皮膚科医が伝授! 「マスク肌荒れ」を解決するスキンケア&マスクの正しい着け方
マスクは上下にずらさず、必ず耳から外そう。
新型コロナウイルスの感染拡大が止まない中、マスク着用はニューノーマルに。その代償として急増しているのが、マスクによる肌トラブル。ニキビが増えた、チクチクと刺激を感じる、かゆみが出たなど……。“マスク肌アレ”を防ぐ方法やケア法を、美容皮膚科医の野本真由美先生が伝授。快適なマスクライフを送るべく、しっかりチェックして。
なぜ、マスクをしていると肌トラブルが起こるの?
顔は血流が多く、熱がこもりやすい部位です。顔が冷える、などという訴えはほぼありません。その部位を布などで覆うと、皮膚の温度が上がります。皮膚の温度が1度上がると皮脂は10%増えることが報告されているため、毛穴詰まり、ニキビ、Tゾーンの脂漏性皮膚炎などの毛包脂腺系のトラブルが起こりやすくなります。
またマスク内は、呼気の影響もあり高い湿度になります。高い湿度により角質水分量が増え過ぎると、経皮水分蒸散量(TEWL)が上昇して皮膚のバリア機能が低下します。そのため、マスクや汗、髪の毛など外的因子に刺激を感じやすく、スキンケアやメイクにおいても刺激性接触皮膚炎を起こしやすい状態になります。
マスクによる肌トラブル、どんな症状があるの?
以下の8つが代表的なものです。
☑皮脂が多くなる
☑毛穴が詰まりやすい
☑ニキビが増える
☑鼻の周りが赤くなりやすい
☑肌がざらざらする
☑かゆい発疹がでる
☑汗をかくとチクチク刺激を感じる
☑シミが目立つようになる
どんなケアをするのがおすすめ?
「皮脂が多くなる」「毛穴が詰まりやすい」「ニキビが増えた」「鼻の周りが赤くなりやすい」の4つについては、朝晩2回、洗顔料を使ってしっかり洗浄することが大切です。つけるアイテムは、オイル美容や油性成分の多いスキンケア、ファンデーションを避けて、「落とす&補う」の両面からオイルコントロールをしましょう。
「肌がざらざらする」「かゆい発疹が出る」「汗をかくとチクチク刺激を感じる」については、バリア機能低下によりターンオーバーが亢進する影響で、刺激やかゆみを感じやすくなるためです。悪化因子となる物理的・科学的刺激を回避しましょう。
「シミが目立つようになる」に対しては、マスクをできるだけ上下に動かさず、耳から外すように心がけることと、紫外線対策を万全にすることが大切です。
肌トラブルが発生しているとき、スキンケアやメイクで注意すべき点は?
8つのポイントをお伝えしましょう。
1 洗顔アイテムを低刺激にする
アルカリの純石鹸をやめて弱酸性の低刺激石鹸か洗顔フォームに替え、スクラブ洗顔を避けること。
2 短時間で洗う
クレンジングでマッサージなどはしない。
3 ふき取りアイテムを使わない
4 スキンケアアイテムを3つ以内にできるだけしぼる
5 化粧水やシートマスクなど、水っぽいものはしみやすいので避ける
6 ブラシ類を使わない
手で洗い、手か清潔なパフでメイクをする。
7 ノンコメドジェニックテスト済みのコスメを使う
※ノンコメドジェニックテストとは、ニキビのもとになりにくいことを確認するテストのこと。
8 油性成分の多いリキットタイプのメイクは控える
肌トラブルがあるとき、どんな日焼け止めを使うのがおすすめ?
紫外線吸収剤を使わず、ノンケミカル、あるいは紫外線散乱剤のみと記載されたものを使いましょう。基剤はクリームではなく、油性成分の少ないパウダー状のアイテムを重ねづけするのがおすすめです。ノンコメドジェニックテスト済みの記載があればベストです。
肌トラブルを防ぐマスクの正しい着け方は?
1 マスクは上下にずらさない
2 外すときは、必ず耳から外す
3 不織布マスクの内側に、ガーゼやハンカチをマスクの形に合わせて切って入れる
感染症対策にはコットンより不織布マスクのほうがベター。ガーゼやハンカチを入れると肌環境がよくなります。ただし切らずに畳むと苦しくなり、布が小さいとマスクの中で動くので摩擦の原因になります。切ったガーゼやハンカチは、使い捨てにしてください。
4 ゴムがついている部位を外側にして装着する
マスク角の摩擦刺激が少なくなります。
5 コットンマスクの場合、縫い目や折り目が皮膚の刺激になりにくいものを選ぶ
マスクを外したときに跡がついていない状態がベストです。
6 肌が弱い人は、不織布の上部のワイヤーを外す
もしくは、ワイヤー部位にガーゼが触れるように、マスクの内側から5mmガーゼがはみ出るように着用するとよいでしょう。
7 マスクは少し余裕のあるサイズを選び、内側をコットンの布で調節して隙間を埋める
サイズが小さいと皮膚の摩擦が増し、大きいと感染症対策にならないので、少し余裕のあるサイズを選んで隙間をコットンで調節しましょう。
8 マスクの折り目を全て広げてから着ける
畳んだまま装着すると蒸れやすくなります。
9 マスクを外して再度着けるときは、内側のガーゼを裏返して装着する
飛沫に再度触れない、メイクが再度つかない、汗が再度付着しないなど、衛生的です。
10 海外製品のマスクで、ホルムアルデヒドなどでアレルギーを起こすことがあるので要注意
肌トラブルが一度治まりました。再発を予防する方法は?
これまでと同じスキンケアにすぐに戻さず、皮膚が入れ替わるまで最低30日間は、肌に優しいケアを継続させましょう。
感染症対策として、マスクを着ける際に守るべきポイントは?
まず、アゴにマスクをかけるのは、感染症対策からするとNGです。また、何度も着けたり外したりしないことも大切です。隙間ができていないか、話すと下がらないかを意識して着けましょう。それから、マスクは使い捨てが基本。マスク内のコットンも毎回捨てることもとても大切です。
マスクスプレーやアロマオイルなどは使ってもOK?
皮膚が強い方のみ可能です。できるだけマスクから遠い距離でつけましょう。
マスク生活を続けながらも、エイジングケアはしっかりやりたい。どんな成分に注目すべき?
「水は腐り、油は錆びやすい」という化学の原則を思い出し、老化の主犯格である「酸化」が起きやすい油をコントロールすることが大切。ビタミンCやフラーレンなどの抗酸化ケアを取り入れるとよいでしょう。
今回、お話を聞いたのは野本真由美先生
野本真由美クリニック銀座院長。ゼオスキンヘルスを作ったオバジ先生が国内で唯一認める教育ドクターであり、美容漢方の第一人者。西洋の美容医学と伝統的な東洋医学のメリットを融合した独自の美容皮膚科治療プログラムを提供している。また全国一の症例数をもつIPL(Intens Pulse Light)クリニックでもあり、IPLを使って赤み、シミ、くすみ、脱毛、皮脂腺の抑制を同時に行うことを得意としている。