世界最高の富豪「アマゾン」のジェフ・ベゾスが不倫で離婚裁判にかけられたことで資産のほぼ半分は妻マッケンジーに。いっぽう、コロナ禍で話題の中国企業で才女の妻が求めたのは、3400億円と発言権。慰謝料とは何を「慰謝」するためのか考えるきっかけに。
ナターリア・ポタニーナ 推定$7ビリオン(約7500億円)
ロシアの新興財閥の一人で、ウラジミール・プーチン大統領に最も近い人間の一人とされる実業家ウラジミール・ポターニンの妻。2人は1983年の大学卒業とほぼ同時に結婚し、ウラジミールはその後に貿易会社を企業。これが成功を収め、政界とのパイプを次第に強めていき、一時期は国家の第一副首相を兼任していたほど。若い女性エカテリーナ(今の妻)との浮気を知ったナターリアが離婚申請し、2014年に離婚成立。ナターリアが7ビリオンの慰謝料を求めたにも関わらず、ロシアの裁判所は毎月の生活費25万ドルと不動産(モスクワとニューヨーク、ロンドンの邸宅)の譲渡のみに限定。親友プーチンの差し金があった? これに怒ったナターリアはロンドン移住後の2016年に慰謝料15億ドル(約1600億円)を求める訴訟を起こしたものの、ロシアの裁判所が訴えを棄却。ナターリアは昨年、ロンドンの裁判所に当初求めた70億ドル(約7500億円)の慰謝料を認める訴えを起こしていて、実験すれば史上2番目に高額な慰謝料に!
ナターリア・ポタニーナ(Natalia Potanina)
ソラヤ・カショギ $874ミリオン(現在のレートで$3.319ビリオン=約3500億円)
60年代から70年代前半にかけてヨーロッパはもちろん、世界中のパーティー・シーンで華やかなカップルとして注目を浴びたサウジアラビア人武器商人アドナン・カショギとイギリス人妻ソラヤ。人気女優をしのぐ美貌のソラヤは度重なる夫の浮気に切れて、探偵に相談。探偵が撮影した彼女の親友とアドナンの浮気現場を証拠として離婚を申請。慰謝料と子供5人の親権を巡るバトルが始まり、ソラヤが夫のプライベートやヨットを差し押さえたり、夫が子供たちをサウジアラビアに連れ去ったりとエスカレート。妻子への経済支援を条件に離婚成立したが、アドナンがイタリア人女性と真剣交際中と知ったソラヤは1979年に元夫に対して慰謝料2.54ビリオン(今のレートに換算すると約96億5000万ドル=約1030億円)を求める訴訟を起こし、最終的に8億7400万ドル(今のレートに換算すると約3.319ビリオン)の慰謝料をゲット。当時のアドナンの資産の1/4近いので、ソラヤの圧倒的勝利だ!
ソラヤ・カショギ(Soraya Khashoggi)、アドナン・カショギ(Adnan Khashoggi)
ダーシャ・ズコヴァ 推定£1.9ビリオン(約2500億円)
ロシアの富豪ロマン・アブラモヴィッチと、3番目の妻ダーシャは昨年、離婚が成立。ダーシャ自身が富豪令嬢なので、前妻イリーナほど慰謝料を必要としていないはずだが……。ロマンがダーシャに譲り渡したのは、ニューヨークのゴージャスなアパート3つと画廊などの不動産と子供二人の信託基金! さらにモスクワとサンクトペテルスブルグで運営する美術館が所有するアートの一部もダーシャに譲るという。結婚も極秘にしていた二人なので、資産の譲渡に関しても謎のままだが、推定19億ポンドにのぼると見られている。ダーシャは離婚前からギリシアの海運王一族の4代目スタブロス・ニアルコスとの交際が噂されていて、離婚が成立後直後にスタブロスと婚約したとの噂が浮上! 富豪の夫の次は富豪の婚約者というわけで、うらやましい!
