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8人の英国ロイヤルメンバーにまつわる、メンタルヘルス事情

ロイヤルファミリーも私たちと同じく、心に問題も抱えるしセラピー受診もする

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英国ロイヤルファミリー
Getty Images

Netflixの大ヒットドラマ『ザ・クラウン』では、ヘレナ・ボナム・カーター演じるマーガレット王女(エリザベス女王の妹)がさまざまな問題に取り組むうちに心を病み、セラピーを受けるという場面が描かれた。

実際の英国王室では、ダイアナ元妃が過食症や産後うつについて公に話した最初の王室メンバーであり、以後メンタルヘルスに対するロイヤルファミリーのアプローチは大きく変わってきている。彼女の息子ウィリアム王子とヘンリー王子は、キャサリン妃と一緒に心のケアに取り組む慈善団体「ヘッズ・トゥギャザー(Heads Together)」を発足。

また、実際にセラピーを受けていることを公表しているメンバーもおり、王室の情報筋はオーストラリアの『New Idea』誌に対し、エリザベス女王が一族内の緊張を和らげるために家族でカウンセリングセッションを考えていることを明らかにもしている。

そこで、セラピーを受けたことやメンタルヘルスについて公に語ったことがある、8人のロイヤルファミリーを紹介。

Photos: Getty Images Translation: Ai Ono From ELLE

ダイアナ元妃

ダイアナ妃 メンタルヘルス
Tim Graham//Getty Images

「おそらく私はこのファミリーで初めてうつ病になった、もしくは公然と涙を流した人間かもしれません。それは非常に困難なことでした。今までに経験のないことを、どうやってサポートできますか?」とダイアナ元妃は1995年にBBC『パノラマ』のインタビューで告白している。

彼女は、産後うつや過食症、そしてチャールズ皇太子との夫婦間の問題のために治療を必要としていることをオープンに語った。

「朝、ベッドから出たくないと思いながら目を覚まし、誤解されていると感じ、そしてとにかく自分がダメだという気分になりました」

「私は多くの治療を受けましたが、実際に必要なのは、自分が担うさまざまな役割すべてに適応するためのスペースと時間なのだということをわかっていました。自分にはできるということはわかっていましたが、忍耐強くいてくれる、そしてそのスペースを与えてくれる人々が、私には必要だったのです」と思いを明かしている。

チャールズ皇太子

チャールズ皇太子 ロイヤルファミリー メンタルヘルス
Tim Graham//Getty Images

王室記者で伝記作家でもあるサリー・ベデル・スミスによると、チャールズ皇太子は結婚の初期に助けを必要として以来、アラン・マクグラシャン医師のセッションに14年間参加し続けていたとのこと。

ベデル・スミスは、「チャールズの友人であるローレンス・ヴァン・デル・ポストによると、マクグラシャン医師はチャールズについて『自発的で自然な愛情を誤解し、求めている』と感じ、『皇太子の自然な精神を尊重した』と述べている」と伝えている。

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マーガレット王女

マーガレット王女 ロイヤルファミリー メンタルヘルス
George Freston//Getty Images

Netflixの『ザ・クラウン』の第4シーズンでも描かれているように、マーガレット王女は1970年代にアンソニー・アームストロング=ジョーンズ(初代スノードン伯爵)と離婚した後、セラピーに頼ったという。

『ガーディアン』によれば、王女は離婚によってノイローゼに苦しみ、うつ病の治療を精神科医のマーク・コリンズに頼んだという。しかし王女は、私的な問題や一般の人々にセラピーを勧めるような発言は一切することはなかった。

ウィリアム王子

ウィリアム王子 ロイヤルファミリー メンタルヘルス
Chris Jackson//Getty Images

ウィリアム王子は、軍隊で過ごした時間がメンタルに影響を与えたと述べている。「私が自分の問題を感じ始めたのは、救急ヘリの仕事からでした」と2019年に開催した「ヘッズ・トゥギャザー」のイベントで告白。

彼は「毎日毎日多くの人々のトラウマに対処していましたが、私たちの体はそういったことに対応できるようにはできていません。自分だけで対処できることではないのです」と続け、「何らかの理由で、私たちは感情的になることをためらっていると思います。特に我々イギリス人は、自分の感情を表に出すことを非常に恥ずかしいことだと思っているのです」と訴えていた。

