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環境汚染や気候変動など、人間の営為によるさまざまな悪影響が出てきている今日、一人ひとりが行動を起こすことが大切。「サステナブルでエコな生活って大変そう」と思っている人にぜひ読んでほしい、オフィスや自宅ですぐスタートできる地球に優しくなれる10の方法をご紹介。US版『ELLE』より。
サステナブル=完璧、じゃなくていい
缶入り飲料をまとめるためのプラスチックリングをあたかも自慢のネックレスのように巻き付けた亀や、ペットボトルのフタを自分の家にしているヤドカリの姿を見ると、我々は普段いかに自分たちの無駄の多い生活が環境に悪影響を及ぼしているかを痛感する。
エコを実践する方法は無数にあるし、同時にゴミを出さない生活をするインフルエンサーたちに、自分の選択が罪深いと感じさせられているかもしれないが、サステナブルになるということは別に完璧になれ、ということではない。害になるような行いを減らして、新しい習慣を身につけるということだ。
サステナビリティは人に伝染する
PCやプリンターなどハードウェアの製造・開発を行う「HP」が行った最近の調査では、61%以上の労働者が、サステナビリティへの視点は現代のビジネスにおいて必須だと考えており、雇用主が社会的責任を率先して果たそうとする企業では、従業員はパフォーマンスが向上したり仕事の満足度が増す、という結果が出ている。
「サステナビリティは人に伝染しやすい、と分かっています」と語るのはニューヨーク州環境保全省の環境プログラムの専門家であるブレンダン・ウッドラフ氏だ。同氏によると人は、一度誰かがサステナブルなことを実践しているのを見ると、自分たちもそれをやってみようとする傾向があるという。これはすなわち、あなた1人の行動をきっかけに、世界は大きく変わることもあり得るということだ。
以下では、地球にとってより良い存在になるために自宅や職場で実践できる簡単な10の方法を紹介する。まずは自分のできるところから始めてみよう。
自宅編
残り物を捨てないで再利用
昼食に5つのタコスを買って、食べきれずにそのうちの2個をすぐにゴミ箱に捨ててしまうことを考えてみよう。実は、これはアメリカ人が日常的に食べ物に対して行っている行為だ。我々はその40%を食べずに廃棄している。昨日の残り物を、タコスの具にするなど食べ物のゴミを減らす努力をしよう。
「家族に『今晩はタコスだよ』と言ったら、彼らは残り物でもずっと嬉しい気持ちになるでしょう」とウッドラフ氏。もしタコスがお嫌いなら(そんな人がいるとすればだが)、何でも具材にしてしまうキッシュもおすすめだ。
固形のシャンプーを使ってみる
ペットボトル入りの水を買うのをやめたのはgood。では、次のステップとして固形のクレンザーに変えて、使い捨てプラスチックボトルの消費を減らしてみよう。「私は固形タイプのシャンプーとコンディショナーに切り替えましたが、(液体シャンプーと比べて)遜色ありません」とウッドラフ氏。「Humankind」や「Meow Meow Tweet」、「Ethique」などでは、しなやかで素晴らしい香りの髪に仕上がりながら、プラスチックボトルのゴミを全く出さない、ナチュラル系のシャンプーバーが購入できる。(「Ethique」のシャンプーバー1個は、液体シャンプー3本分に相当する!)
