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おとぎ話にNO! 現代のプリンセス、メーガン妃が示す生き方とは

王子様と結婚して、プリンセスになることだけが若い女性たちにとって夢なのではない、鎧を着た騎士を待たずとも、自ら救う道はある、自分の物語は自分で紡ぐものである……高位王族を退いてから1年間、メーガン妃がヘンリー王子と一緒に示してきた、おとぎ話を覆す、現代を生きる女性としてのアティテュードを振り返る。

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fairy tale tropes meghan markle has brilliantly subverted in 365 days
Max Mumby/Indigo//Getty Images

王子様と結婚して、プリンセスになることだけが若い女性たちにとって夢なのではない、鎧を着た騎士を待たずとも、自ら救う道はある、自分の物語は自分で紡ぐものである……高位王族を退いてから1年間、メーガン妃がヘンリー王子と一緒に示してきた、おとぎ話を覆す、現代を生きる女性としてのアティテュードを振り返る。UK版『ELLE』より。

高位王族引退から1年

meghan markle
Getty Images

メーガン妃とハリー王子が、自分たちのおとぎ話のエンディングを書くために高位王族の座を降りてから、ちょうど1年が経った。ヘンリー王子が「いじめ」と非難した、何年にもわたる報道陣の厳しい視線や家族間の確執についての噂、法廷で争われたプライバシー問題など、これまで彼らの前で繰り広げられていた物語は、必ずしもストーリーブックの題材としてうってつけとは言えないものだった。

2人の英国脱出について、王室を見捨てた、伝統を裏切った、あるいは盲目的な特権主義者の行動だと考える人たちもいた。しかし、私たちの多くは、2人が魔法の絨毯の代わりにプライベートジェットに飛び乗って、義務や期待に縛られない未来を築くためにどこかへ逃避していったことに驚きはしなかった。

その旅立ちで彼らが示したのは、真の勇気とは、孤独の中で罵詈雑言に立ち向かったり、公の場で幸せな笑顔を浮かべ、沈黙し続けることではないということだった。むしろ、それは知らないところに足を踏み入れ、「自由」であることの本当の意味を自分で見極めることなのだ。何よりも、勇気とは正しいことのために立ち上がることだと二人は証明した。

もちろん、メーガン妃にとって正義のために戦うことは、目新しいことではない。忘れてはならないのは、彼女は11歳のときに、「P&G」社の食器洗い機用洗剤の広告の性差別的な表現について手紙を書いた人物だということだ。また、彼女は自身をフェミニストであると誇らしげに語り、有害な家父長制システムを解体することの重要性を訴えてきた。メーガン妃が王室引退後、カリフォルニアの遠い城(カリフォルニアのモンテチトに購入した邸宅)に隠れていると思っている人には、それは見当違いだと伝えたい。

この1年間、マークルは若い女性たちに、お姫様になること以外にも夢があること、王子様に頼らずとも救済の道はあること、自分の物語は自分で書くものであることを示し続けてきた。

ここでは、メーガン妃がこの365日間で示してきた、おとぎ話の修辞を覆す、現代女性としてのプリンセスのあり方を見ていこう。

1. 幸せを見つけるために犠牲を払う必要はない

meghan markle
Getty Images

ディズニーのおとぎ話の作品群を少し見るだけで、女性主人公は自分が“それ以上”の価値があることを証明するために、大切なものを失うことを求められていることに気づくだろう。

なかでも最も悲痛な犠牲を払うのは『リトル・マーメイド』のアリエルだ。アリエルは、陸で3日間王子様と過ごすかわりに海の魔女と契約して声を失うことになる。メーガン妃は先日のオプラ・ウィンフリーのインタビューで、長年にわたって自身の「沈黙」を感じていた自身の経験と、ディズニーのキャラクターが王子様と一緒にいるために犠牲を払ったことには類似点があると認めている。「ハリー(ヘンリー王子)と私が付き合っていることが世間に知られた瞬間から、私の周りにいる人は全員、常に 『ノーコメント』と言うようにはっきりと命じられました」

