フランス通信社の報道によると高田賢三氏は現地時間10月4日（日）、パリ郊外にあるアメリカンホスピタルで新型コロナウイルスによる合併症のため逝去した。81歳だった。
文化服装学院を卒業後、1965年にフランスのマルセイユに渡った高田氏。1970年にパリにブティック「ジャングル・ジャップ」を開店、同年に初のコレクションを発表した。それ以後、フランスのファッション界に進出した最初の日本人デザイナーとして活躍してきた。1983年にはメンズプレタポルテコレクションを発表。1988年には香水をリリースし、そのユニークな世界を広げてきた。
1993年にLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトンにブランドを売却、99年にブランドのデザイナーを退いた。2016年にはフランス政府からレジオン・ドヌール勲章シュヴァリエを受章、長年のファッション界への貢献を称えられている。今年1月には新たなライフスタイル＆ホームウェアブランド「K3」を立ち上げたばかりだった。
日本から船に乗り香港、ベトナム、インド経由でマルセイユに到着したときには片言のフランス語しか話せず、生活資金もほとんどなかったという高田氏。パリに知り合いもいなかった。2016年、ニュースサイト「フランスインフォ」のインタビューでは「日本を離れたときには半年ぐらいフランスで過ごそうと思っていた。50年経っても、その生活が続いているのを嬉しく思う」と語っていた。
パリ市長のアンヌ・イダルゴは「訃報を聞いて大変悲しく思います。彼は計り知れない才能を持ったクリエイターであり、ファッション界に色彩と光を与えてくれました。パリは今日、その息子の死を悼みます」とコメントしている。多くのデザイナーに影響を与え、長年ファッション界を牽引してきた高田氏。安らかな眠りを祈りたい。
