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テイラー・スウィフトの新作MV「The Man」に隠されたメッセージを徹底解説

あなたはいくつ見つけられる?

By ELLE Japan
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さて、あなたはいくつ見つけられる? US版『ELLE』より。

テイラーの初監督ミュージックビデオ「The Man」

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
Taylor Swift - The Man (Official Video)
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「もし自分が男だったら」というアイロニカルな視点をテーマに、男性優位社会のダブルスタンダードを痛烈に批判した、テイラー・スウィフトの新曲「The Man」。先月末に公開されたミュージックビデオは、テイラーが初監督を務め、自ら特殊メイクを施して、自分の名前をもじった「タイラー・スウィフト」という男性になりきった。宿敵スクーター・ブラウンやキニエ夫妻へのディスから、自身のドキュメンタリー映画への参照、曲のテーマでもある男性優位社会への批判、意外な人物のカメオ出演まで、ビデオ内にはテイラー流のウィットに富んだメッセージがそこかしこに散りばめられている。テイラーもMVの公開に先がけて、ファンに向けて「イースター・エッグ(隠されたメッセージ)がいくつあるかって? たくさん、たくさんよ!」と書いている。

1. 「13番通り駅」のホーム、アルバム名のグラフィティ、“スクーター使用禁止”のサイン

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MV序盤、テイラーの好きな数字である13にかけた「13番通り駅」のショットでは、それ以外にも様々なシンボルが。テイラー扮する男性主人公タイラーが立ち小便をするホームの壁には、テイラーがこれまでにリリースしたアルバム名のグラフィティ(はっきりと読めるのは『レッド』、『1989』、『スピーク・ナウ』の3タイトル、『テイラー・スウィフト』の文字も見える)と、“スクーター使用禁止”のサイン。これは昨年夏にビック・マシーン・レーベル買収に伴い、テイラーの初期6つのアルバムのマスター音源を手に入れたプロデューサー、スクーター・ブラウンをディスったものだと考えられる。

テイラーはその買収のニュースが出た時に、公開状を出しており、スクーターが彼女のマスターを所有することは「考えられる限り最悪のシナリオ」だとして、それは「彼から何年にも渡って、絶え間なく、巧妙に嫌がらせを受けてきた」からだと訴えている

2.「Bo$$ Scotch」の広告と、その横に描かれた“Greedy(強欲)”という落書き

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「The Man」のリリースに際して、テイラーは“the man”を演じるのは“Bo$$”だと明らかにしていたが、地下鉄車内にはそれをもじったスコッチやウィスキーといったアルコールのハイパーマスキュリンな広告のパロディが登場する。

さらにファンたちは、広告の横に“強欲”と描かれた意味深なグラフィティを発見。おそらくスコット(スコッチにかけた?)・ボルチェッタのことを言っているのでは?と話題になっている。

スコットはビッグ・マシーン・レーベルの共同設立者で、テイラーが若い時に契約を交わした相手。彼はマスター音源をテイラーに売ったり、彼女がそれを所有できるような取引を提示せずに、レーベルごとスクーターに3億ドルで売却した人物だ。

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3. 映画『人類VS廃棄物』のポスター

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地下鉄の車内に貼られた映画広告の「母なる自然に勝ち目なし」というキャッチコピーは、気候変動に対する各国政府指導者たちの反応(地球への関心よりビジネスの利益を優先する)への批判であり、また、アクション映画にありがちなハイパーマスキュリンな広告へのパロディだ。

4. 「ミス・アメリカーナ」のパーカー

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地下鉄の座席に座っている女の子が着ているのは黄色のパーカーで、そのフロントにはアルバム『ラヴァー』に収録された別のトラック「ミス・アメリカーナ & ハートブレイク・プリンス」の名前が。これはアルバム全体へのオマージュか、あるいは次のシングルカット曲へのヒントかも。

5. 地下鉄でのマンスプレッディング

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NY市の地下鉄では男性に向けて「マンスプレッディング」(周囲の迷惑を顧みない男性の大股座り)を自粛するようポスターで呼びかけている(世界中の多くの公共交通機関で同様のキャンペーンが行われている)。地下鉄車両内での喫煙も禁止されている行為だ。テイラー扮する主人公はそのルールを2つとも無視。そして彼の上に掲げられた広告には「だってあなたは自分のしたいことに見合うだけの価値があるから」という男性の迷惑行為を承認するような文言が書かれた広告が。

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6. 「セレブの恋愛で、今年一番の男性は?」というタブロイドの見出し

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このカットで、タイラーが読んでいる新聞の「セレブの恋愛で、今年一番の男性は?」という見出し。これはメディアがテイラー(やその他の女性セレブ)の恋愛生活についてはあげつらうのに、男性の場合は同じような事をしても称賛される、ということに対する彼女の批判と読み取れる。

