アワード史上最強のドレスは?歴史に残る、アカデミー賞のファッション・モーメント35連発
現地時間2021年4月26日(月)に行われる第93回アカデミー賞授賞式。その前に、これまでのアカデミー賞で話題を呼んだ海外セレブたちの装いをおさらい!
1929年5月16日に「ザ ハリウッド ルーズベルト ホテル」で開催された第1回アカデミー賞授賞式は、出席者わずか270人ほどの小さなディナーだったことを知ってる?今日では世界が注目する一大イベントに成長しているけれど、いつの時代も1つだけ変わらないことが。それは、アワード並みに注目されるゲストの装い! 今回は、オードリー・ヘップバーンが着た「ジバンシィ」のドレスからビリー・ポーターの「クリスチャン シリアーノ」のタキシードガウンまで、歴史に残るドレスアップを一挙にご紹介!
1929年:ジャネット・ゲイナー
第1回アカデミー賞で最優秀主演女優賞を勝ち取ったジャネットは、丸襟がキュートなニットドレスを着用。実はこのドレス、子供服を扱うお店で売っていたもの! というのも、ジャネットは152cmの45キロという小柄体型だったため、大人のサイズでフィットする服が見つからなかったそう。現在のフォーマルなレッドカーペットドレスと比べると、かなりカジュアル!
「第1回目のため、アカデミー賞は伝統や背景がありません。 この受賞が数年後にはどんなものを意味するのか知っていたら、もっと感動していたでしょう」とジャネット。
1938年:ルイーズ・レイナー
『大地』で最優秀主演女優賞にノミネートされていたドイツ出身女優ルイーズは、この年のアカデミー賞を欠席! 理由は、前年のアカデミー賞で最優秀主演女優賞を受賞したため、2年連続の受賞はありえないと思ったから。しかし、当時は受賞者リストが事前にプレスに配られていたので、ルイーズがまた受賞することが明らかに。そこでスタッフが急いでルイーズを迎えに行ったとの逸話が。メイクをする時間もなく、ナイトガウン姿で式に出席! このときのドレスのことをルイーズは「当時私が持っているなかでいちばん素敵なドレスだったわ」と振り返った。
1939年:ベティ・デイヴィス
『黒蘭の女』で最優秀主演女優賞を勝ち取ったベティは、当時契約を結んでいたワーナー・ブラザースのトップ、ジャック・ワーナーを挑発するために、大きな羽がついた奇抜なドレスを選び話題に。ブロンウィン・コスグレーヴは、自身の本『Made For Each Other: Fashion And The Academy Awards(原題)』のなかで、ベティは当時自分のことを会社の奴隷のように感じており、この年の突飛なドレスは彼女なりのSOSだったと話している。
1940年:ヴィヴィアン・リー
のちの夫となるローレンス・オリヴィエと出席したヴィヴィアンは、『風と共に去りぬ』でアイコニックなスカーレット・オハラを演じて最優秀主演女優賞を受賞。アイリーン・レンツがデザインした、ポピー柄でウエストにカットアウトが入ったシルクドレスは、劇中でヴィヴィアンが着ていたコルセットドレスとは大違い。
1941年:ジンジャー・ロジャース
第二次世界大戦中だったためアカデミー協会は、ゲストに「色は暗めの控えめな服装をするように」と事前にリクエスト。映画『恋愛手帖』で最優秀主演女優賞を獲得したジンジャーは、黒のレースが施されたグレーのシルクドレスを着用した。コメディアンのボブ・ホープが司会を務めた’41年のアカデミー賞では、当時の大統領フランクリン・ルーズベルトがラジオを通して、映画業界が“アメリカ人らしい生活”を宣伝していることへの感謝のスピーチを行った。
1954年:オードリー・ヘップバーン
『ローマの休日』で最優秀主演女優賞を受賞したオードリーは、ユベール・ド・ジバンシィがデザインしたフローラル柄のドレスを着用。当時「ジバンシィ」のミューズだったこともあり、このドレスはオードリーの洗練さと可愛らしさを完璧に表現している。
1955年:グレース・ケリー
’50年代後半、 主演女優たちはアカデミー賞などの煌びやかなイベントには、衣装デザイナーにデザインをリクエスト。当時最も人気を集めていたデザイナーは、かの有名なイーディス・ヘッド。アカデミー賞で35回ものノミネーションと8回もの受賞経験があるイーディスは、グレースのためにアイスブルーのフレンチシルクガウンをデザイン。そのドレスを着たグレースは『喝采』で最優秀主演女優賞を受賞した。
イーディスが“ブルーシャンパン”と名付けたこのドレスは、グレースが雑誌『ライフ』の表紙で着用したことで一躍有名に。このドレスは、のちにレーニエ3世と結婚してプリンセスとなるグレースにぴったり!
1969年:バーブラ・ストライサンド
『ファニー・ガール』で最優秀主演女優賞を獲得したバーブラが着ていた衣装は、かなりプレイフルなデザイン。アーノルド・スカアシが手掛けたベルボトムのパンツスーツは、シアー素材だったため会場のライトだと透けてしまうほど(バーブラはヌードカラーの裏地をつけたため透けなかった)。
バーブラは檀上へ上がる際に転んでしまったものの、動じることなく手にしたオスカー像を見つめて、劇中の有名な台詞「ハロー、ゴージャス」をささやき、軽やかに笑いを取った。
1970年:エリザベス・テイラー
エリザベスの最もアイコニックなスタイルの1つが、彼女の目の色とマッチするイーディス・ヘッドが手掛けたシフォンドレス。首もとには、この年のアカデミー賞最優秀主演男優賞にノミネートされていた夫リチャード・バートンからの贈り物である69カラットのダイヤモンドネックレスが輝いていてた(エリザベスはこの年ノミネートされていなかった)。
ちなみに、最初リチャードが買ったのはダイヤモンドのリングで、エリザベスは「私でもちょっと大きすぎたわ。だから『カルティエ』にネックレスをデザインしてもらったの」だとか。なんて贅沢な話!