王族の地位を退いてから自律性を見出すまでの彼女自身の道のりをアリエルに重ね合わせながら、彼女はこう語っている。「しかし最終的には、彼女は自分の声を取り戻しました」

the duchess of sussex launches smart works capsule collection
WPA Pool//Getty Images

アメリカに移住して以来、彼女はアメリカ大統領選挙に先んじた投票権の話についても、組織的な人種差別や男女平等の話題についても、身の回りにある問題について公の場で発言することを貫いている。

昨年夏、ジョージ・フロイドの死後に「ブラック・ライブズ運動」が再活発化したことを受けて、メーガン妃は、この数年間「沈黙している」と感じていた自分が声を上げることへの不安に触れた。「正しいことを言いたかったのですが、言えないのではないか、あるいは自分の発言がこき下ろされてされてしまうのではないかと、とても不安になりました。でも、ジョージ・フロイド氏の命は大切です。何も言わないことが唯一の間違ったことだと気づきました」

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2.善なるものと悪なるもの、という二項対立の滑稽さ

meghan markle
Getty Images

英国を離れてから約1年間、王室について比較的静かにしていたメーガン妃とヘンリー王子だが、最近、大きな話題となったオプラ・ウィンフリーとのインタビューの中で、自分たちと「ザ・ファーム(会社・事務所)」(イギリス王室を指す言葉の1つ)との関係について明らかにしている。

その中でメーガン妃は、おとぎ話のように人生においてすべてが白黒はっきりしているわけではないと認識することの大切さや、女性を互いに対立させることの残酷さ、とりわけ彼女とキャサリン妃に対してそうすることの不毛さについて語っている。

長年にわたってメディアにはびこってきたキャサリン妃とメーガン妃を対立させる、「チーム・ケイト」と「チーム・メーガン」の筋書きについて、メーガン妃は次のように述べている。「彼らは本当にヒーローと悪役の筋書きにしたかったようですね…私が見た報道の多くが両極端なものでしたが、私を愛しているからといって彼女を憎む必要はありませんし、彼女を愛しているからといって、私を憎む必要はないのです」

commonwealth day service 2020
WPA Pool//Getty Images

マークルが王室に入って以来、女性たちの存在だけで物議を醸し、メディアは2人の両極化を強めてきた。このあまりにも滑稽な2人の比較は、まるで一方を褒めることが他方を侮辱することであり、ある問題に対する一方のコメントを賞賛することが他方の沈黙を強調することであり、一方の現代性を賞賛することが他方の伝統主義を批判することであるかのような構図となっていた。

メーガン妃は、自分とキャサリン妃を比較するダブルスタンダードを取り上げて、現実でも架空でも、どんな物語の登場人物も善悪や正誤では語れないことを我々に思い出させた。何より、女性が何を着るか、何について発言するかなど、個人の選択によって女性への支持を分けることは、単純に女性の権利運動にとってマイナスのことだ。

3. 弱さを見せることは、強みになりうる

meghan markle
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勇敢さと不屈の精神は、児童書によく出てくる主人公の資質であり、その結果、多くのヒーローが弱さのかけらも見せずに、危険に直面して自分の命と自由を賭けることになる。しかし、メーガン妃はこの1年間で、正直さや傷つきやすさの中にも強さがあることを示してきた。

昨年11月、メーガン妃はニューヨーク・タイムズ紙にエッセイを寄稿し、昨年の夏に子供を流産したことを明らかにした。これは王族としては稀な自らの脆さを認めるものだ。「病院のベッドに座って、粉々になった私の心の欠片を抱きしめようとする夫が傷心していくのを見て、癒やしへと至る唯一の方法は、まず 『大丈夫?』と相手に尋ねることだと気づいたのです」と彼女は綴っている。

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the duke and duchess of sussex attend the endeavour fund awards
Samir Hussein//Getty Images

それから数カ月後、メーガン妃はオプラのインタビューで自殺を考えていたこと、それを夫に認めるのは恥だと感じていたことを明かした。「言わなければやってしまうと思っていたし、もう生きていたくないと思っていた」と彼女は赤裸々に語っている。

