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第78回ベネチア国際映画祭が9月1日(現地時間)に開幕しました。

国際映画祭の賞の行方は、審査員団のメンバーによって大きく左右されるのですが、今年の審査員長は韓国の映画監督ポン・ジュノ。2019年に『パラサイト』でカンヌの最高賞のパルム・ドールを受賞し、その後アカデミー賞でも作品賞、監督賞、助演女優賞、国際長編映画賞という大きな賞ばかり4冠に輝き、一気にスター監督となったポン・ジュノがカンヌ映画祭より先にベネチアの審査員長に。正直、カンヌはしてやられた感があります。

ベネチア国際映画祭
Stephane Cardinale - Corbis//Getty Images
左上から時計回りにポン・ジュノ、映画祭ディレクター=アルベルト・バルベラ、シンシア・エリヴォ、サヴェリオ・コスタンツォ、クロエ・ジャオ、アクレサンダー・ナナウ、ヴィルジニー・エフィラ、サラ・ガドン

審査員団は、他に去年のベネチアで金獅子賞を受賞後、アカデミー賞も受賞した中国系アメリカ人の『ノマドランド』のクロエ・ジャオ監督、カナダの女優サラ・ガドン、ベルギー出身の女優ヴィルジニー・エフィラ、イギリス出身のシンガーソングライターで女優のシンシア・エリヴォ、イタリアの監督サヴェリオ・コスタンツォ、ルーマニアの監督アレクサンダー・ナナウの7人。うち女性が4人入っているが、ジェンダーイクオリティを推し進めている国際映画祭においてこのバランスはニュースタンダードになった。

ベネチア映画祭
Daniele Venturelli//Getty Images
ディレクターの後ろでふざけるお茶目なポン・ジュノ監督
コロナ禍は「映画の生命力を示すテストだった」

 去年は、コロナ禍によりカンヌが中止に追い込まれたが、夏に少し落ち着きを取戻したことによって、ベネチア映画祭はリアル開催を敢行、コロナに打ち勝った映画祭をアピールした。今年は1席空けの座席やスクリーニングや記者会見は混雑を避けるために完全予約制にするなど去年の経験を活かしながらも、グリーンパスやPCR検査陰性の証明書提示、検温、アルコール消毒などさらに厳しい基準を設け、感染対策を強化している。

ベネチア映画祭
Vittorio Zunino Celotto//Getty Images
シンシア・エリヴォ


開会式に先立った記者会見で審査員長のポン・ジュノも、コロナ禍は「映画の生命力を示すテストだった」「映画人は昨年、非常に厳しい時期を過ごしました。私は、映画の歴史がそう簡単に止められるとは思っていません。COVIDは通過し、映画は続いていくでしょう」と語った。

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LAURENT LAURENT VU/SIPA/Shutterstock//Aflo
レッドカーペットに登場したペネロペ・クルスとペドロ・アルモドバル

オープニング作品はペドロ・アルモドバル監督の『パラレル・マザーズ』(英題)。(この作品は、少し前に母乳が溢れる乳首を仕様したポスタービジュアルが、Instagramからヌードを許可しないという規定により削除され、その後、Instagramが謝罪しヴィジュアルは掲載許可された)。同じ病院で同時期に出産したことで友人となったふたりの母親を通して、母なる存在を探求するアルモドバル監督らしい人間讃歌だ。

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また続くコンペティションの作品はジェーン・カンピオン監督の『ザ・パワー・オブ・ザ・ドッグ』。1920年のモンタナの牧場を舞台に、牧場主の男(ベネディクト・カンバーバッチ)と密かに結婚した弟の妻(キルスティン・ダンスト)とその息子の壮絶なドラマなのだが、これがマチズモや同性愛といったジェンダーイシューについての洞察を深める作品だった。ラインナップを見た時点では意識していなかったけれど、今年のベネチアの裏テーマは、ジェンダーなのかもしれない。

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『パワー・オブ・ザ・ドッグ』ティーザー予告編 - Netflix
『パワー・オブ・ザ・ドッグ』ティーザー予告編 - Netflix thumnail
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