ロマン・アブラモヴィッチ(Roman Abramovich)、ダーシャ・ズコヴァ(Dasha Zhukova)
袁莉萍(ユアン・リーピン)$3.2ビリオン(約3400億円)
中国で“ワクチン皇帝”との異名を取り、習近平国家首席からも新型コロナのワクチン開発を期待される化学薬品企業「康泰生物」総帥、杜仏民氏の妻。北京大学で経済学を学んだ後にカナダに移住した中国系カナダ人で、2018年に離婚するまで康泰生物で重役を務め、現在は「北京民海生物科技有限公司」で総合マネジャーという要職にあるキャリアウーマンだ。慰謝料を巡っての争いはほとんどなかったが「康泰生物」理事会メンバーである袁女史の会議での発言権が離婚条件のポイントとなっていた。この6月に元夫が「康泰生物」の株式161.3億株(資産価値は32億ドル)を袁女史に移譲し、離婚が決着。一夜にして富豪となった袁女史だが、新型コロナで「康泰生物」の株価が下がる前に決着しておけば、資産価値は2倍だった。取らぬ狸の皮算用、ですが。
(写真)化学薬品企業「康泰生物」
ウェンディ・デン 推定$1ビリオン(約1060億円)
メディア王ルパート・マードックの3人目の妻で、もっとも野心家だったウェンディ。前妻アナに17億ドルの慰謝料を支払った反省で婚前契約をきちんと結んでいた上、婚姻中にも新たな条項を付け足していたのはさすがマードック。しかも離婚の原因がウェンディの浮気なのだから、さほど慰謝料は支払われないと思われていたけれど、メディア王だからケチれないのも事実。離婚成立後に公表された資産分与は、4400万ドル(+5000万ドルかけてのリフォーム!)の五番街のトリプレックスと夫妻が北京に所有していた豪邸、3000万ドルのヨットがウェンディに譲渡されたもの。また娘二人には今後もマードックの会社から分配金が支払われる仕組みだし、ウェンディの生活費と合わせると1ビリオンくらいにはなるのではと推定される。
ウェンディ・デン(Wendi Deng)
スー・アン・アーネイル $975ミリオン(現在のレートで$1.1ビリオン=約1200億円)
アメリカ史上最高額の慰謝料が発生するかも、と世界中にニュースが駆け巡ったのが石油王ハロルド・ハムと2番目の妻スー・アンの離婚劇。結婚26年目に離婚を申し立てたスー・アンはエコノミスト兼弁護士で、ハロルドが率いるコンチネンタル・リソース社の業務に関わっていたことがきっかけで結婚に至っている。内助の功があったようで、結婚後に会社の価値が跳ね上がり、離婚申請時の資産価値は200億ドル。スー・アンの功績を知る業界人の間では少なくとも5ビリオンの慰謝料になると噂されたけれど、オクラホマ郡の判事が下した慰謝料は9億9500万ドル。不服に思ったスー・アンが裁判を起こし、次の判事は慰謝料の増額をハロルド側に命じたために泥沼の法廷闘争に発展!? 2年半後、スー・アンが何故か、受け取りを拒否し続けていた小切手(9億9500万ドル)を銀行に預金したことでようやく決着。
ハロルドハーマン(Harold Hamm)、スー・アン・アーネイル(Sue Ann Arnall)
マッケンジー・ベゾス 推定$63.5ビリオン(約7兆円)
この1月に離婚を公表して以来、慰謝料に注目が集まっているジェフ・ベゾスと妻マッケンジー。結婚25年目となる妻はベゾスが設立したアマゾンの従業員第1号であり、同社の成長を支えてきた一人と見なされている。
ふたりが住むワシントン州の法律では婚前契約がない限り、婚姻中に夫婦が築いた資産は折半がルール。ということは、ベゾスの資産とされる1370億ドルの半分635 億ドル(約7兆円)がマッケンジーのものとなる可能性大。しかも離婚を決めたと公表したベゾスはすぐに新しい恋人ローレン・サンチェス(不倫疑惑あり)と同棲スタートしていて、世間一般のイメージはネガティブなもの(個人メール流出もそのせい?)。世論を味方につけたマッケンジーが手にするのは、史上最高額の慰謝料かも。
(写真)ジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)、マッケンジー・ベゾス( MacKenzie Bezos)
ジョセリン・ウィルデンスタイン(AKAキャットウーマン) $3.8ビリオン(現在のレートで$7ビリオン=約7700億円)
17歳のときに映画プロデューサと交際を始め、ヨーロッパのセレブシーンで頭角を現したジョセリン。富豪の武器商人アドナン・カショギから紹介されたフランス人富豪アレクと恋に落ち、結婚したのはいいけれど、夫の気持ちを繋ぎとめようと美容整形に走ってしまった。夫が好きな猫類っぽい顔に変身するために費やした費用はなんと400万ドル! でも夫はその顔を嫌悪し、浮気三昧。醜い離婚バトルの末にジョセリンが手にしたのは、38億ドル(慰謝料25億ドル+13年間にわたって毎年1億ドル)で、現在だと70億ドル(約7700億円)の価値があるというからびっくり。ただし裁判官からはこれらのお金を使って美容整形手術を受けることは硬く禁じられたそう。
