永遠のミューズ、アイリス・アプフェルが残したファッション＆名言をプレイバック

1921年8月29日アメリカ・ニューヨーク生まれ。本人曰く、幼少期よりファッションに強い興味とこだわりをもっていたという。大学在学時はアート史を専攻し、その後アートスクールにも通いさらにアートへの造詣を深める。スクールを卒業した後はアメリカ版『WWD』に勤めメディア業界に身を置くも、夫カール・アプフェルとの結婚を機に、アンティーク家具の修復に特化したテキスタイル会社を夫婦で共同設立。

このビジネスが人気を博し、アイリスはインテリアデザイナーとして成功を収める。その後83歳で引退するまでデザイナー職を続けたというから、そのパワフルさには感心するばかり。

2021年には100歳の誕生日を迎えた。「100歳になったら座って過ごす以外にすることがある？　私はブリッジもしないしゴルフもしない。仕事をするのが大好きでそれを心から楽しんでいる」という言葉通り、2022年には「H&M」とコラボレーション、さらに「シアテ・ロンドン」とのメイクアップコレクションもリリース。

そして2024年3月1日、102歳でその華麗なる人生に幕を閉じた。

インテリアデザイナーとして活躍した当時、家具の修復に必要な素材やファクトリーを探すため、アイリスはカールと共に世界中を飛び回ったという。ビジネスを通じファッションやアートに対する審美眼を磨き、そして旅をするなかで出会った貴重なオートクチュール作品やアンティークを自身のコレクションとして収集するように。このことが後にアイリスの知名度を世界的に高めたメトロポリタン美術館における“アイリス展”へのきっかけに繋がる。

（写真）世界を旅するアイリス＆カール夫妻

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真面目な印象のスカートスーツも、ファーコートや大ぶりのイヤリング＆バングルを合わせてラグジュアリーなムードに。大胆なアレンジセンスは若い頃から。

今よりはシンプルな印象だけれども、アイリス・アプフェルのトレードマークでもある大ぶりフレームの丸メガネを当時もおしゃれのアクセントに。

ネックレスを幾重にも重ね、ブレスレット＆イヤリングも存在のあるデザインをセレクト。アイリスならではの“盛る”ファッションはこの頃から既に健在。

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デコラティブなコートに個性的なストライプ柄スカート＆赤いタイツを合わせ、アイコニックな大ぶりのアクセサリーでさらに盛って、派手なくらいがちょうどいい。

NYのイベントにて。エメラルド×スカイブルーという来場者の目を奪うカラーコーディネート。決してトゥーマッチに見えないのは彼女の個性があってこそ。

2006年、御年85歳。成熟したエレガンスと着る人の個性が感じられるデニムスタイル。メガネのフレームはじめ鮮やかな赤い小物を随所に効かせて。

自宅にてくつろぎのコーヒータイム。ブルーのガウンにアクセサリーでインパクトをオン。おしゃれは人と会うからするものではなく、彼女にとって飾ることは日常。メガネのマグカップもキュート♡

NYでの出会いから2015年に彼が亡くなるまでの約70年間、ずっと一緒に過ごしたアイリス＆カール夫妻。最後までお互いへの愛を語っていたという二人の関係は憧れの的。

2005年、アイリスが一躍注目を集めることになる出来事が起こる。当時NYのメトロポリタン美術館で予定されていた某展覧会がキャンセルになり、急遽ほかの代替案が必要に。そこで声が掛かったのが、既にコレクターとして一部の人に知られていたアイリス。彼女の所有しているコスチュームジュエリーを披露した展覧会は大きな反響を呼び、歴史的な来場者数を記録したという。

アイリスと同じくNY在住、映画『SATC』の続編も話題の女優サラ・ジェシカ・パーカーと談笑。明るいキャラクターで愛されるアイリスはセレブやデザイナー、モデルとも仲良しで幅広い人脈をもつ。

アイリス主催の食事会のワンシーン。出席者のドレスコードは彼女のトレードマークの“丸メガネ”！　US版『ELLE』のエディターほかモード誌のエディターたちに囲まれて。

2015年、アイリスのドキュメタリー映画『アイリス・アプフェル！ 94歳のニューヨーカー』が全米公開。彼女のファッション、ライフスタイル、そして人柄に密着した本作品は大反響。映画は後に日本はじめ他国でも公開され、アイリスは世界一有名なグランマに。

2018年、アイリスをモデルにしたバービー人形が発売に。シルバーヘアー＆丸メガネがアイコニック。これまでバービー人形がリリースされたアイコンはグレース・ケリー、オードリー・ヘプバーンなど錚々たる顔ぶれ。アイリスの偉大さを改めて知るニュースだった。

トップモデルのカロリナ・クルコヴァと共にコレクション会場にて。新しいデザインやファッションのチェックに余念がない、飽く無き好奇心はさすが。

CMは当時アメリカだけでなく日本でも放映。アクセサリー使いでフリースコートをアイリス流に着こなした。CM終盤の「昔のことは、忘れたわ」というユーモアたっぷりの決め台詞がアイリスらしい。

スタイルアイコンやインフルエンサーとして活躍する一方、実は彼女、有名事務所に所属するモデルとしての顔ももつ。契約時の年齢は97歳！　いくつになってもチャレンジする精神に感服。

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アイリスの言葉のひとつひとつは、彼女のフィロソフィーや生き方、そしてファッションへの愛を物語る。ここからはアイリス・アプフェルの10の名言をご紹介。きっと人生のヒントが見つかるはず。

これは彼女がインタビューでよく口にするフレーズ“スタイル”。彼女にとって“スタイル”とは服をまとうことではなく、確固たる個性。

ファッションにおいてもあえてありふれたスタイリングやアイテム選びはしない。枠に捉われないさまは彼女の生き方そのもの。