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韓国ドラマで滝レベルまで泣きたい人へ
時に過剰と思える、湿度と熱を帯びた感情のほとばしりは、韓国ドラマの大きな魅力の一つ。特に泣く演技を恐れない、いやむしろ老若男女こぞって積極的に泣いて行こ!というのが韓国ドラマであるわけで、これを思いっきり味わわずしてその真髄に触れたとはいえますまい!(テキトーに断言)
でもよくSNSなどで「韓国ドラマで号泣!」という文言を見るんですが、そういう人たちが何を見て泣いたかというと『愛の不時着』とかだったりするのはなんか違う。たしかにリ・ジュンヒョクが怪我も治ってないのに、雪の中セリを探しに来ちゃった時とかウルっとはしたけども、どうせなら「ダーダー」と「ジャブジャブ」とか「グッズグズ」というレベルまで泣きたいーーというアナタに、今回はホンマものの号泣をプレゼンツ!
一時期「涙活」なんて言葉も流行りましたが、涙を流すのはストレス解消に効果的で、一説によれば免疫力もアップするとか。そんなわけで、今こそ見たい5本をご紹介!
1.マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~(2018)
幼い頃に亡くした両親の借金を返すために、寝る間もないほど働きながら、病気の祖母の面倒も看ている少女IUと、家庭でも会社の権力闘争でも貧乏クジばっかり引かされる中年男「おじさん」イ・ソンギュン(『パラサイト 半地下の住人』)が、互いの孤独によって引き寄せられ心を通わせてゆく号泣ドラマ。
社長キム・ヨンミン(『愛の不時着』の耳野郎)の嫉妬で、窓際に追いやられたソンギュンは、第1話から罠にハメられ大ピンチに陥るわけですが、これを意図せず救ったのがIU。金儲けのチャンス到来とソンギュンに近いた彼女は、さらに彼を目の敵にする社長にも近づき「1000万₩でソンギュンを会社から追い出す」と約束し、両者の携帯電話を密かに盗聴しはじめるーーんだけど、これがこのドラマのものっそ大きなミソ。
全世の中に蔑まれて生きてきたIUは誰も信じないすれっからしで、「優しそうに見えても、裏じゃ誰もがクソ野郎」と思ってるんだけど、盗聴を聞いて聞いてもソンギュンには「裏」が出てこない。でもって時々誰かとIUの話とかを「かわいそうに」とか「いい子だ」とか言っていて、最初は「けっ!」とか思うわけですが、だんだんとソンギュンの声が唯一の心の拠りどころに。つまりソンギュンは、誰にも肯定されたことのないIUに「決して君のせいじゃない、君はいい子なんだ」と言い続けてくれるわけで、暴力借金取りチャン・ギヨンにボコボコにされた後、壊れた人形みたいになったIUが、録音されたソンギュンの「君はいい子だ」という言葉をくり返し聞く場面とか、いまこうやって書いてても号泣。
ちなみにソンギュンは韓国ドラマ界でも屈指の美声で、それを見込んでこの役にキャストされたそうですが、「おじさん」の演技が入った声は、低く優しく、それでいて強くまっすぐで極上です。
このドラマの「号泣ポイント」にして「脱落ポイント」は、ヒロインIUの置かれた境遇があまりに不幸すぎ、あまりに辛すぎるってことで、私みたいに「不幸耐性」のあるタイプだとぜんぜん平気なんですが、ラブコメ大好きヒャッハー!みたいなタイプの人は、最初の数話で「辛い…」と脱落しちゃうという話も……が!なんとかそこを乗り越え、最終話の「この韓国ドラマが今まで見た中でベストかも」という感動まで、どうにかたどり着いてもらいたい!涙の海ができるから、バスタオルは用意してね!