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キャサリン妃

キャサリン妃 ロイヤルファミリー メンタルヘルス
Tim P. Whitby//Getty Images

キャサリン妃が自身のメンタルについて口にすることはあまりないが、夫ウィリアム王子やヘンリー王子と共に立ち上げた「ヘッズ・トゥギャザー」をプロモーションしながら、メンタルヘルスの課題について話をしていた。

2017年、妃は母親になるという圧倒的な経験について「ルールブックはなく、正しいも悪いもありません。自分で作り上げ、家族の世話をするために最善を尽くすだけです。私を含め多くの母親にとって、このことは時に自信をなくし、自分は世間知らずなのかと感じさせてしまいます」とコメント。

続けて「悲しいことに、一部の母親たちにとっては、メンタルヘルスによりそれがさらに難しくなってしまうのだと思います」と投げかけ、「もし妊娠中に発熱したときは、医師の助言とサポートを求めますよね。メンタルヘルスのために助けを求めることもまったく同じことです。子どもたちのためにも、自分で自分の面倒を見て、必要なサポートを受けてください」と訴えた。

ヘンリー王子

ヘンリー王子 ロイヤルファミリー メンタルヘルス
KOEN VAN WEEL//Getty Images

12歳で母ダイアナを亡くしたことに対処するため、セラピーに頼ったことをオープンにしているヘンリー王子。

2017年には「あらゆる悲しみや嘘や誤解が、あらゆる角度から自分に迫ってくるという状況下で、何度も心が崩壊しかけていました」と『テレグラフ』紙の記者ブライオニー・ゴードンのポッドキャスト『マッド・ワールド』で明かした。

続けて王子は「過去20年間、自分の感情をすべて閉ざしていました」と打ち明け、「私の対処法は現実逃避をすること。考えてもどうにもならないんだからと、母のことを頭から追いやることでした」と告白。

しかし、28歳の時に兄のウィリアム王子の助けを得て、セラピストに「数回以上」会ったそう。「私が体験したのは、一度話し始めると自分がまるで大きなクラブの一員のようだということ。(セラピーを受ければ)まず、どれほどのサポートを得られるか、次に文字通りどれほどの人があなたが正直に話すことを望んでいるのか、そのことに気付かされます」

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メーガン妃

メーガン妃 メンタルヘルス ロイヤルファミリー
WPA Pool//Getty Images

2020年初頭にロイヤルの地位を退いて以来、メーガン妃は個人的な問題についてオープンにしてきた。同年10月には、ハリー王子とともにポッドキャスト番組『ティーンネイジャー・セラピー』に出演。自身のことを「世界で最も嫌がらせを受けた」と語り、メンタルヘルスのために「ジャーナリング」を役立てていることも話した。

その翌月には、『NYタイムズ』紙に寄稿したエッセイのなかで、流産を経験したことも告白。「病院のベッドに座り、粉々になってしまった私のすべてを受け止めようとしながら、悲しみに胸を痛めている夫を見て、癒やすためにまずできることは『大丈夫?』と尋ねることしかないのだと気付きました」と綴った。

また流産を取り巻く社会的なスティグマについても「子を失うということは、耐えがたい悲しみを抱えることを意味し、多くの人が経験しているにも関わらず、話題にのぼることはほとんどありません」「一部の人々は勇気を持ってその話を共有しました。ドアを開けたのです。誰かが真実を話すということは、私たち全員にも同じことができると示されたということなのです」と書いている。

ジェームズ・ミドルトン

ジェームズ・ミドルトン メンタルヘルス
Max Mumby/Indigo//Getty Images

王室の正式なメンバーではないが、キャサリン妃の弟であるジェームズ・ミドルトンも、自身のメンタルヘルスについて公にしている。

2019年、彼は『デイリー・メール』紙にて、うつ病に対処するために認知行動療法を受けたことを公表。その後、キャサリン妃を含む家族のメンバーが一緒に治療に参加してくれたことを明かしており、「私と私の心のがどのように動いているのかを家族に理解してもらうのに役立ち、とても重要なことでした」と話した。

「セラピーが役立ったのは、家族が『私たちにできることは何?』と私に確認する必要がなくなったということです。家族にできることは、一緒にセラピーのセッションに参加してもらい、理解してもらうことだけでした」