々が自分だけじゃない、って知ることができるよう、外に発信していくのが重要だと思う」
写真/コートニーと娘のココ。