リサイクル済み家電製品にアップグレード
ホームオフィス用のデバイスを揃えるときは、リサイクル済みの材料で作られたものを選ぶようにしよう。例えば「HP」の“Tango”シリーズは、他の家電製品からリサイクルされたプラスチックを30%使用して作られている。Amazon Alexa、Google アシスタント、Microsoft Cortana を使用した音声印刷をサポートしており、使用済みインクカートリッジのリサイクルプログラムもある(米国)。
盲目的に「リサイクル」はNG
もしあなたが油でギトギトのピザの箱や、ポンプ付きボトル、コーヒーカップ、ヨレヨレのプラスチックの袋などを何でもリサイクルボックスに突っ込んで、うまくいくように望んでいるなら、あなたはおそらく「気持ちだけリサイクル」の人だ。何がリサイクルできて、何ができないからは国や自治体ごとに異なるうえ、上記のようなゴミは、リサイクルするために集められた積荷全体を汚染してしまい、全部が埋め立て所行きになってしまう可能性もあるとウッドラフ氏は指摘する。自治体や契約している回収業者に連絡して、受け付けてもらえるものがどんなものか確認しよう。
皿洗いは寝ている間に
(満杯になった)食洗機を運転させるのは夜遅くが最適だ。「負荷の少ない夜は電気料金は最も安くなります」とウッドラフ氏。ピーク時には、電気の需要が最大化するため、電気会社はもっとも非効率な発電所まで稼働させて電気を供給することを行っている。それゆえ「皿洗いを夜に行うことは二酸化炭素消費を減らすことになります」とウッドラフ氏は語る。それに、食洗機の心を鎮めるようなホワイトノイズは、あなたの寝付きを良くしてくれるはずだ。
職場編
オフィスが寒すぎる場合は設定温度を上げる
職場によっては夏中よろこんでエアコンの冷たい風で冷やしているところもある。オフィスの室温がミニ冷蔵庫の庫内と同じくらい寒いと、我々はオフィスの椅子にかけっぱなしの薄汚いカーディガンをいそいそと着込むはめになる。これは誰にとっても喜ばしいことではない。
「もし自分たちがコントロールできる環境ならば、設定温度を上げましょう。エネルギーや経費の節減になります」とウッドラフ氏。大企業で働いている場合は? オフィスのマネージャーになにか改善できるのではないかと提案してみよう。
食器&カトラリーをデスクに常備
プラスチックの持ち帰り容器に入ったランチはあなたにはふさわしくない。本物のお椀や、お皿、飲み物を入れるグラス、銀のカトラリーなどを用意してみよう。「ランチや軽食、お祝いのときのためにお皿とカトラリーのフルセットを自分のデスクに置いておきましょう」とウッドラフ氏。「もしケーキが切り分けられたら、自分のお皿を持っていく。そうすればゴミはでません」
印刷するときは意識して
オフィスではどうしても発生してしまう書類仕事。前述の「HP」の調査では中小企業のオーナーは自分たちの仕事にプリンタは必須だと語っている。ウッドラフ氏は印刷時は再生紙を使用することを勧める。同じプリンタを複数人でシェアすることも省エネに効果的だ。
チャック付きサンドイッチ袋をやめてみる
毎食のデスクランチをメーソンジャーに入れてくることは不可能。それゆえ、チャック付きのサンドイッチ袋を諦めるのが難しいのはよく分かる。軽くて、封ができて、軽食を入れるのにぴったり、そして……捨てられる。幸運なことに、最近では再利用可能で写真映えもするおしゃれな代替品が登場している。
ウッドラフ氏によると「最近では様々な色やパターンのデザインにこだわった代替アイテムが登場しており、それらは機能性も抜群」だという。例えば、シックなデザインで、耐久性もある食品バッグの「Lunchskins」や、食洗機OKの「(Re)Zip」、真空料理やレンジ調理にも使える食品グレードのシリコン製容器「Stasher」(写真)など。自分のお気に入りを見つけてみよう。
不用品をシェアする場を
クライアントから花束をもらったけど、自分は鼻がムズムズしてしまう、ブランドロゴ付きのステンレス製の水筒を気づいたら17個も持っていた、テープカッターがなぜか手元に3つもある。そういったことはないだろうか?「バインダーやノート、ペン、ちょっとした家具などオフィス用品をシェアできる場所を設けましょう」とウッドラフ氏。そうすれば、花束が捨てられることはないし(それって悲しすぎる!)、みんなが喉を潤すことができるし、備品を注文する担当者があとで数え切れないほどのテープカッターに囲まれて困ることもないだろう。
Translation & Text : Naoko Ogata