ミミ・マクマキンほどフロリダ州パームビーチの魅力をよく理解している人はいないかもしれない。ケンブル・インテリアの創設者であるマクマキンはパームビーチ出身で、彼女と彼女のデザインチームは、伝統的な建築やインテリアを大切にするとともに、海辺の町の魅力をさまざまな方法で再構築し、新しい世代の観光客や移住者を歓迎してきた。それを証明するのが、象徴的なホテルであるザ・コロニーのデザイン。そんな彼女たちがデザインした、パームビーチスタイルの家をご紹介! US版「ハウスビューティフル」より。
ロンドンから引っ越してきた若い家族が、明るく機能的で、家族にやさしい家を作るためのデザイナーを探していたとき、ケンブル・インテリアにたどり着いたのは当然のことだった。マクマキンとケンブル社のセス・ボウマンは、伝統的なパームビーチの家の良さを生かしつつ、アメリカの沿岸部をイメージしたコースタルスタイルを楽しく新鮮にアレンジし、堅苦しさを取り払った美しい家に生まれ変わらせた。
「カラフルで子供にやさしく、犬にもやさしい。それが私たちの生き方だから、それを家にも反映させることは別に難しいことではありません」と、マクマキンは話す。
この家は、モントレー・コロニアル様式で、さまざまな手入れが必要だったが、スミス・アンド・ムーア・アーキテクツのダニエル・カーハンの助けを借りて、ケンブル・インテリアのデザインチームが見事に蘇らせた。「パームビーチの伝統的な家で、骨組みもしっかりしています。気取らない、魅力的な家に仕上がりました」と、マクマキンは言う。
この“気取らず、魅力的に”というモットーは、家全体に反映されている。優れたディテールや心が弾むような柄を取り入れながら、機能的なレイアウトや、ここに住む家族にとっての利便性をも追及されている。
マクマキンは、故郷の魅力について、「人々は堅苦しい生活ではなく、快適な生活を求めてやってくるのです」と、語っている。
マクマキンとボウマンが手掛けたこの家のさまざまなエリアを見ていこう!
リビングルーム
格子の壁について、ボウマンは「パームビーチに歓迎するという意味で、とてもいい方法だと思いました。部屋がまるで庭のように感じられます」と、語る。建築的な特徴があまりない家でも、さまざまなテクスチャーを取り入れることで、面白さや魅力は確実に表現できる。
「この部屋には、建築的な要素があまりありませんでした。高い天井や個性的なモールディングがなかったので、壁にこのような個性を加えました。デザインビジネスでは非常に有効な手法です」と、マクマキンは説明する。外の緑をイメージした柔らかなグリーンを基調とし、性能の良いファブリックを使用した快適な家具を取り揃え、幅広い年齢層に居心地のいい空間を与えてくれる。
サンルーム
リビングルームの隣には、バラ色のサンルームがあり、屋内と屋外の両方を楽しむことができるスペースになっている。「この家のホームオーナーの理想は、ドアを開けたままにして、外部と内部をシームレスにつなぐことでした。仕事で電話を受けるときも、室内にいなければならないときも、外の景色に囲まれて過ごすことができます」と、マクマキンは言う。ホームオーナーはこのスペースをオフィスとして、活用している。
スライド式のフレンチドアを採用することで、外部と内部のシームレスな流れを実現している。
ダイニングルーム
「ダイニングルームで最も楽しいことは、小さな宝石箱のように演出することです」と、ボウマンは言う。これを実現するために、彼らはコーラル色で質感のある壁紙と、竹で作った亀甲模様の羽目板を採用し、地元の壁紙専門の会社ブルース・トーマス・ウォールペーパーのチームがこれらをデザインし、1つ1つ貼り付けた。「天井が平らで、建築的なディテールがあまりない部屋だったので、竹を使って“特徴”を作りました」と、彼女は言う。
パームビーチのアーティスト、オーヴィル・ブルマンが画家であるアンリ・ルソーの作品からインスピレーションを得て描いたトロピカルな雰囲気の絵との相性も抜群! ケンブル・インテリアは、このダイニングテーブルの装飾的な対となる脚を特注でオーダーし、上にはこの重厚な脚が見えるようにするため、ガラス素材を採用した。
パウダールーム
「彼女はどうしても伝統的なイギリスのトイレを欲しがっていました。パームビーチにクラシックなイギリスの雰囲気を取り入れたかったのです」と、ボウマンはホームオーナーについて語る。
アンティークな器具に加え、ランプシェードによく使われるベネチアの大理石模様の壁紙を組み合わせている。「イギリス製の器具との相性が抜群なんです」と、マクマキンは言う。
書斎
家族がこの家を購入したとき、作り付けの造作家具は茶色に染色されていた。「不思議なことに、多くの人が書斎はダークブラウンでなければならないと思っているんですよ」と、マクマキンは言う。でも、キンブル・インテリアでは、それが当たり前ではない。彼女のチームは、この書斎を美しいセージグリーンに塗り替えた。
ゲストベッドルーム
この部屋のキプロス製の天井は、空間に温かさを加え、「コールアンドサン」のリーフ柄の壁紙と組み合わせることで、まるで熱帯雨林の天蓋の中にいるような感覚になる。
「このゲストルームに入ると、ツリーハウスのような自分だけの小さな空間にいるような気分になれます」と、ボウマンは話す。
バスルーム
このバスルームの中心となるのが、彫刻のような大理石のバスタブ。「ぴったりなものを選ぶのに時間がかかりましたし、クレーンで運ばなければなりませんでした」と、マクマキンは振り返る。
プレイルーム
このプレイルームは、家のミニチュアとして子供たちが喜ぶだけでなく、階段を巧みに遮ることで、子供たちが安全に過ごせるようになっている。
「この空間を作り上げる過程がとても楽しかったです。散りばめた銅素材の小さなディテールがところどころに見え、本物の家のように再現できました」と、ボウマンは話す。
パティオ
ケンブル・インテリアのチームは、SMIランドスケープ・アーキテクチャのホルヘ・A・サンチェス、そしてブライアン・バーテッシュと密接に協力して、この家の屋外エリアがインテリアと同様に魅力的なものになるようにした。
「この家の裏庭は本当に美しく、特別な空間です。だからこそ、その空間を“屋外にある部屋”のように感じられるスペースにしたかったのです」と、ボウマンはパティオについて語る。パティオには、シーンに合わせてさまざまなタイプの家具を配置している。
中庭には、屋外で食事をするためのダイニング、リラックスして静かに過ごすためのブランコ、ドミニカ共和国で購入した銅製の家具が置かれている。
プール
プールの周りには芝生の敷き詰められた小道があり、そこには家主がモロッコから持ち帰ったターコイズ色の施釉タイルが敷かれている。「このタイルはプールに素晴らしい輝きを与えてくれます」と、マクマキンは言う。
メインの屋外エリアとは別の奥まったパティオには、マクマキンの娘、セレリー・ケンブルがデザインしたラウンジチェアが置かれ、くつろぎの時間を演出している。
「家と競合するのではなく、家を引き立てるようなランドスケープを作るのは難しいことです。しかし、この家では大成功しました」と、マクマキンは語る。
各部屋のディテールも見てみよう!