1978年:ダイアン・キートン
ウディ・アレンが手掛けた『アニー・ホール』でダイアンが演じた主人公アニーのスタイルは、アメリカ全土の女性が夢中に。 ベストやタイ、白シャツにカーキパンツというジェンダーレスなスタイルは、もともとダイアンの普段のファッションがヒント。最初ダイアンが劇中で私服を着ることを、映画の衣装デザイナーは気に入らず、でもウディが「いいんだよ、彼女は天才だから」と言ったそう。同作で最優秀主演女優賞を受賞したダイアンは、この日もメンズライクなスーツを着用。
1986年:シェール
1986年のアカデミー賞で最優秀助演俳優賞のプレゼンターを務めたシェールは、歴代で最も刺激的なドレスで登場した。ウエストを大胆に露出し、黒のカシミアケープを羽織り、仕上げにおんどりの羽を大量に使用したヘッドピース(リムジンに乗っての移動中、ヘッドピースがぶつかるので車の床に座っていたとか)のスタイルは、衣装デザイナーのボブ・マッキーが手掛けたもの。
1989年:デミ・ムーア
当時の夫ブルース・ウィルスと出席したデミは、黒のバイカーショーツを着るという大胆なチョイスを披露。しかしながら、レース素材のバイカーショーツとビスチェ、そして刺繍入りケープを合わせた過激スタイルは酷評されてしまうことに……。ちなみに、このドレスをデザインしたのはデミ本人。
1990年:キム・ベイシンガー
1990年のアカデミー賞に自身がデザインしたドレスで登場したキム。大きく広がったボールスカートや片手にはめたサテンのグローブ、そして変形ジャケットという個性的なスタイルは、デミに続き「ワーストドレッサーだ」と酷評される結果に……。
1997年:ニコール・キッドマン
近年はレッドカーペットであまり冒険しないニコールだけれど、1997年のアカデミー賞ではエッジィに攻めていたよう。深いスリットが入った「ディオール」のチャイナドレスは、ファッションリスクを負ってでも冒険する彼女の姿勢が表れた決定的アイテム。
1999年:セリーヌ・ディオン
超モードな服をさらりと着こなすセンスの持ち主であるセリーヌは、1999年のアカデミー賞にジョン・ガリアーノがデザインした裏表を逆にした真っ白なタキシードで降臨。一歩間違えれば失敗するほどの難易度高めのスタイルも、セリーヌの手にかかればモードに着地。
1999年:グウィネス・パルトロウ
『恋におちたシェイクスピア』で最優秀主演女優賞を自身のキャリア初で獲得したグウィネスは、「ラルフローレン」のピンクのボールガウンをチョイス。「ハリー・ウィンストン」のダイヤモンドチョーカーは、その後グウィネスの両親が彼女のために購入。このドレスはポップカルチャーの歴史に深く刻まれた。早速次の年のアカデミー賞では、「サウスパーク」のクリエイターであるマット・ストーンがピンクのスパゲッティストラップガウンを着用してグウィネスにオマージュを捧げたほど。
1999年:シャロン・ストーン
「ヴェラ・ウォン」のライラックカラーのスカートが美しいのはもちろん、注目すべきはシャロンの当時の夫が着ていた「ギャップ」の白シャツをこのスカートに合わせたこと。洗練されたスタイルを手に入れるために高額なお金を使う必要はない、ということを自ら証明。シャロンは「自分のスタイルは、自分のことをどう思っているのかを反映しているの。服よりもアティテュードの方が大事なのよ」と話している。
2001年:ビョーク
エキセントリックなアイルランド出身シンガー、ビョークは2001年のアカデミー賞にマラヤン・ペジョスキーがデザインした白鳥ドレスを纏って登場。主演を務めた映画『ダンサー・イン・ザ・ダーク』の挿入歌「アイヴ・シーン・イット・オール」でアカデミー歌曲賞にノミネートされていたビョークは、「実は6つのダチョウの卵を持っていってレッドカーペットに置いていたの。そうしたら、違うゲストのボディガードがいちいち卵を拾って、強いアメリカンアクセントで『すみません、これを落としましたよ』って持ってきてくれたの」と当時のことを振り返った。
このアイコニックな白鳥ドレスは、それ以来ハロウィーンの仮装アイディアになったり、有名司会者のエレン・デジュネスが真似したりと、まさに歴史に名を刻むドレスに。
2001年:ジュリア・ロバーツ
『エリン・ブロコビッチ』で初めてのアカデミー賞を手にしたジュリアは、ヴィンテージのオートクチュールドレスを着用してレッドカーペットファッション史上に新たな風を吹かせた。色あせることのない、白のパイピングが効いたブラックドレスは1982年の「ヴァレンティノ」のもの。ブランド創設者のヴァレンティノは、このドレスをジュリアが着たことは彼のキャリアのハイライトとなった、と語っている。
2002年:ハル・ベリー
ハルがアフリカ系アメリカ人女性として初のオスカー受賞を果たした、歴史的なこの日。「エリー サーブ」の花とつるが刺繍されたシースルーガウンにサテンスカートを重ねた姿で登場し、ファッション面でも人々の記憶に残るドレスに。