悩めるアメリカの社会問題。“自殺”にまつわる驚くべき22の真実
ここ数年、ハリウッドの映画界＆テレビ界において「自殺」を作品のキーとして描くものが増えていることにお気づきだろうか？ その背景にあるのは、現実世界のアメリカにおける自殺率の驚異的な急増。
もういい加減、誰もが他人ごとにできなくなっているほど驚異的に急増しているアメリカの自殺。交通事故より多く、アメリカ人の命を奪っている自殺と、その背景に隠れるメンタル・イルネス、薬物、差別などなど、もう目を背けることもできない状況になっている。そんな“スーサイドイシュー”についての驚くべきデータと、自殺を取り上げた、いま観るべき新旧作品をピックアップ。
ガガ新作も自殺がキーポイント
『アリー/スター誕生』、『Boy Erased』、『The Death and Life with John F. Donovan』、『Vita and Virginia』、『Ben is Back』。これから公開が待たれるこれらの話題作、すべて“自殺”が重要なモチーフになっている。なぜ人は自分で命を絶ってしまうのか……。その人のせいにはできない問題を理解するのに役立つ。
（画像）成功と喪失という普遍的テーマで何度もリメイクされてきた『スタア誕生』。最新版『アリー/スター誕生』はレディー・ガガが主役。（12月21日日本公開）
アメリカ合衆国では12分に1人、自殺で亡くなっている。
でもこれは死因がはっきりしている案件だけを数えた場合。
（画像）精神的な病と闘い続けたヴァージニア・ウルフと隠れた恋人の物語。『Vita and Virginia』（公開未定）
アメリカ合衆国で自殺率が上昇しなかったのは50州のうちたった1州。
1999～2016年の数値で、ネバダ州のみ。あとはすべて上昇中。
（画像）同性愛矯正施設での悲劇と社会の希望を描く『Boy Erased』（日本公開未定）
そのうち半数を超える25州では、30％以上の急上昇を見せている。
※米国疾病予防センター発表
（画像）精神病棟での過った治療の危険性を訴えアカデミー賞を総なめにした『カッコーの巣の上で』（‘75）
自殺の道具は51％が銃
※2016年統計。AFSP発表
（画像）息子とその母親が薬物依存症克服のため壮絶な闘いを繰り出す、ジュリア・ロバーツ、ルーカス・ヘッジス共演『Ben is Back』（公開日未定）。
全米で年間44,965人が自殺している
※AFSP発表
（画像）『Vita&Virginia』からさかのぼること15年超。死に至るまでのヴァージニア・ウルフを演じニコール・キッドマンがアカデミー賞を受賞した『めぐりあう時間たち』（‘02）
自殺のため国が失ったものは約690億ドル相当
約7兆7800億円！ 自殺対策が喫緊の課題となっている理由がわかるはず。
※AFSP発表
（画像）心が壊れた少女たちのリハブの日々。アンジェリーナ・ジョリーがオスカーを獲得した『17歳のカルテ』（'99）も、自殺の背景を理解するのに最適。
米国で自殺率が高いのは中年。急上昇しているのは15～24歳。
若者の自殺が特に増えている。しかしミッドエイジクライシスに差し掛かる、働きざかりの男性の自殺率がもっとも高い。特に白人男性において顕著。
※AFSP発表
（画像）『Boy Erased』（公開未定）
ちなみに英国でも自殺者の75％は男性
6639人中4997人が男性だった。もっとも多かったのは40～44歳。
※Samaritans Suicide Statistics Report 2017
（画像）『17歳のカルテ』（'99）
全米で医師の自殺が止まらない
今、全米で自殺率が注目されているのは、命を救うはずの医師。レジデントの死因の1位はガン、2位が自殺という結果を受け、労働環境にメスを入れる必要が取りざたされている。
※Observer
（画像）『17歳のカルテ』（'99）
女性の医師の自殺率は一般の2.27倍
男性医師の自殺率が一般男性の1.4倍なのに対し、女性医師は一般女性と比べ2.27倍の自殺率。
※Observer
（画像）『Vita and Virginia』（公開未定）
心理的な病による自殺の84％は中低所得国で起きている
そして経済的な困窮が心理的な病を引き起こしている可能性あり。
※マイケル・フィリップス博士 the World Health Organization Collaborating Center for Research and Training in Suicide Preventionエグゼクティブ・ディレクター
自殺志望率世界ワースト10は、1位リトアニア、2位韓国、3位スリナム
4位スロベニア、5位ハンガリー、6位日本、7位ラトビア、8位ウクライナ、9位ベラルーシ、10位エストニア
調査方法により、ランキングにはばらつきがあるものの、上位を占める先進国は大体同じ。
※厚労省
（画像）『めぐりあう時間たち』（‘02）
