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1『マトリックス』(1999)
Ronald Siemoneit//Getty Images 斬新な世界観で全世界を魅了した革新的SFアクション『マトリックス』が、日本が誇るアニメーション映画『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』(1995)から大きな影響を受けているのは有名な話。
プロデューサーのジョエル・シルバーも「監督のウォシャウスキー兄弟が、『実写化したい』と私にこの映画を見せてきた」と話しており、2作を比較してみると、設定やアクションシーンの描き方などさまざまな類似点に気付くはず。
なお新型コロナウイルス感染症の影響で撮影が中断している『マトリックス』の第4弾はつい先日、公開が2021年から2022年に延期されることとなってしまったが、その分待つ楽しみが増えたかも?
2『インセプション』(2010)
Aflo レオナルド・ディカプリオやトム・ハーディ、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、渡辺謙ら豪華キャストが集った、クリストファー・ノーラン監督によるSF映画『インセプション』。クールな映像とその撮影方法に度肝を抜かれる人が続出したが、筒井康隆の同名小説をアニメ映画化した今敏監督の『パプリカ』(2006)との共通点を指摘されており、報道によるとノーラン監督は実際に『パプリカ』がインスピレーションとなったとも語っているそう。
他人の夢に入り込んだり、さらにそこで起こったことが現実世界にも影響したりというアイディアは、確かにソックリ。
3『ダンケルク』(2017)
Aflo ハリー・スタイルズの出演も話題になった、同じくノーラン監督の戦争映画『ダンケルク』も、日本を代表する超有名映画からアイディアを拝借。
その作品とは、ノーラン自身も何度も観ているという黒澤明の『羅生門』(1950)。ノーランは「物事をさまざまな観点からとらえ、異なるストーリーが散在しているように見せながらひとつの大きな物語を語っていく手法に影響を受けた」と来日時のインタビューで明かしている。
『羅生門』における“ひとつの事件を異なる複数の視点から語る”という手法は、海外でも「Rashomon Style」などと呼ばれ広く知られており、数多くの作品に影響を及ぼしているので、インスパイアされた映画を知らないうちに観ている人も多いはず。
4『去年マリエンバートで』(1961)
Evening Standard//Getty Images 時代も国籍も不明なバロック風の豪華なホテルを舞台に、女A、男X、男Mの3人の関係をバラバラの時系列で描く幻想的なこの物語。Mの妻であるAに「去年お会いしましたよね?」と語りかけるX、覚えがないと否定するA、さらに「自分たちは愛し合った」「1年後に駆け落ちする約束もした」と言うX……。
“映画史上最も難解な映画のひとつ”“人類の芸術遺産”と呼ばれ、後のクリエイターたちに大きな影響を与えたこちらも、『羅生門』に影響されたことで有名な1作。さらに、前述の『インセプション』も今作との類似点を指摘されている。またヒロイン(デルフィーヌ・セイリグ)のドレスのいくつかを、かのガブリエル・シャネルがデザインしたことでも有名。
5『ブラック・スワン』(2010)
Aflo 自身の心の闇に飲み込まれてゆくバレエダンサーを描き、ナタリー・ポートマンにアカデミー賞主演女優賞をもたらした、ダーレン・アロノフスキー監督によるこのサイコスリラーは、今敏監督によるアニメーション映画『PERFECT BLUE』(1998)の影響が色濃く見て取れることでも知られる。それもそのはず、アロノフスキー監督はその権利を購入していたと報じられており、映像化は実現しなかったものの、着想を得たのは間違いないと主張するファンも多数。
ちなみに、同じくアロノフスキー監督の『レクイエム・フォー・ドリーム』(2000)も、このアニメからの影響を少なからず受けているようで、非常によく似たシーンが存在する。
6『パニック・ルーム』(2002)
Columbia Pictures//Getty Images 伝説的作品『セブン』(1995)や『ファイトクラブ』(1999)で高い支持を集めるデヴィッド・フィンチャー監督作『パニック・ルーム』も、過去の有名映画からの影響が見受けられる。
脚本を読んだフィンチャーは、アルフレッド・ヒッチコック監督の傑作サスペンス『裏窓』(1954)と、サム・ペキンパー監督の『わらの犬』(1971)を合わせたような話だが、現代の観客はあの大ヒットコメディ『ホームアローン』(1990)を思い浮かべるかも、と語ったそう。確かに、3作すべての要素が絶妙にブレンドされているかも。
7『ジョーカー』(2019)
© 2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC Comics バットマンの敵として名高いジョーカーの誕生秘話を、ホアキン・フェニックス主演で描き大ヒットした『ジョーカー』。こちらも、過去の名作が大きな着想源となっている。それは、『ジョーカー』にも重要な役どころで登場した大御所俳優ロバート・デ・ニーロが主演する、『タクシードライバー』(1976)と『キング・オブ・コメディ』(1982)の2作。
どちらも、社会に取り残された男が次第に狂気にとらわれてゆくという“悲劇と喜劇は紙一重”な、『ジョーカー』と非常によく似たストーリー。監督トッド・フィリップスは2作の大ファンであるとも公言しているそうで、着想源というよりは明らかなオマージュとも言えそう。この2本、どちらも70年代&80年代を代表する作品なので、未見の人は一度は観ておいて。
8『ミッドサマー』(2019)
Aflo 公開前から大きな話題を呼んでいた『ミッドサマー』も、いろいろな映画からヒントを得ていることが、アリ・アスター監督本人により明らかになっている。
尼僧院が舞台の人間ドラマ『黒水仙』(1947)、とあるカップルの結婚と離婚を描く『ある結婚の風景』(1974)、ヒロインが痛ましい運命に翻弄される『ドッグヴィル』(2003)など複数の映画が着想源だそうで、どれも印象深い作品なので、気になる人はチェックしておこう。
なお『ミッドサマー』はその残虐なシーンからホラーにカテゴライズされがちだが、監督いわく「ホラーというよりはダークコメディ&失恋映画」なのだとか……。