さまざまな角度からアプローチする作品で社会の流れや背景を知って、時代の波にのろう! エル・ジャポン11月号より。
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監督や脚本家、プロデューサーなど、女性が製作に参加する作品や、ステレオタイプでない女性が描かれる新作映画にエンタメの未来を見いだしたい!
『ワンダーウーマン 1984』
アメコミ史上初の単独女性ヒーローとして数々の記録を打ち立てた主人公が、1984年を舞台にスクリーンに返り咲く。超人的な強さをもちながらエレガントでハートフルな最強戦士は、悪と戦うだけでなく、悪人を善へと導くニューヒーロー。元兵士、2児の母のガル・ガドットがまさにハマり役。12月25日より、全国にて公開。
前作に続き監督を務めるパティ・ジェンキンスは、シャーリーズ・セロンにアカデミー賞主演女優賞を取らせた『モンスター』後、14年間かけて念願の企画を手繰り寄せ、大ヒットに導いた。大作映画に女性監督起用の先鞭を付けたもうひとりのワンダーウーマン。
『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』
マドレーヌ(レア・セドゥ)と結ばれ、MI6を引退したジェームズ・ボンドからコードネーム「007」を引き継ぐ黒人女性スパイが登場する画期的な最新作!ジャマイカ出身のラシャーナ・リンチ演じるクールなスパイは、ボンドの口説きに屈しない「ボンド・ガール」ならぬ「ボンド・ウーマン」として活躍する。11月20日より、全国にて公開。
『フリーバッグ』や『キリング・イヴ』など話題のドラマを生み出している、’85年生まれの若き才能、フィービー・ウォーラー=ブリッジが、007シリーズのボンド・ガールをジェンダー・ポリティックスの視点から描き直し、25作目となるシリーズに新風を吹き込んでいる。
「別れ」がテーマのエモーショナルなテーマ曲を歌うのは音楽界の若きカリスマ、ビリー・アイリッシュ。
『ブラック・ウィドウ』
人気のスカーレット・ヨハンソンが孤高のスパイを好演してきた「ブラック・ウィドウ」。女性監督ケイト・ショートランドが製作する本作では、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』でも輝いたフローレンス・ピュー扮するエレーナにヒーローのバトンが渡されるのか、乞うご期待! 11月6日より、全国にて公開。
ブラック・ウィドウにスカヨハに加え、“妹”エレーナにフローレンス・ピュー、“母”メリーナにレイチェル・ワイズ。
『フェアウェル』
北京の祖母がガンで余命3カ月だが、家族は病状を隠すという。NYに暮らす孫娘は家族の「うそ」に反対しながら北京へ。『クレイジー・リッチ!』に次ぐ中華系女性映画は主演にオークワフィナを得て大ヒット。中国と米国、二つに引き裂かれる主人公は、大切なものを選び取る。10月2日より、TOHOシネマズ 日比谷ほかにて公開。
’83年に北京で生まれ、アメリカ・マイアミ育ち、ボストンで学んだ監督のルル・ワン。ピアニストから映画監督に転身し、自身の体験をもとに脚本を書き下ろした長編第2作目。話題の映画会社「A24」によって配給、ゴールデングローブ賞にノミネートされ注目を浴びた。
『エマ、愛の罠』
アカデミー賞外国語映画賞受賞作『ナチュラルウーマン』を製作したチリのパブロ・ラライン監督が描く主人公エマは、ダンサーとして鍛え上げた美しい肢体に強烈な思いを秘め、望むものを手に入れるために突き進む。男も女も引きつける斬新なヒロインは、モラルもジェンダーも運命さえも軽々と飛び越える。10月2日より、新宿シネマカリテほかにて公開。
『燃ゆる女の肖像』
見合いのための肖像画を頼まれた女性画家と、望まぬ結婚のため呼び戻された貴族の娘。18世紀、ブルターニュの孤島で出会った女性たちは、互いの裡に同じ炎を感じ取り、魂を通わせる。束の間の恋が永遠になる物語は、今に通じる結婚、非婚、妊娠、仕事、女性の連帯を静かに浮かびあげる。12月4日より、TOHOシネマズシャンテほかにて公開。
アデル・エネルと組んだ『水の中のつぼみ』など、ジェンダーへの揺れる思いを繊細に描き、『ぼくの名前はズッキーニ』の脚本も話題になったフランスの実力派監督セリーヌ・シアマ。元パートナーのエネルを起用した本作で、カンヌ国際映画祭の脚本賞とクィアパルム賞受賞。
『パピチャ 未来へのランウェイ』
内紛渦巻く’90年代のアルジェリア、ファッションデザイナーを目指す大学生が命を賭して夢を追いかける。「パピチャ」とはアルジェリアのスラングで、愉快で魅力的で常識にとらわれない自由な女性の意。今なお伝統や宗教の名の下に抑圧される女性に向け、エールを送る。10月30日より、Bunkamuraル・シネマほかにて公開。
カンヌ国際映画祭出品後、セザール賞の新人監督賞と新人女優賞を獲得したのは、’90年代のアルジェリア内紛を経て、フランス移住した監督ムニア・メドゥール(中央)と主演リナ・クードリ(右から2人目)。リナはウェス・アンダーソンの新作でティモシー・シャラメと共演。
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