メンタルヘルスや妊娠中の葛藤を語ることで、メーガン妃は私たちに、ヒロイズムとは自身の恐れを表現することを恐れることではないと気づかせてくれた。むしろ、良いことも悪いことも含めて、感情とは人間の反応であり、自分の弱さをさらけ出すことは、恥ずべき弱点ではなく、支持されるべき強みであることを知らしめている。

4. “邪悪”な女王など存在しない

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『白雪姫』や『眠れる森の美女』などのおとぎ話では、遠い城に潜んでいて、王女の若さや無邪気さ、善意に対して陰謀を企てる悪魔のような女王がよく登場する。しかし、マークルはエリザベス女王のような実在の女王は、子供向けの本に書かれているような専制的で偏執的な専制君主ではないことを示した。

members of the royal family attend events to mark the centenary of the raf
Chris Jackson//Getty Images

女王やフィリップ王配とZoomで何度もテレビ電話をしたことや、女王が最近、アーチーにクリスマスプレゼントを贈ってくれたこと、それもワッフルメーカーだったことなど、39歳の彼女は女王について積極的に語り、権力を維持して尊敬を求めるために君主は意地悪になる必要はないということを強調した。

メーガン妃は「女王はいつもとても良くしてくれています」と語り、女王と一緒にいることが「本当に好き」だと付け加えている。

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5. 窮地を救うのは騎士ではなくて自分自身

announcement of prince harry's engagement to meghan markle
Samir Hussein//Getty Images

ロイヤルカップルが王室からの離脱を発表したとき、多くの人が離脱の黒幕はメーガン妃だと推測し、彼らの動きを「Megxit」と呼ぶ人もいた。

しかし、今年初め、メーガン妃は、妻子を「ザ・ファーム」から遠ざける決断をしたのは夫だったと指摘している。「彼が最終的に決めました」と彼女はオプラに明かした。「彼は、私の人生を救い、私たち全員を救う決断をしたのです。しかし、そのためには救われたいと自分が思わないといけません」

meghan markle
Getty Images

ヘンリー王子もまた、王室に「囚われ」てしまった自分をメーガン妃が助けてくれたと指摘し、「疑いもなく彼女は私を救ってくれた」と述べている。

おとぎ話に登場する多くの女性とは逆に、マークルは救われるのを待つ苦悩の乙女ではなかった。むしろ、彼女とヘンリー王子は、王室から距離を置くことで、お互いを助け合う決断をしたからこそ勝利したのだ。

6. 物語のハッピーエンドを決めるのは自分自身

prince harry marries ms meghan markle procession
Karwai Tang//Getty Images

サセックス公爵家の2人は王室を離れてから、王室の生活が「おとぎ話ではない」ことを世界に示してきた(元ヨーク公爵夫人セーラ・ファーガソンが1996年にオプラ・ウィンフリーと交わした言葉を参照)。王室から経済的に切り離されたという話や、アーチーに王室の称号が与えられなかったこと、人種差別の疑惑(王室は「深刻に受け止める」とコメント)、王位継承者であるにもかかわらず王室の保護を剥奪されたことまで、夫妻は世間の王室のイメージが思い込みにすぎないということを明らかにした。「現実とはかけ離れたイメージを持つのは簡単です」とメーガン妃はかつての高位王族としての生活について語っている。

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この1年、2人は自分たちの物語では誰一人ハッピーエンドを迎えていないことを示してきた。王室から身を引き、自分たちの経験を正直に語る中で(結果的に現在、サセックス家と他の王室との間に緊張関係が生まれている様子だ)、彼らの幸せな家族のイメージは2018年の結婚式当日の夫婦の笑顔とはかけ離れたものになっているのは確かだ。

しかし、アメリカでの新生活、いくつかの新たな仕事、そして第2子の誕生を控えている2人は、現在自分たちの物語を書くことに熱心な様子だ。王室から離れて以来、メーガン妃は、今は「どんなおとぎ話よりも素晴らしい」とまで言い切っている。なぜか?それは、自ら作りだしているからだ。サセックス公爵夫妻にとって、この1年は彼らの物語の終わりではなく始まりに過ぎない。

Translation & Text : Naoko Ogata

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Handout//Getty Images

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