7. 「ミスター・アメリカーナ」の映画ポスター

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テイラーは彼女のNetflixオリジナルドキュメンタリー映画『ミス・アメリカーナ』のパロディとして、「ミスター・アメリカーナ」のポスターを登場させ、全ての単語を男性名詞にスイッチしてみせた。

「『ミスター・アメリカーナ』はタイラー・スウィフト主演、監督ラリー・ウィルソン、“マンダンス”映画祭でプレミア上映」

実際にはオリジナルのドキュメンタリーはラナ・ウィルソンが監督。サンダンス映画祭でプレミア上映が行われた。

8.「もっと好感が持てる感じで」というダメ出し

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MVの最後のシーンでは、カットがかかり、これまでのシーンを演じたタイラーと、監督のテイラーが対面する。

そして、テイラーは風刺たっぷりに、多くの女性が、特にエンターテイメント業界にいると幾度となく聞かされてきたであろうダメ出しを男性のタイラーに突きつける。

「もうちょっとセクシーにできる?あと今回はもっと好感が持てるように」

その後、テイラーはちょろっと出演している女性(TikTokの人気タレント、ローレン・グレイ)に向かって「ところで、ローレン、そっちは素晴らしかったわ。驚くくらい良かった」とべた褒め。

男性と女性の立場を入れ替えることで、その違和感が浮き彫りにされている。

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9. キム&カニエの自邸風の廊下で19本の手とハイタッチ

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「The Man」のリリース前から、ファンたちはMVに登場する廊下のセットがキム・カーダシアンとカニエ・ウェストの自邸のものと酷似していることに気づいていた。これは、カニエが2009年のMTVビデオ・ミュージック・アワードで起こした「Imma let you finish but(ちょっと俺に言わせてくれ)」事件へのヒントだと考えられる。

また、直前にはタイラーは女性との一夜を過ごしており、このシーンの意味合いについて、女性の場合は一夜限りの関係を持つことが“walk of shame(恥かきの帰路)”になるのに、男性の場合は“put in the hall of fame(殿堂入り)”になる、という不公平さをテイラーは指摘しているのでは?と考察する人々も。

10. 男性はほんの少し子どもの世話をするだけでちやほや

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ビデオ内で、タイラーは公園の噴水に腰かけ、携帯電話でひとしきり話したあとに、おもむろに子どもを抱き上げる。すると周りはたちまち彼を「世界一の素敵なパパ」と取り囲んで称賛する。これは母親と父親で、子どもの世話をするのはどちらかという社会の期待が、大きくバランスを欠いていることへのテイラーの批判が込められている。

11. 100ドル札に描かれたタイラーの肖像

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これまで男性の肖像だけが印刷されてきたアメリカのドル紙幣。

2015年には当時オバマ政権下で財務長官だったジャック・ルーが2020年より10ドル紙幣に女性を採用すると発言。その後、ブロードウェイ・ミュージカル「ハミルトン」の人気もあり、アレクサンダー・ハミルトンが印刷された10ドル紙幣はそのままに、新たに20ドル紙幣の表をアフリカ系アメリカ人女性で奴隷解放運動家のハリエット・タブマンの顔が飾ることが発表された。

ところが2017年から新たに発足したトランプ政権によりその話は延期に。

紙幣に印刷された男性の顔は、アメリカの歴史で男性ばかりが承認され続けてきたことへのテイラーのステートメントだ。

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12. セリーナ・ウィリアムズの参照

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ビデオ内では、主人公が「女性のためのチャリティイベント」で、テニスの試合に出場する(これは、どんな小さなことでも、男性が公に女性をサポートする姿勢を見せるとすぐに称賛される事実を指摘している)。試合中、彼は審判に怒って怒号を浴びせるが、審判はスルー。これは男性プレイヤーの場合良くあることだが、女性の場合は別。2018年のUSオープン決勝戦で審判への同様の態度でペナルティを受けたセリーナ・ウィリアムズの出来事を思い起こさせる描写だ。

13. “ステラ×テイラー スウィフト”コレクションのウォーターボトル

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テニスの試合のシーンでは、自身の商品もさりげなく登場。今では販売していない「ステラ マッカートニー」とのコラボ、“ステラ×テイラー スウィフト”コレクションのウォーターボトルが見える。

14. テイラーのパパがカメオ出演

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テニスの審判役には、テイラーのパパ、スコット・スウィフトがカメオ出演。

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15. 『ウルフ・オブ・ウォール・ストリート』シーンの再現

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MVではレオナルド・ディカプリオの映画『ウルフ・オブ・ウォール・ストリート』を彷彿させるシーンが何度も登場。映画とMVのスチール写真を並べた、ファンによる検証ツイートはこちら。

Translation & Text : Naoko Ogata

Taylor Swift / テイラー・スウィフト

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