(写真)アレク・ウィルデンスタイン(Alec Wildenstein)、ジョセリン・ウィルデンスタイン(Jocelyn Wildenstein)
エレナ・リボロフレヴァ 推定$1ビリオン(約1100億円)
医療関連企業設立を皮切りに肥料関連事業を運営するウラルカリ・グループを拡大させたロシア富豪ディミトリ・リボロフレフ。医学部在学中の1987年に同級生だった美女エレナと結婚し、娘二人をもうけたものの、大金を手にするようになった途端に浮気が習慣化。エレナは探偵を雇って夫の不倫の証拠をつかむや、2008年にスイスの裁判所に離婚を申請。ロシアの新興富豪のスキャンダラスな性生活が明るみに出た離婚裁判にはメディアが飛びつき、しかも巨額の富の所有を争うエレナとディミトリの戦いも映画のよう! 第一審は45億ドルの慰謝料をエレナに支払うように命じたが、ディミトリの控訴が認められて6億ドルまでに減額。係争中にエレナはディミトリの資産隠しを指摘していて、叩けば埃が出る身の夫は最終的には10億ドル(約1100億円)以上は支払ったと見られる。
(写真)ドミトリ・リボロフレフ(Dmitri Rybolovlev)と連れの女性
アナ・マードック・マン 推定$1.7ビリオン(約1900億円)
メディア王ルパート・マードックの2番目の妻アナは元ジャーナリスト。マードック傘下のタブロイド新聞「The Daily Telegraph」で働いている時に見初められ結婚した美女で、その遺伝子はTVシリーズ「FRINGE/フリンジ」などで活躍する女優でもある姪アナ・トーヴに受け継がれている。3人の子供をもうけた夫妻が結婚31年目に離婚したのは、マードックがこれまた傘下のTV局で働いていた中国人女性ウェンディ・デンと浮気してたからで、慰謝料17億ドル(約1900億円)ですぐに合意。しかもアナも離婚から6ヶ月後に投資家のウィリアム・マンと再婚していて、まさにウィン=ウィンな離婚!
(写真)ルパート・マードック(Rupert Murdoch)、アナ・マードック・マン(Anna Murdoch Mann)
スラヴィカ・ラディッチ $1ビリオン(約1100億円)
人気モデルのひとりで、「アルマーニ」とF1がコラボしたイベントで出会った元F1ドライバーで実業家のバーニー・エクレストンの2番目の妻となったスラヴィカ。2人の美しい娘も生まれ、幸せな生活を送っていたある日突然、夫から離婚を言い渡されたそう。彼から、仕事で出会った35歳年下のブラジル人女性ファビアナ・フロシと再婚したいと言い渡されたスラヴィカはすぐに離婚を申請し、夫バーニーは10億ドル(約1100億円)近い慰謝料を承諾。でもお金問題には続きが!
ドイツの銀行家に賄賂を贈った罪で起訴されたバーニーが裁判所に提出した書類によると、1997年にバーニーがスラヴィカと娘たちのために設立した信託基金があり、その基金からバーニーが毎年100万ドルを受け取っていたことが明るみに。具体的な年数は不明だが、発覚した時点で12億ドルが支払われていた。つまり賢いバーニーは離婚のずっと前からスラヴィカが元夫に大金を譲渡する形式にしていたわけで、すでに慰謝料を超える彼女名義の資産が元夫に渡る仕組みになっていたのをスラヴィカが知らなかった可能性大。
(写真)バーニー・エクレストン(Bernie Ecclestone)、スラヴィカ・ラディッチ(Slavica Radić)
エレイン・ウィン $0.7ビリオン(約810億円)
ラスベガスのカジノ王のなかでもジョージ・クルーニーらセレブと仲良しで有名なスティーブ・ウィン。その彼の下積み時代を支え、ウィン・リゾート・グループを拡大したのが元妻エレインだ。ラスベガスには不似合いな現代アートが展示されたホテルは実は、彼女のアート愛の賜物でもあった。ふたりは2 度も結婚&離婚していて、2010年2 度目の離婚の際に彼女が手にした慰謝料は7.4億ドル(約810億円)!
当時のアメリカではもっとも高くついた離婚と話題になった。しかもエレインは離婚後も同グループの重役の地位にとどまって、元夫の資産を増やす手伝いもしたからまさに円満離婚? 2015年に同グループから退いたエレインは悠々自適で、元夫のセクハラ疑惑に対しても一定の距離を取り続けている。
(写真)スティーヴ・ウィン(Steve Wynn)、エレイン・ウィン(Elaine Wynn)