2.恋のスケッチ~応答せよ1988~(2015)
オリンピック目前の好景気に沸く1988年、ファッションやらアイドルやら映画やらの娯楽に溢れる世の中で、高校生ヘリはまさに青春真っ只中。同じ一角で生まれた幼馴染の男子4人組とは、今も変わらず家族同然にじゃれ合う仲だが、そのうちの一人、コ・ギョンピョが自分のことをどうやら好きらしいと知るーー実は28年後の2015年、ヘリは4人のうちの一人と結婚しているのだ……。
冒頭からラブなサスペンスを匂わせて韓国で一大ブームを巻きおこした『応答せよ』シリーズの第3弾。一作目の「1997」も二作目の「1994」も面白いんですが、最も高い視聴率を撮ったのがこの「1988」。その理由はめちゃめちゃ濃い、ご近所ひっくるめの家族愛が描かれているから。5家族はそれぞれに経済状況も家族構成も異なりーーヘリ一家は貧しい半地下暮らしで、リュ・ジュニョル一家は宝くじで一発当てた成金、コ・ギョンピョ一家はコレまた貧しい母子家庭で、父子家庭のパク・ボゴムは中卒の天才棋士で1億₩プレイヤーーーなわけですが、そんなんぜんぜん関係なく困った時は助け合う、古き良き時代にまずウルッ。
登場人物に悪人が一人もいないのもこのシリーズの魅力。口は悪いしうっかりや勘違いも多い、思いが強すぎてぶつかり合ったり、寂しくて口に出せないこともあるが、必ず誰かしらが理解していてくれて、みんながダサかった時代のあるあるで爆笑させつつ、いざという時は全力で一緒に泣き抱きしめてくれるというヒューマニズムと家族愛は、現代において完全に失われてしまった悲しさも含めて、泣かされてしまうこと間違いなし。
ちなみに『応答せよ』シリーズとは、それぞれタイトルに付いた年を舞台にした独立した作品。その頃のイベントとか流行りものとかアイドルネタとか盛り込んであって、知ってる人は「ソテジか!イ・ムンセか!なつかしーーー!!!」とか言いながら見るのが楽しいんだけども、それはさておき!シリーズのミソは、当時を一緒に過ごした仲間の「現在」が同時に描かれ、ヒロインが仲間内の誰かと結婚していると分かること。現在のパートの「匂わせ」で視聴者をミスリード、結婚相手は誰?誰?誰なのっ!ってな感じでネット上では毎回大論争に。
そしてそして、孤独な天才棋士にして囲碁以外は何もできないという役どころのパク・ボゴムの、アフリカの草原あたりにいる小動物か!って感じの無双の可愛さも、ありがたすぎて号泣!
3.マザー~無償の愛~(2018)
渡り鳥の研究者なのに研究所の閉鎖で、小学校の臨時教員をしているイ・ボヨンは、生徒の一人ホ・ユルが虐待児童であることに気づく。自身の本業で海外留学が決まったため、警察とか同僚教員とか各所に「どうにかしたってな!」と働きかけるも誰も動いてくれず、「やれるこたやった、やれるこたやったった…」と念仏のごとく自分に言い聞かせながら、最後に訪ねたユル家のゴミ捨て場で、ゴミ袋に詰められ窒息寸前のユルを発見!「あかーーーーん!」と衝撃を受け救い出すことを決意する…!
今をときめく脚本家・坂元裕二(『花束みたいな恋をした』)が手掛けた2010年の大ヒットドラマ『Mother』の韓国版リメイク。作品成功の鍵は「オリジナルの芦田愛菜に匹敵する子役を見つけられるか?!」だったと思いますが、そこは天才子役の宝庫=韓国。ヒロイン、ホ・ユルちゃんは、イ・ボヨンと二枚看板で、いやもしかしたらホ・ユルちゃんのドラマになってるほどの素晴らしさ。壮絶な虐待の中にあっても無邪気さを失わず、黒目がちなつぶらな瞳で、明るい笑顔と寂しさ、痛々しさと無邪気さを絶妙に表現しながら……って言葉で書くのもアホらしいほどに、画面に出てくるだけでパブロフの犬的に号泣。食品のチラシを見てニコニコしながら「オムライスとトンカツが毎日食べられる子」とメーカー名を自分の偽名に決める場面とか、微笑ましさと切なさでなにがなんやらだし、ネタバレするんで詳述は避けますが、13話とか、号泣するユルちゃんを前になされる社会一般の「正義」がひどすぎる理不尽としか思えず、辛くて悲しくてもう無理!いや見て!
