「美人じゃない」と侮辱されるも成功を勝ち取ったハリウッド女優のメッセージ
女性蔑視や男女不平等などを何十年も前から声を大きく主張してきた女優のなかには、オーディションで容姿について差別を受け、屈辱的な思いを告白した人も。彼女たちはどのように戦い、乗り越えてきたのか? トップ女優の経験談をご紹介。
セレーナ・ゴメス
ティーンの頃から絶大な人気を誇り、現在ではインスタグラムで1億7000万人以上のフォロワーを抱えるトップスターのセレーナ・ゴメス。そんな彼女でも「セクシーさが足りない」、「みんなに受け入れられるために変わらないといけない」などと言われ続けてきたことを、数年前、コンサートに集まったファンに向けて打ち明けた。「気品」こそが誰もが持つことができる最もセクシーなものなのと断言。
「みんなに伝えたいの。私は毎日のようにセクシーさが足りないとか、クールさが足りないとか、こうすればもっと認めてもらえるのにと言われてきたの。でも一つだけ言わせて。何よりもセクシーなもの、それは『気品』よ。あなたはあなたであるために生まれたの。それはとても魅力的で美しいこと。どんなに辛い時でも、どうかそのことを忘れないで」とファンを励ました。
メーガン・マークル
大人気リーガルドラマ『SUITS/スーツ』のレイチェル役でブレイクした女優であり、慈善家、人道支援家、起業家、そしてイギリスのハリー王子との結婚で最も世界から注目を集めるメーガン・マークル。しかし、そんな彼女も、揺るがないアイデンティティを確立し、理不尽なことに打ち勝てるようになるまでに苦悩した過去がある。
「20代前半の頃はまだたくさんのことを受け止めようとしていて、ありのままの姿ではダメだと否定されてしまう業界の中で、自分の価値を見いだそうと必死にもがいていたわ。細くない、美人ではない、エスニック感が薄い、そんな風に言われたかと思えば、次の日には痩せすぎている、美しすぎる、エスニックすぎると言われるという感じだったの」
そんな中で、あるキャスティング・ディレクターからオーディション中に言われた言葉をきっかけに、すべての悩みから解放されたという。「そのままのあなたで良いということを知っておくべきよ」
リース・ウィザースプーン
2006年に『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』でアカデミー賞主演女優賞を受賞し、2017年には主演ドラマ『ビッグ・リトル・ライズ ~セレブママたちの憂うつ~』がエミー賞作品賞に輝き、話題を呼んだリース・ウィザースプーン。制作会社の経営も行う彼女は男性優位のハリウッドにおいて、業界の体質を変えるべく、多くの女性をサポートするための制作会社も経営している。
2011年に『You magazine』のインタビューで、ハリウッドで女優の道を歩み始めた時に「拒絶」された経験について明かした。
「自分をしっかり持って、タフにならないといけないわ。最初にLAに来たばかりの頃、私は『ダメ、背は低いし、そこまで美人ではないし、賢くもない』と言われ続けたの。でも彼らの言葉はあまり気にしなかったわ。私は負けん気が強いのよ」
ケイト・ウィンスレット
『愛を読むひと』で主演女優賞に輝いたオスカーの常連ケイト・ウィンスレットは、自分の体型に自信を持つことや、ハリウッドにはびこるサイズ・ゼロのプレッシャーに屈しないことを度々発言してきた。
そんな彼女は2016年の英国アカデミー賞(BAFTA)において、『スティーブ・ジョブズ』で助演女優賞を受賞。その受賞スピーチで、かつてこの業界でまともな役を演じるには体型が大きすぎる、と彼女に言い続けてきた人々に対して苦言を呈した。
「私が若かった時、14歳の頃でした。演技の先生から『太った女の子の役でも良いのならいいんじゃない?』と言われたわ。そういうときに私が思うのは、若い女性は先生や友人、あるいは自分の親であっても、そんな言葉には耳を傾けないでほしい、ということ。私はそうしてきたから。そして自分の夢へ進んで、恐れを克服し、不安を乗り越えることができたの」
メリル・ストリープ
言わずと知れたオスカー女優、メリル・ストリープ。ハリウッド女優のトップに立つ存在と言っても過言ではないが、その地位にたどり着くまでに何度も、彼女の魅力を否定し、彼女のやる気を奪おうとしてきた人々と闘ってこなくてはいけなかったのだという。
メリルは26歳の時、伝説的な映画プロデューサー、ディノ・デ・ラウレンティスによる『キングコング』のリメイク版のオーディションに呼ばれて参加。その時の屈辱的な体験について、2015年にトーク番組『ザ・グラハム・ノートン・ ショー』で告白。
「私が部屋に入っていくと、彼(ディノ)の息子が座っていて、彼は自分が新人女優だった私を連れてきたことにうれしそうな様子だったわ。すると、ディノがイタリア語で息子に話しかけたの。『どうしてこんな醜い女を連れてきたんだ?』ってね。私はイタリア語が分かるから、すぐに聞き取れたわ。若い女の子にとっては一瞬で酔いが覚めるような言葉だった」
大物プロデューサーからひどい言葉をささやかれたメリルだが、その屈辱をバネに、現在までにアカデミー賞のノミネートは21回を記録。
ヴィオラ・デイヴィス
『フェンス』でオスカー女優に輝いたヴィオラ・デイヴィスはかつて『ニューヨーク・タイムズ』紙から、「『スキャンダル 託された秘密』のケリー・ワシントンや『エクスタント』のハル・ベリーのようなアフリカ系アメリカ人たちと比べると、いわゆる『古典的な美しさ』が足りない」と評されたことに対して、パワフルな声明を発表。
若い頃は自己否定することもあったというヴィオラだけれど、「私は、美しさとは主観的なものだと思うわ」とABC局のトークショー番組『ザ・ビュー』で語った。
「そういった批判的な言葉は今までの人生でずっと聞かされ続けてきたわ。肌の黒い女性は、お母さんのおなかから出てきた瞬間からその言葉を言われ続けるの。『古典的に美しくない』というのは、『醜い』を言い換えてあなたを批判したり、存在を否定する言葉なのよ。若い頃の私は確かにダメージを受けたけど、今はもう平気よ。(中略)だって最終的に自分のことを認めることができるのはあなただから」
ウィノナ・ライダー
『ヘザース/ベロニカの熱い日』のベロニカ役でブレイクし、『エイジ・オブ・イノセンス/汚れなき情事』『若草物語』でオスカーにノミネートされたウィノナ・ライダー。最近ではNetflixオリジナルドラマ『ストレンジャー・シングス』でカムバックを果たし、再び注目を集めている。ハリウッドのクール・ガールにあげられる彼女だけれど、若い時には「女優向きのルックスじゃない」、「美人ではない」と言われ、女優になる夢を諦めたほうがいいと助言され続けていたことを明かした。
ウィノナは当時のことについて、ある雑誌の取材でこのように振り返った。「あるときのことをとてもよく覚えているわ。オーディションの最中、私がセリフを話している時にキャスティング・ディレクターが私を止めてこう言ったの。『よく聞いて、お嬢ちゃん。あなたは女優になるべきではない。あなたはそこまで美しくないから。元いた場所に戻って、学校へ行ったほうがいい。あなたには無理よ』とね」