虐待の実態がじわじわ明かされてゆく序盤から、海難事故を装ってホ・ユルちゃんを連れ去り始まる逃亡生活、その一方で、事件捜査によって分かってくる実母の恋人の正体、更にはボヨン家族(実母&養母とその一家)の秘密まで、日本版にない設定も山盛りで号泣させつつサスペンスも満点なのは、さすがの韓国ドラマ。
ドラマは血のつながらないイ・ボヨンとホ・ユルちゃんが、本当の母娘になってゆくまでを描くわけですが、今見るとある種のシスターフッド、ふたりのラブストーリーにも。さらにイ・ボヨンを含めて7人の「マザー」が登場、特にイ・ボヨンの養母である大女優イ・ヘヨン(実際にも大女優!)は、名作『ごめん、愛してる』に次ぐド級の母親を演じ圧倒的。これだけ背負わされる母親ってマジ大変だなと思うわけですが、ドラマ見て号泣した後は「だから母親は聖なる存在」じゃなく「父親は何やっとんねん!」と叫びましょう。
4.ここに来て抱きしめて(2018)
高校生のチャン・ギヨンは、転校してきた国民的女優の娘チン・ギジュと恋に落ちるが、ギヨンを偏愛する父親ホ・ジュノはそれを許さず、ギジュの両親を殺害。なんと父ジュノは当時、国中を震撼させていた連続殺人鬼で、ギジュはギヨンによってギリ救い出されるが、ふたりは加害者の息子と被害者の娘として離れ離れに。数年後、ギヨンは父とは別の人間だと証明すべく警察官になるが、父は獄中から手記を出版した後に脱獄、女優になったギジュを付け狙い始める……。
『マイ・ディア・ミスター』で、父親を殺したIUを憎みながら愛していた鬼畜の借金取りを演じたチャン・ギヨンですが、こちらでは連続殺人鬼の父親にいたぶられまくる息子を演じ、恐ろしいほどのカッコよさ。父親から「お前はオレとそっくり」と言われ溺愛されて育ったギヨンは、「自分は父親とは違う」と全力で証明する人生を送ってるわけなんですが、一方の父親は「イヤ違うって、オレとそっくりだって」と認めさせることに全力投球。でもって息子を制御不能にするには、今も思い続ける初恋の人ギジュを殺せばいいんじゃね?ってことで、物語は展開。
手記のせいで再び「殺人鬼の息子」として世に蔑まれ、「生まれてすみません」的に視線を落とすギヨン、何かが起きる度に「キレるなオレ、キレるなオレ」と自分に言い聞かせるギヨン、でもギジュが襲われてうっかりキレて相手を殺しそうになり、ギジュに「ギヨン、おすわり!」的に注意されてシュンとするギヨン……ぎゃあああああ可愛い!じゃなくて(企画意図として)かわいそう!
幸か不幸か父親の手記をきっかけに再会し愛を育んでゆく、そのスイートな感じが本当にうっとりなんですが、ふたりだけの世界が幸せな分だけ、それ以外が悲しいわけですね。周囲は二人の愛を認めてはくれないし、トラウマを抱えながら明るく前を向くことを諦めないギジュも、かわいそうでかわいそうで、この二人がハッピーエンドを迎えられなかったら私が生きていけない……というくらいの気持ちに。
いやいや、ふたりだけじゃなく「殺人鬼の家族」として世間から石投げられる、ギヨンの母と妹、さらに父親に心酔しながら認めてもらえないこじらせ兄貴とか、どこを切っても号泣だらけなんですが、ほんとにいいドラマなので、ド迫力殺人鬼ホ・ジュノの恐ろしさに負けず、ぜひ見てください!
5.シンデレラのお姉さん(2010)
男を渡り歩き、その金にすがって生きる母親イ・ミスクは、酒乱の暴力男である恋人のもとに娘ウンジョを残して姿を消し、マッコリの造り酒屋「デソン都家」の当主のもとに後妻として入り込む。やがてその連れ子として同家に迎えられたウンジョは、清廉潔白で心優しい当主キム・ガプスと、その娘で純真無垢なソウとともに暮らし始めるが……。